天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2009-12-01から1ヶ月間の記事一覧

椿

ツバキ科の常緑高木で日本特産。従って、漢字「椿」も日本で考案されたもの。原生種は、春になると赤い大輪の五弁花を開く。昔つばきと呼んだものは、山椿、藪椿である。早咲きは十一月から、遅咲きは五月まで咲く。現在は園芸種が多い。古くから多くの歌人…

子規と横須賀

NHKの総合テレビで司馬遼太郎の「坂の上の雲」を放映している。司馬遼太郎の小説は、全て読んで、よく知っているつもりなので、放映の全部を見てはいない。ところどころを見ているだけなのだが、つい懐かしくなって横須賀に記念艦・三笠を訪ねてみたくな…

啄木鳥

キツツキ科の鳥の総称。世界には約210種が分布する。大きさはスズメ大からカラス大までさまざま。日本には、アオゲラ、アカゲラ、ヤマゲラ、コゲラ、クマゲラ、キタタキ、アリスイ などが生息する。啄木鳥の別称として、「ケラ」がある。 ものいはぬつれ…

神奈川近代文学館

久しぶりにJR石川町駅に降りて、山手を歩いた。ブラフ18番館からエリスマン邸、港の見える丘公園、神奈川近代文学館、フランス山、元町通りへとたどった。神奈川近代文学館では、長谷川時雨の特集展示を開催中であった。 長谷川時雨については、全く知ら…

クリスマス

キリストの降誕祭で、十二月二十五日。その前日がクリスマス・イヴ。わかりきったこと。しかし、次のことは必ずしも自明でない。わが国では、信仰に関係なく子供のいる家庭でも小さなクリスマス・ツリーを飾る。朝起きると、枕元にサンタクロースからのプレ…

冬至

今年は十二月二十二日に当たる。わが国にとって太陽が最も南に偏る日であり、日照時間が短い。現在はほとんど顧みられないが、冬至粥や南瓜を食べたり柚子湯に入って息災を念じる風習がある。以前は、柚子湯に入ることもあったが、最近は冬至自体に気付かな…

師走の植物園

動物園もそうだが、歳末の植物園は荒涼としている。多くの種が冬眠に入っているためである。大船フラワーセンターに行ってみたが、温室の植物以外、花々しいものは、山茶花くらいであった。それにしても温室の熱帯性睡蓮は、いつきても見事に咲いている。花…

師走の磯釣り

江ノ島の裏の岩礁では、今頃大型の鯖が釣れる。釣った鯖はその場で、腹を割き腸を抜いてアイスボックスに保存する。雑魚もかかるが、その時は空に掲げて振っていると、鳶たちが上空にやってくるので、放りあげると、さっと下降してつかみ取る。クリスマスの…

真弓、檀

ニシキギ科の落葉小高木。昔、弓の材にしたことから名前がついた。山錦木とも。秋になってつける実は角ばって淡紅色に熟し、裂けて赤い種子を出す。 陸奥の安達太良真弓弦着けて引かばか人の吾を言なさむ 万葉集・作者未詳 淡紅の苞裂けて朱美あらはれぬめで…

小春

もう時期は過ぎてしまったが、陰暦十月を小春という。陽暦では十一月頃にあたる。春のような晴天の日が小春日である。小春日和、小春空、小春凪 といった言葉もある。 鳥のかげ窓にうつろふ小春日に木の実こぼるるおとしづかなり 金子薫園 小春日の曇硝子に…

菜の花

アブラナ科の一、二年草。欧州からシベリアにかけての原産。わが国には、原種が古く中国から渡来した。種子から菜種油をとる。 もも草の萌えいづる庭のかたはらの松の木蔭に菜の花咲きぬ 正岡子規 遠つあふみ大河ながるる国なかば菜の花さきぬ富士をあなたに…

師走の吾妻山

神奈川県の「県のたより」に、二宮町吾妻山の菜の花畑が初春の風物詩として紹介されていた。それがまた気になって今の状況を見に登った。この山に登る前に、いつものことだが、梅沢海岸に立ち寄る。ここは走水(浦賀水道)で入水した弟橘媛の衣の袖が流れ着…

『雲母集』の不二

三浦三崎、城ケ島から見る富士ということでは、北原白秋の『雲母集』を忘れることができない。大正二年五月から同三年二月に至る約9カ月間の生活から生まれた歌集である。人妻との不倫の果てに得た女性を伴ってやってきたが、親兄弟も合流した。白秋は三崎…

雪の富士

冬晴れた日に城ケ島から見る雪の富士山も実に美しい。雪を冠った富士山は日本美の象徴であり、万葉の頃から和歌によく詠まれている。山部赤人の有名歌はあげるまでもないであろう。 富士の嶺に降り置く雪は六月(みなづき)の十五日(もち)に 消ぬればその…

カワハギ

フグ目カワハギ科。日本中部以南から南シナ海に至る浅い海の岩礁近くに生息する。皮膚が厚く、そのままでは歯が立たないため、皮を剥いで食用にする。刺身によし、チリ鍋によし、高価な河豚の代わりになる。この魚、地方によってさまざまな呼び名を持つ。カ…

葡萄

日本にも野生種があるが、ヨーロッパ系の栽培品種は、中国経由で鎌倉時代に日本に伝来した。その象徴するものは、ヨーロッパにおいては、(1)酩酊、祭、歓待 (2)実り(カナンの地よりもたらされた) (3)喜び、欲望 (4)生贄、聖体 (5)若さ、復…

川を詠む

短歌人・12月東京歌会では、例年題詠になる。今年の題は「川」。題詠のルールは、単純に考えて、「川」という字が入っていればよい、あるいは川を暗に思わせる歌であればよい、としてある。私が最も惹かれたのは次の一首。 花つけてゐむ過ぎし日の荒草よイ…

師走の城ケ島

江ノ島で見かけた鵜の群から、城ケ島のウミウの岬が気になっていた。もう来ているだろうと思って行ってきた。城ケ島は、ご無沙汰しているうちに、観光客の数が増えているように感じた。うれしいことだ。白秋記念館も健在である。北原白秋が三浦三崎に滞在し…

リンゴ

明治以降、西洋種が盛んに品種改良されて、国光、紅玉、富士、王林 など多くの種類が生まれた。早生は7月、8月に収穫されるが、普通は10月頃である。北海道、青森、長野 が主要産地。 君かへす朝の舗石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ 北原白秋 顔ぢ…

湯河原・万葉公園(2)

独歩の湯には、九種類の足湯がある。足湯しかない。300円の料金が必要。温泉に体ごと入浴するには、すぐ近くにある町営の「こごめの湯」に行けばよい。千円が必要。渓流を散策し、初めて足湯に入った思いを詠ってみた。 黒潮の潮目きはだつ師走かな 朝光…

湯河原・万葉公園(1)

BS・TBSの放映「相模の小京都 湯河原」を見て刺激され出かけた。今までいく度も行っているのだが、今回は万葉公園を丁寧に歩くことにした。例えば、今まで一度も試みたことのない足湯に入った。湯河原に逗留した文人たちを紹介した立札のひとつひとつを…

紅葉の円覚寺

今年の紅葉も見納めと思い、北鎌を歩いた。先ずは円覚寺。さすがに訪れる人たちが多い。もみじの状況も最盛期で、まさに見ごろであった。洪鐘堂から見下ろすと、東慶寺の裏山の銀杏が、朝日を受けて照り輝いていた。右手奥の空に、雪を被った富士が、夢のよ…

支倉常長

神奈川県立金沢文庫において、10月9日から12月6日まで、「伊達政宗とみちのく文華」展が開催された。終りに近づいたことを新聞で知ったので、訪ねてみか。国宝がいくつか展示されており、中で興味深かったのが、「慶長遣欧使節関係資料」であった。特…

大山寺の枯紅葉

NHKで紹介されたので、行くのをあきらめた、と先日言ったばかりだが、どうもあきらめきれなくて時期はずれたが行ってみた。夜のライトアップは、11月21日から29日までであったので、観光客の数は少なかった。すでに紅葉の盛りを過ぎ、色は褪せて散…

鎌倉の紅葉

江ノ電の極楽寺駅で下車、極楽寺の門前から中を覗いただけで入るのはやめ、長谷奥の裏山に登って鎌倉の紅葉の状況を遠望してみた。曇っているせいもあり、まだ全山紅葉には遠い。鶴岡八幡宮の大公孫樹の状況はどうかと、由比ヶ浜駅から江ノ電で鎌倉駅に行っ…

カラス

遊行寺の境内を通ったら、えらい数のカラスが騒いでいた。原因になるような何も見当たらなかったのだが。 葉の散りし欅の末(うれ)にカラスあまた朝を啼くなり 墓地見下ろして 昔から烏はよく歌に詠まれている。鴉が象徴するものは、不吉なお告げの使者、狡猾…

鳥の編隊

幼稚園児たちの生活発表会が始まるのを待って、会館の入口に並んでいた朝九時前のこと。突如、南の空に鳥の編隊が現れて、こちらに近づいてきた。雨曇りの空のせいか、鳥の色はみな黒く見える。一団が頭上を過ぎて飛び去ると、次の一団が南の空に現れ、もう…

大磯城山公園の紅葉

この公園の沿革については、以前にも紹介したと思うが、大略次のような経緯である。 この地には縄文時代から人が住んでおり、土器が出土、横穴古墳も多数見つかっている。公園の地域は、明治31年(1898年)、三井財閥本家の別荘地となり、「城山荘」、「降鶴…

大磯町郷土資料館

大磯城山公園は、縄文時代の遺跡でもある。この中にある大磯町郷土資料館では、10月24日から12月6日まで、伊藤博文没後100年記念として「滄浪閣の時代」と題する展示がされている。大磯に居を構えた政治家や実業家は多いが、伊藤博文もその一人。…

川田 順

よく遊びに行く藤沢の遊行寺に、歌人・川田 順が一遍上人像を賛仰した次のような長歌の碑がある。 糞掃衣すその短く臑もあらはに わらんちも穿かぬ素足は国々の道の長手の 土をふみ石をふみ来てにしみたる血さえ見ゆかに いたましく頬こけおちておとかひもし…