天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

弘前城&岩木山

朝から快晴になった。前日の雨曇りが嘘のようである。青森から弘前まで普通電車で40分ほど。そこからバスで15分程度。どこかの調査では、連休中の人出で最大の場所がここ弘前とのことで、220万人という。自動車と人の列で身動きできないほどであろう…

青函連絡船

青森には学生時代に、自転車部の旅行で一回訪れたのみである。その時には、上野駅から自転車で出発し、国道4号線にのって北上し三陸海岸沿いに走った。青森に着いてからは、自転車を今で言う宅急便で送り返し、バスで十和田湖を見物して汽車で帰京した記憶…

八重桜

その葉が桜餅に使われるので、八重桜を見るたびに桜餅を思ってしまう。ヤマザクラやソメイヨシノの花が散って葉桜になる頃、暑苦しくも妖艶な花を咲かせる。ボタンザクラとも。 いにしへの奈良の都の八重桜けふここのへに 匂ひぬるかな 詞花集・伊勢大輔 君…

防人(さきもり)の歌

古代、北九州(筑紫・壱岐・対馬)防衛のために派遣された兵士で、多く東国から徴集された。3年交替の規定があったが、食料も武器も自前でその間も税は免除される事はなかったので、兵士の家族には大変な負担になった。桓武朝792年になって諸国の軍団を…

防人見返りの峠

なんと悲しい名前の峠であろう。奈良時代、鎌倉古道が尾根道を走る多摩地区からも九州の防衛のために防人(さきもり)が徴収されたのである。小田急線永山駅からバスで諏訪南公園で下車し、「よこやまの道」を、東から西へ、小田急線多摩センター駅まで歩く…

フジツボ

完胸目フジツボ亜目甲殻類の総称。富士山状の石灰質の殻をもつ固着動物である。潮間帯の高潮帯にはオオイワフジツボ、外洋に面した中潮帯にはイワフジツボ、内湾の中部から低潮帯にかけてクロフジツボ、低潮帯以下にはオオアカフジツボなどが棲み分けている…

大船フラワーセンターに行く途中で見た柏尾川には、びっくりするほど多くの鯔が泳いでいた。ボラ科の魚で、汽水域や淡水域で成長し、秋に海に下る。成長につれてオボコ→イナ→ボラ→トドなどと名が変わる。冬のものが旨い。卵巣を塩漬けにしたものが、からすみ…

新緑の中の鵙

早朝に鎌倉の裏山ハイキングコースを歩いてみた。浄智寺口から入り、葛原ケ岡、源氏山公園、長谷大仏の裏山とたどり、極楽寺へ抜けた。後は江ノ電で藤沢へ帰るだけ。 八重桜日野俊基の墓に会ふ 江ノ電の窓にほほゑむ躑躅かな 俊基卿終焉之地に石置けり元弘二…

海老根

山地の林にはえるラン科の多年草。春、柄の上に緑色に褐色を帯びた花をつける。 庭隅にはびこる蕗を刈りゆけばえびね蘭の 花ひそかに咲けり 佐藤志満 白花のさやさやとありしえびね蘭花茎を抜き 春を逝かしむ 上田三四二 えびね蘭かげにひそけし亡きひとにた…

紫木蓮

四月から五月にかけて小枝の先に暗紅紫色の六弁花をつける。それよりも早い時期に白色の大形の六弁花が開花する種類を白木蓮という。いずれも中国原産。 いにしえの王(おおきみ)のごと前髪を 吹かれてあゆむ紫木蓮まで 阿木津 英 夕光(ゆふかげ)にあから…

金沢文庫

神奈川県立金沢文庫は、鎌倉幕府中期の武将・北条実時が建設したわが国最初の私設図書館である。鎌倉を中心に金沢家に必要な典籍や記録文書を集め、収集した和漢の書を保管する書庫を金沢郷に創設したのが始まりという。ちなみに現在、小さな閲覧室があり、…

春の潮騒

夜の激しい雨を伴った春の嵐が過ぎ去って晴れ渡った翌日、鎌倉は腰越の浜にぼんやり坐っていた。 腰越や春の嵐のなごり波 をさな児が犬に引かるる春の潮 活魚割く腰越通り初つばめ 鳶三羽縦にならびて沖を見る片瀬の浜の春の潮騒 海つばめ岩場にとまり囀れる…

絶滅危惧種の植物

春の草花をまとめて見るために、大船フラワーセンターに行ってきた。JR大船駅で下車、柏尾川に沿って川面を見ながら下流方向にセンター近くまで歩いた。今回は、いくつかの絶滅危惧種に着目した。チューリップ、西洋すみれ、ハイビスカス、睡蓮などが花盛…

猩々袴

ショウジョウバカマ。山地に生えるユリ科の多年草。紅紫色の花の様子を猩々の赤い顔に、重なる葉を袴に見立てたところからの命名である。 わが庭に絶えしが中に惜しきもの吉野の 春の猩々袴 植松寿樹 昨日は、朝から家に閉じこもってMLBの放送を見ていた…

うらしまそう

サトイモ科テンナンショウ属の多年草。北海道から九州北部の平地や低山地の野原や林に生える。4月から5月に紫黒色の仏炎包が出て、中に肉穂花序をつける。浦島太郎が釣糸を垂れている様に見立てた命名である。 父征きし故郷の浜に糸たれて咲く花浦島草と …

二輪草

キンポウゲ科の多年草。ひとつの草から2つの花茎が伸びる。 庭苔の青にうづもれふふみたる二輪草の蕾 小さきくれなゐ 五味保義 むさし野の二輪草こそつつましき一輪は父 一輪は母 新井貞子 二輪草が残雪のごとき白さにて群咲き今日の 晴をよろこぶ 石川不二…

雪割草

日本全土に生えるサクラソウ科の多年草だが、本州、四国の山地にはえるキンポウゲ科の三角(みすみ)草や中部地方から九州の山地にはえる州浜(すはま)草をさすこともある。これらは若い時に絹毛がある多年草。 起伏みな雪割草の占める岬 中村青峯 州浜草鞍…

すみれ

スミレ科スミレ属の植物の総称。スミレ科の多年草で種類は多く、世界では温帯地方に約500種、うち日本には約50種が自生する。エイザンスミレ、スミレサイシン、タカネスミレ、タチツボスミレ、ツボスミレ、ニオイスミレ、パンジー。 「すみれ」について…

花の吾妻山

桜が満開の並木道や桜ばかりが植えてある公園の満開の花も壮観ではあるが、飽きてしまう。重畳する山や丘陵のそこここに桜が咲いている風景こそ大和・日本の源郷にふさわしい。この情景は都会にはなく地方に残っている。わが散策のルートである神奈川県二宮…

ぜんまい

ゼンマイ科ゼンマイ属の多年草で、ワラビと同じくシダ植物。形状はグロテスクだが、若い葉は佃煮、お浸し、胡麻和え、煮物などにして食べられる。漢字では「薇」と書く。 ぜんまいののの字ばかりの寂光土 川端茅舎 笑ひすぎかもぜんまいのはじけしは 片山由…

ヒヨドリ

スズメ目ヒヨドリ科。ヒヨ、ヒエドリとも言い、白頭鳥と書くこともある。 ひよ鳥のけたたましくも啼くものか樫の木立の あをき春日に 若山牧水 ひよどりは遠くにゆくか去りゆくか我はま白き 障子を閉めぬ 若山牧水 群れゐつつひよどりなけりほろほろとせんだ…

大磯

一度は見学してみたいものと常々思っていた旧吉田茂邸が火事に遭った。麻生首相が幼い頃、祖父を訪ねて滞在した場所でもあるという。城山公園に行ったついでに、垣根越しに覗いてみた。驚いたことに庭の桜が満開で、焼けた残ったような建物はどこにも見えな…

木苺の花

バラ科キイチゴ属。モミジイチゴや構苺(かじいちご)が代表的。小枝の先に白い五弁花をつける。夏がくると、オレンジ色でつぶつぶの球形の実がなり食べられる。 道のべの木いちごの花にほへるをあらそはなくに 蜂ひとつゐる 斉藤茂吉 木苺のいまだ青きをまが…

桃の花

中国原産のバラ科の落葉果樹。三月から四月にかけて淡紅色の五弁花をつける。観賞用に花桃がある。弥生の節句に飾るところから、桃の節句という。 春の苑紅にほふ桃の花下照る道に出で立つ 少女 万葉集・大伴家持 三日月にくれなゐにほふ桃の花光もいとど ま…

長興山の枝垂桜

今年も満開の桜名木に会うことができた。真っ黒な幹や枝と真っ白な枝垂れの花とのコントラストが昼間ながら、得も言われない幻想美を醸し出す。 長興山紹太寺は、江戸時代初期の小田原藩主だった稲葉氏一族の菩提寺で、第二代稲葉美濃守正則が寛文九年(1669…

かたくりの里

かたくりの里は、相模原市城山にある。例年開花期のこの時期に見に出かけている。但し、黄花かたくりは、10日ばかり遅れて咲く。このカタクリはユリ科の多年草で、古名は堅香子(かたかご)。昔は地下の鱗茎から片栗粉をとった。ちなみに、現在はジャガイ…

花と阿修羅と

桜の上野公園に興福寺創建1300年記念の「国宝・阿修羅展」を見に行ってきた。国宝・八部衆像、国宝・十大弟子像が主体である。阿修羅には、昔、現地の奈良興福寺で出逢っているので久しぶりとなる。その時は見学者も少なく心ゆくまで見ていたが、今回は…

春潮と白鷺

三月最後の日曜日の江ノ島。春風は少し首筋に冷たかったが、うららかな日和であった。今回の収穫は、たくさんの富士壺とぜんまいを見たこと。ぜんまいにはずいぶん久しぶりに出会った。 フジツボの岩に影さす春の鳶 富士壺の闇が見つむる春の潮 ぜんまいや廃…

山桜の歌

ヤマザクラの幼葉は赤みがかっているため遠くからは、花までうす紅に見えるが、実際は白い。奈良県の吉野山はヤマザクラの名所である。古来多くの和歌に詠われた。太平洋戦争では、本居宣長の歌がはからずも大和魂の高揚にもてはやされた。広辞苑によると「…

鴫立沢

山桜の花はもう散り始めているが、ソメイヨシノはまだ三分咲き程度。そんな情景を見に湘南平に登ってみた。以前にも紹介したが、ここは神奈川県の平塚市と大磯町の境にある標高181mの丘陵である。今日はとにかく寒かった。電車を待つ間、ホームのベンチで震…