天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

じゃがいもの花

ジャガタラ芋の略で、馬鈴薯ともいう。アンデス温帯地方原産のナス科の多年生作物。わが国には、十六世紀にオランダ船がジャカルタから伝えた。現在では、北海道が主産地。六月頃に白色または淡紫色の花をつける。 馬鈴薯の花咲く頃となれりけり君もこの花 …

ヨシキリ

ヒタキ科の夏鳥。行々子、葦雀 ともいう。行々子は鳴き声からきた名である。大葦切と小葦切がいる。今の時期、川原に行くとやかましいほどの鳴き声を聞く。近づくとすぐに鳴きやむので、写真を撮るのは素人では難しい。そこで今回は、インターネットの「お気…

薔薇

株薔薇とつるバラの2系列がある。品種が極めて多い。古代オリエントで香料や薬用に栽培が始まり、ギリシャ、ローマを経て欧州に伝わったらしい。 くれなゐの二尺伸びたる薔薇の芽の針 やはらかに春雨のふる 正岡子規 風くれば薔薇はたちまち火となれり躍り…

ドクダミ

ドクダミ科の多年草。十薬、十字科の花。生の葉っぱは傷口の化膿をふせぐに効能あり。草を煎じて呑めば利尿剤になる。 どくだみの花のにほひを思ふとき青みて 迫る君がまなざし 北原白秋 どくだみはここに花さき人間のかかわる ところ月のよく差す 坪野哲久 …

潮だまり

過去に何度も紹介したが、湯河原の手前に真鶴岬がある。新緑の頃になると一度は行く場所である。わずかではあるが残っている原生林に惹かれるのだ。以前と比べると観光施設が減っている。中川一政美術館は今もあるが、どれくらい訪問客があるか他人ごとなが…

ユキノシタ

ユキノシタ科ユキノシタ属の多年草。湿った日陰の地に自生する。開花期の葉を乾燥させたものは生薬になり、それを煎じて飲めば利尿、消炎などの効果があるらしい。虎耳草(こじそう)という面白い名前がある。その葉は天ぷらなどにして食べられるというが、…

ヤグルマギク

矢車草。ヨーロッパ南東部原産のキク科の一、二年草。古代エジプトの王ツタンカーメンの柩から妻アンケセナーメンが供えた矢車菊が見つかったことでも有名になった。 水無月は妹がうすものその袖にすらせても見む矢車の花 金子薫園 函館の青柳町こそかなしけ…

さくらんぼ

バラ科の果樹オウトウの実。欧州系のセイヨウミザクラ、スミノミザクラと東アジア系のシナミザクラとがある。わが国で栽培されるのは、主としてセイヨウミザクラで、これは明治初年に渡来した。 みちのくの宵の人出にさくらんぼ 福田蓼汀 さくらんぼ紅さして…

シギ科の鳥の総称。嘴と脚が長いのが一般的。冬に渡り鳥としてやってくるものが多い。磯鴫、山鴫、玉鴫、田鴫 など。万葉集には、家持の次の一首が載っている。西行の歌は、押しも押されぬ最も有名な代表作である。 春まけて物悲しきにさ夜更けて羽振り鳴く…

三番瀬

東京駅から総武線で船橋駅まで行き、京成バスに30分ほど乗って終点の船橋海浜公園で下りる。 三番瀬は、わが国における工場建設や排水に起因する海浜の環境破壊の一例である。高度経済成長期に海岸埋立が進んだ。さまざまな経緯の後、市民運動によりなんと…

毛虫

蝶や蛾の幼虫。無毛か微細な毛のものには青虫とか芋虫がある。植物の茎や葉を食べる。 水無月のゆふべの庭の土暑し掃きあつめたる 毛虫を焼くも 川田 順 斃すべき男殺さざりしかば毛虫千匹年毎に 見逃さず 斉藤 史 全容の定まりがたき毛虫かな

雛罌粟の花

ヒナゲシは別名虞美人草、クコリコとも。ヨーロッパ原産のケシ科の多年草。園芸品種では一年草として扱われている。余談だが、夏目漱石の小説に『虞美人草』があり、大学生の夏休みに胸ときめかせて読んだ記憶が懐かしい。 ああ皐月仏蘭西の野は火の色す君も…

渡良瀬遊水地

浅草から東武日光線で新古河まで行き、そこから渡良瀬遊水地の下流を見て歩いた。 この遊水地が造られた目的は、よく知られているように、足尾鉱毒事件による鉱毒を沈殿させ無害化することであった。渡良瀬川、思川、巴波川の三つの川が合流する渡良瀬川下流…

不思議な感じ

短歌に限らず、詩には「不思議な感じ」「シュール感」を読者に感じさせる措辞が工夫されている。 「短歌人」五月号に掲載の小池光の歌を例にとってみよう。 満開の桜の川に出てをれる二羽のあひるは われらにあらず 書いてゐるときいちばん心落ち着くと斉藤…

あやめ

アヤメ科の多年草で、日本以外には朝鮮、中国東北部、シベリアに自生する。菖蒲と書いて「アヤメ」と読ませるが,それを「ショウブ」と読むと間違いを生じる。「ショウブ」はサトイモ科で,端午の節句の菖蒲湯に使われるが,花は全く違う。さらには,花菖蒲…

エゴノキ

チシャノキ、しゃぼんの木、ろくろ木などとも呼ばれるエゴノキ科の落葉小高木。北海道〜九州・沖縄まで、日本全国の雑木林に多く見られる。エゴノキの名は、果実を口に入れるとえぐいことからきている。 えごの木は若葉ごもりに花つけて段(きだ) おもしろ…

杜若

カキツバタ。古くは、「かきつはた」と発音したらしい。アヤメ科の多年草。沼、湿地に生える。 住吉(すみのえ)の浅沢小野の杜若 衣(きぬ)に摺りつけ着む日知らずも 万葉集・作者未詳 かきつばた男ならずばたをやかにひとり身投げて 死なましものを 北原…

花水木

アメリカヤマボウシとも言うように、北米原産のミズキ科落葉小高木で、大正初年に渡来した。街路樹としてもよく見かける。10月頃に赤い実が熟れる。 吾妻山の斜面に咲いていた。コゲラ(啄木鳥)が盛んに枝を突っついていた。虫を追い出しているのだろう。…

白花藤

これは園芸品種である。よく見かける紫藤には、野田藤と山藤の二種類がある。前者は、蔓が右巻きに他の物にからみ、後者は逆に左巻きにからむ。 揺れ揺れて百聯白き藤の花ひびきもあらず 光にあそぶ 坪野哲久 白藤のせつなきまでに重き房かかる力に 人恋へと…

水芭蕉

サトイモ科の多年草。アジア北東部の山地の湿原にはえ、時に大きな群落をなす。根茎は太く、長さは1mに達することも。 日の影の清らなる下湛えたる水澄み透り 水芭蕉の花 都筑省吾 雨の中に咲く水芭蕉幼きは水に潜きて ひそかにぞある 来嶋靖生

大凧の空

江戸時代に凧揚げは正月遊びの代表であったが、地方によっては5月のこどもの日を中心に大凧が揚げられたり、凧合戦が開催されたりする。昔の凧は烏賊の形に似ているところから、いかのぼりと呼ばれた。現在は奴凧、とんび凧、洋凧(カイト)など種類が豊富…

白樺

しらかば、しらかんば とも。寒冷地の原野にはえる落葉高木。幹は直立し高さは20メートル位になる。大変気品のある樹である。長野県の白樺湖、志賀高原、蓼科高原などは美しい白樺の林で有名。 信濃路にかひなきものは、白樺の太木につたふー 淡雪のすぢ …

昭和の日

2007年から、4月29日が国民の祝日に加わった。これは昭和天皇の誕生日で、祝日法の一部改正により追加された。趣旨は「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」となっている。ゴールデンウィークのはじまりの日だが、遠出…

新緑の箱根塔ノ沢

箱根塔ノ沢の浄土宗阿育王山・阿弥陀寺に行った。何の理由もない。ただ新緑の気息を身に浴びたかったからである。 墓地あれど人家は遠ししゃがの花 琵琶の音に新緑さはぐ塔ノ沢 塔ノ沢阿弥陀寺までの石段をのぼりゆきけり 会ふ人もなく 塔ノ沢山のなだりのを…

田を鋤く

横浜舞岡公園の小谷戸のたんぼでは、田鋤きが済んで水がひかれていた。蛙があちこちで盛んに鳴き交わしていた。溜池には睡蓮の花が咲き始めていた。 雨あがり菜の花にほふ野辺路かな 鋤き終へし田に水をひく小谷戸かな この地に生まれこの地に逝きしうからら…

牡丹苑

鎌倉鶴ヶ丘八幡宮の神苑に牡丹を見に行った。ここは冬牡丹でも有名。牡丹はボタン科ボタン属の落葉低木。中国西北部に自生し、中国を代表する花。花王、花神、富貴花などとも呼ばれる。 その後、高時腹切やぐらから山に入り、ハイキングコースを歩いて浄明寺…

土筆

つくし。トクサ科の夏緑性シダ。ひたしものなどにして食べる。古名はつくづくし。 くれなゐの梅ちるなへに故郷につくしつみにし 春し思ほゆ 正岡子規 あづさゆみ春は寒けど日あたりのよろしき処 つくづくし萌ゆ 斉藤茂吉 利根川の堤の土筆摘みいし日その後遥…

蕗の薹

キク科フキ属。雄花と雌花が別々に咲く雌雄異株。早春の香りは、蕗の薹の天麩羅を食べて楽しむ。花茎はしだいにのびて包葉をひろげ、茎頂に頭花をつける。 垣の外に出づるもおのづから稀にして 今日見るは隣の蕗の花立ち 土屋文明 蕗の薹てのひら青む光さし…

善知鳥(うとう)神社

青森市が昔、善知鳥村と言われた頃、善知鳥中納言安方が奥州陸奥之国外ヶ浜鎮護の神として、天照大御神の子の三女神を祭った事に由来している。第十九代允恭(いんぎょう)天皇の時世(412年〜453年)のこと。その後の詳細は知らないが、約4百年後に坂上田村…

棟方志功記念館

校倉造を模したこの建物は、棟方志功の文化勲章受章を記念して建てられたもので、1975年11月に開館した。青森市松原二丁目一の二にある。館内受付の横で「彫る」という映画をビデオで見せていた。40分弱の作品だが、棟方志功のキャラクターがよく描…