天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

熊の棲む山

運動量が足りないことを反省して神奈川県伊勢原市の大山に登った。といっても山頂にではなく、麓の大山駅から下社までの女坂を歩いたにすぎない。以前は、年に二度は山頂まで行っていたのだが、帰る時間が夕方になるので最近は決心がつかない。それに驚いた…

シャクナゲ

漢字で石楠(花)と書く。シャクナゲ科の常緑低木。シャクナゲの類には500種以上がある。中国西部からインド北部の山岳地帯に多い。わが国には、アズマシャクナゲ、ホンシャクナゲ、ハクサンシャクナゲ、キバナシャクナゲなどあり、西洋石楠花と総称され…

ひなげしの花

欧州原産のケシ科の多年草。別名に、虞美人草、ポピー、コクリコなど。葉は羽状に深く裂けて、五月頃に真紅、淡紅、白などの色の花を咲かせる。 雛芥子のうす花びらの眼にたたぬこまかき絞のよるのしたしさ 岡 麓 咲き出でし雛芥子の花くれなゐのひたすらに…

ゴジラ

1954年に、円谷英二監督の特撮映画の主人公として登場した。ビキニ環礁に太古から眠っていた生物が、水爆実験の放射能で巨大化し、日本を襲うという話。上陸地は久里浜から近い観音崎のたたら浜という設定。映画を記念して1958年たたら浜にゴジラの滑り…

イタドリ

タデ科の多年草。漢字で「虎杖」と書く。別名に、スカンポ、スイバ。古名に「さいたづま」がある。雌雄異株。茎は空洞。夏に淡紅色の花を穂状につける。若い茎葉は食用になる。 野べ見ればやよひの月のはつかまでまだうら若きさいたづまかな 藤原義孝 さいた…

足利学校

足利の大藤を見に行った時に、ここも訪れた。天文18年(1549)に、フランシスコ・ザビエルが足利学校を「坂東の大学」と報告しているように、室町中期にはすでによく知られていた。 この足利学校の創建については、次の四つほどの説がある。 その一: 奈良時…

三渓園の亀たち

横浜三渓園の池には、冬を過ごしていた多くの水鳥たちの姿は全くなかった。代って、こんなにもいたのか、と思うほどたくさんの亀が黄菖蒲の咲く水辺で甲羅干をしていた。水面には羊草が繁茂し、金色の蘂を抱いて純白の花が開いていた。内苑の記念館では、新…

ゲンゲ

紫雲英はマメ科ゲンゲ属の二年草。中国原産。ゲンゲン、五形花(げげばな)、レンゲソウ、レンゲ などとも。俳句では春の季語。化学肥料が普及するまでは、水田に緑肥として栽培されていたので、ところによっては、今でもその名残を見ることがある。 童女摘む…

ヤマボウシ

山法師はミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属の落葉高木。丸い蕾の集まりを坊主頭に、白い総包を頭巾に見立てたところから和名がついた。漢名は四照花。本州、四国、九州、朝鮮半島、中国にも分布する。実は集合果で九月頃に熟し、球形、食用になる。 銀漢の彼方…

カルガモ

ガンカモ科の鳥で留鳥。他のカモ類と違い雌雄同色。日本全土、東南アジア、中国などに分布し、各地の沼沢地や池に生息する。北日本では夏鳥。都会の公園の池などでも子連れの姿を見かけることがある。近くに車道があると、「カルガモの横断に注意」といった…

栃の木

橡とも書く。トチノキ科の落葉高木。高さは30メートルにもなる。五月から六月に若枝の先に円錐花序を出し、紅色を帯びた四弁の花を多数開く。十月ころに熟する実は裂けて、栗に似た種子を出す。これをさらせば食用になる。 橡の太樹をいま吹きとほる五月か…

牛蛙

アカガエル科、食用蛙とも言う。原産地は北米南東部。1919年にわが国に移入された。そのオタマジャクシは12センチにもなるというから驚く。貪欲で環境の変化に強く、在来種を捕食してしまうので2006年外来生物法により特定外来生物に指定された。 牛蛙…

素数と暗号

数学の分野で最も面白いと現在でも惹かれるのは、数論である。ピタゴラスのギリシャ時代から現代のリーマン予想まで、魅力が尽きない。一見単純に見えるフェルマーの最終定理「3以上の自然数nについて、xのn乗 + yのn乗 = zのn乗 となる 0 でない自…

足尾鉱毒事件

足利に大藤を見に行ったついでに、隣の佐野厄除大師に寄ってみた。ついでといっては罰が当たるが、ここには分骨された田中正造の墓がある。周知のように、彼は足尾鉱毒事件解決に尽力した人物。以下に概要を紹介しよう。 足尾鉱毒事件(明治三0年)は、栃木…

足利の大藤

このところ藤の花に拘ってきた。藤の名所は全国にあるようだが、たまたまJR藤沢駅でみかけた旅行パンフレットの中で、栃木県足利市のフラワーパークの大藤まつりに惹かれた。それから日時が経ってしまい、まつりの期間は過ぎていたので、もうダメかと思い…

河村城跡

山北町山北、岸の通称城山と呼ばれる標高約225m独立丘陵上にある。河村城は、平安時代末期に藤原秀郷の一族、波多野氏の河村秀高によって築かれたという。南北朝時代の籠城戰でもよく持ちこたえた堅城であった。「山嶮にして苔滑らかに人馬に足の立つべき処…

風車(かざぐるま)

色紙やセルロイドなどを車輪形の羽根として整え、柄をつけたもので、幼児の玩具。古くは「ちごぐるま」とも。春になると藁束に挿して売り歩いた。俳句では春の季語。 ひとり旋る賽の河原の風ぐるま 千代田葛彦 背の子をかへり見かざす風車 高田つや女 妹(い…

洒水の滝

「新編相模国風土記稿」には「蛇水の滝」と出ているらしい。洒水(しゃすい)とは、密教用語で清浄を念じてそそぐ香水を意味する。過去にもこのブログで紹介したが、この滝は、三段からなり、一の滝は69m、二の滝は16m、三の滝は29mという長さを持つ。鎌倉時代…

つばめ

ユーラシア大陸、アフリカ北部、北米大陸などに分布。日本には夏鳥として渡来し、全国各地の人家の軒先などに巣を作る。秋になると南方へ去るが、一部に越冬するものもいるらしい。呼び名には、他に、つばくら、つばくろ、つばくらめ がある。万葉集には、次…

オオデマリ

手毬花のこと。スイカズラ科ガマズミ属の落葉低木で、日本原産の藪手毬の園芸種。先日取りあげたコデマリ(小手毬)は、バラ科シモツケ属の落葉低木で、中国原産であった。 雨がへる手まりの花のかたまりの下に啼くなるすずしき夕 与謝野晶子 むらがりて真白…

藤の花(続)

正岡子規の次の藤の花ぶさの歌は、評価がなかなか難しい。 瓶にさす藤の花ぶさみじかければたたみの上にとどかざりけり 例えば、『諸説近代秀歌鑑賞』で、斎藤茂吉、釈迢空、松田常憲、五味保義、谷馨、木俣修、本林勝夫、蒲池文雄、安田章生、柴生田稔、宮…

藤の花

藤はマメ科のつる性の落葉低木で日本の特産。若芽は食用になる。幾筋も垂れた花房が揺れる様子から藤波という言葉が生まれた。紫藤には、野田藤と山藤の二種がある。他に白藤もある。藤は万葉集の時代から多く歌に詠まれてきた。万葉集には二十首以上ある。 …

楠若葉

楠は関東南部から九州に生育するクスノキ科の常緑高木で、二十メートルを越える大木になる。楠の森は神韻縹渺として心が洗われる思いがする。五月は若葉が目に沁みる。楠から樟脳ができるように、その材は、防虫剤、香料の原料にもなり医療に用いられる。 神…

報徳博物館

小田原城の敷地には、報徳二宮神社があり、県道を隔てて向かいに報徳博物館がある。ここには、二宮尊徳関係の資料や遺品などが多数収蔵されている。二宮尊徳(公文書では金次郎、自署は金治郎)は、1787年に小田原市栢山の農家に生まれた。十四歳で父を、十…

北條六斎市

戦国時代、小田原北條氏は領国施策の一環として、商業活性化策と情報収集策に「六斎市」を開催した。小田原北條氏は「六斎市」に集う商人たちに税を免除する優遇処置を施し、城下を繁栄に導いたという。この業績を偲ぶために、五月三、四、五日の連休に小田…

ホオジロ

スズメ目ホオジロ科。屋久島以北のわが国全土に生息する留鳥。抱卵は雌のみが行い、雄は縄張りを見張り、盛んにさえずる。俗に「源平つつじ白つつじ」と啼くというが、とてもそんな風には聞こえない。 高槻のこずゑにありて頬白のさへづる春となりにけるかも…

桐の花

桐の木は、ゴマノハグサ科キリ属の落葉高木。漢語の別名に白桐、泡桐、榮。初夏、円錐花序に淡い紫色の筒状の花をつける。葉にも特徴があり、広卵形の大きな葉をつける。中国が原産地というが、古くから最も軽い良質の木材として、下駄、箪笥、箏、神楽面の…

葉山湘南国際村センター

手近のつつじの名所といえば、葉山湘南国際村センター前方のつつじが丘を先ず思う。それで出かけてみたのだが、満開にはかなり時間が必要なようであった。いつものことながら、ここから子安の里を下って佐島側の海岸まで歩いた。そこから葉山御用邸までバス…

躑躅の季節

つつじヶ丘という地名は、日本のあちこちにあるようだ。五月ともなると躑躅の花で目立つ丘陵があれば、この名前がつけられたのだろう。躑躅は、ツツジ科ツツジ属の常緑または落葉低木の通称で、種類は多い。 躑躅わけ親仔の馬が牧に来る 水原秋桜子 ついつい…

木いちごの花

木苺はバラ科キイチゴ属の総称。茎や葉にとげのあることが多く、花は5弁、後に多数の果実を結ぶ。日本には約35種類が分布するという。 山椒の芽をたづね入る竹村にしたごもりさく木苺のはな 長塚 節 道のべの木いちごの花にほへるをあらそはなくに蜂ひと…