天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

横浜刑務所

テレビドラマを見ていて、この刑務所があることを知った。それで見に出かけた。どこからが敷地なのか、あいまいであったため、危く敷地内で写真を撮るところであった。 昭和11年5月に竣工したものらしいが、今でも外見はスマートで新しい。ここには死刑執行…

がまずみの花

ガマズミはすいかずら科の落葉低木。秋に赤い実をつける。花期は5月-6月で、白い小さい花の花序をつける。秋にかけて果実は赤く熟し、食用になる。焼酎に漬ければ果実酒になる。 かはづなく水田のさきの樹群(こむら)にししらしら見ゆる がまずみの花 長塚 節…

ハマナスの花

漢字では、浜薔薇、浜茄子 などと書く(もう一種あるのだが、このワープロでは表示不可)。太平洋岸の茨城以北、日本海岸の鳥取以北、北海道の砂地の海岸などに群生するバラ科の落葉低木。実が小さな梨に似ているところから「浜梨」となり、それが訛って「ハ…

アマリリス

百科事典によると、一般には熱帯アメリカ原産のヒガンバナ科の一属ヒッペアストルム属の園芸雑種を指す。わが国には、幕末に渡来したという。五月から六月頃に、ユリに似た六弁の大きい花を2-4個つける。花の色は白・橙・赤・など。花言葉は「誇り、内気、す…

浜昼顔

海岸の砂浜に生えるヒルガオ科の多年草で、茎は長く這う。初夏に花が咲き、種子は海流に運ばれる。 浜昼顔咲きてききゐる汐鳴りのかなた原油の流されし海 苔口万寿子 ひとつひとつ花仰向けてあかねさす日を溜めて咲く浜ひるがほは 大塚布見子 外見(そとみ)に…

かきつばた

あやめ科の多年草。ふるくは、「かきつはた」と清音であった。漢字では、燕子花、杜若などと表記する。花摺の染料。美女の比喩にもなる。万葉集では、七首の短歌に詠まれている。 次に全首あげておく。 常ならぬ人国山の秋津野の杜若をし夢に見るかも 住吉(…

菖蒲

サトイモ科。昔はあやめ、あやめぐさ(菖蒲草と書く)と呼んだ。現在のあやめ(花あやめ)はアヤメ科であり、全くの別種。では何時から区別ができるようになったか? 定かでない。和歌では、時鳥とともに詠われることが多かった。万葉集には、あやめぐさとし…

梅雨入り

太陽が黄経80度を通過する時で、現行の暦では6月11日の頃。これが標準になるが、地域や年により異なる。にゅうばい、ついり、つゆのいり。岡崎に遊びに行った翌日から愛知県は梅雨に入った。ほぼ標準どおりであった。 東雲のほととぎす聞く紅茶かな ト…

青葉潮(続)

あおばじお。魅力ある日本語である。初夏の青葉のころ、日本列島に近づいてくる黒潮を指す。四月のころは卯波、五月のころは皐月波、盛夏には土用波 と日本語は季節ごとの潮に言葉を当てた。 定置網しづむる沖の青葉潮 やまがらの声うるはしき山青葉 たたな…

青い薔薇

バラにはもともと青の色素がないことがわかり、「青いバラ」を品種改良のみで作ることは不可能ということになった。そこで「遺伝子組換え」などのバイオテクノロジーにたよることにして、日本のサントリーフラワーズとオーストラリアの植物工学企業であるカ…

じゃがいもの花

同じじゃがいもでも品種ごとに花の色が異なる。「とうや」は白い花、「キタアカリ」は紫の花、「だんしゃくいも」は淡いピンクの花といったぐあい。 馬鈴薯のうす紫の花に降る 雨を思へり 都の雨に 石川啄木 建物のあはひに満ちてじやがいもの花なれば花の生…

飲み過ぎだよ!

6月の短歌人・横浜歌会の題詠「ボトル」では、次の詠草を提出した。 四日とはもたぬボトルのバーボンはわが晩酌の「野の七面鳥」 出席者には、「ワイルド・ターキイ」のことだと直に判った。今となっては夢のような遠い話になるが、バーボンのワイルド・タ…

六月の漁港

どこの漁港に来ても見られる情景だが、天気の良い日には平日でも釣りをしている人たちがいる。高齢者が多いようだが、若者もまじる。特に大物が釣れるわけでもなく、雑魚を釣っては捨てることを繰り返す。お互いに顔なじみらしく、身内の近況なども話してい…

滑川(なめりかわ)

川床(砂岩層か)を舐めるように流れていることからこの名が付いたらしい。朝比奈峠の梶原太刀洗水を源流とし、由比ヶ浜・材木座まで流れる全長5.6キロの由緒ある川。ただし、名前は場所によって次のように変化する。上流から胡桃川、滑川、座禅川、夷堂…

黒松の花芽

黒松は、本州から九州の海岸地方に多く生え、防風林、防潮林として利用される。また生花、盆栽、用材などに向けても栽培される。花は4月から5月に、新枝の先に雌花数個。雄花は下部に多数つく。 松の花何せんと手をひらきたる 佐藤鬼房 雪つもる年のしるし…

早苗

歳時記には、苗代から田へ移し植えるころの稲の苗で、傍題として、捨苗、苗籠、早苗束、苗運び、早苗取、早苗舟、若苗、玉苗 など、という説明がある。旧暦五月は「早苗月」とも呼ばれた。 水張りて宮城野の苗いとけなき 清水基吉 早苗束抛りし空の浅間山 福…

のりうつぎ

ユキノシタ科アジサイ属の落葉低木。名前の由来は、この木の師部に含まれている多量の粘液物質を水に抽出し、製紙の糊としてつかったことにある。北海道ではサビタと言う。 藍深き水を見せつつ霧は散るさびたの花の白き崕(きし)より 尾上柴舟 逝く夏を惜しむ…

麦の秋

音読みで「麦秋(ばくしう)」。麦を刈り入れる初夏の季節である。この場合の「秋」の意味は収穫の「収」であり、季節の「秋」ではない。 麦の秋さもなき雨にぬれにけり 久保田万太郎 麦秋の中なるが悲し聖廃墟 水原秋桜子 まなじりを濡らし馬ゆく麦の秋 宮田…

栴檀(せんだん)

ムクロジ目センダン科の落葉高木。西日本を含むアジア各地の熱帯・亜熱帯域に自生する。別名としてアミノキ、オウチ(楝、樗)など。「栴檀は二葉より芳し」に出てくるセンダンは、白檀のことであり、別種になる。 栴檀の花散る那覇に入学す 杉田久女 久女が…

芍薬

ボタン科の多年草。アジア大陸北東部の原産。品種が多い。牡丹は「花の王」、芍薬は「花の宰相」と呼ばれることがある。牡丹が樹木であるのに対して、芍薬は草。 霜おほひの藁とりすつる芍薬の芽の紅に春の雨ふる 正岡子規 芍薬のつぼみふくらむ数数がやや高…

小判草

地中海沿岸が原産でイネ科の一年草。荒地や砂地にはえるが、観賞用に栽培もされる。日本には明治時代に、観賞用として入ったきたが、そのまま野に広まった。 亡きを偲ぶ木草年々に殖えゆきて今日は佇む小判草のまへ 吉田正俊 金婚は来らず金塊も持たずこばん…

シャリンバイ

東北地方南部から沖縄の海岸に生えるバラ科の常緑低木。新しくのびる枝が車輪のように輪になって出て、梅の花に似た白い花が咲くところから、この名がついた。秋に実が黒く熟れる。奄美大島では、樹皮を大島紬の染料にする。 車輪梅の実生あちこちに出でてを…

蕎麦の花

蕎麦は中央アジア原産、タデ科の一年草。夏ソバと秋ソバに大別される。「蕎麦の花」は、俳句では秋の季語。いつ我が国に渡来したか不明だが、かなり古い時代のこと。高血圧に効くルチンを含むので、年配者が好んで食べる傾向にある。 さやさやし蕎麦の花畑風…

力石(ちからいし)を詠む(続)

四日市大学経済学部・高島教授から、『力石を詠む 第四集』を頂いた。力石について折に触れて詠んでこのブログでも紹介したわが短歌や俳句も掲載されていて、うれしいと同時に大変恐縮している。この集によると、文人も力石を詠んでいることがわかる。 陽炎…

青葉梟

青葉木菟とも書き、アオバズクと読む。フクロウ科の鳥。わが国には、文字通り青葉の季節に渡ってきて、秋に南方へ去る夏鳥である。全長29cm。林に棲み、夜間に昆虫を捕食する。ホーホーと鳴く。 幼児はひとり寝につけり青葉木菟とほき木群(こむら)に啼き…

春田

鋤き終えた田んぼに、引き入れた水が次第に広がってゆく光景は、古代を思わせて懐かしい。区画された田んぼの畦道には、げんげの花が咲き残っている。 俳句では、次の一句にとどめを刺す。 みちのくの伊達の郡の春田かな 富安風生 名詞を連体修飾格の助詞「…

深緑の北鎌倉

五月晴れの朝、北鎌倉の東慶寺に寄り源氏山公園を歩いた。深緑の中、鶯、杜鵑、啄木鳥などの声が聞こえてなんとも清々しい。 たづさへて冥界にあり竹の秋 うぐひすの声したたれる谷戸の墓地 ほととぎす文人画家のねむる墓地 実朝の墓を訪ねて青葉闇 ももいろ…

青葉潮

江の島の東側に位置する湘南港(通称:江ノ島ヨットハーバー)は、1964年、東京オリンピックのヨット競技場として整備された。オリンピックでは40カ国が参加、選手281人、艇数109艇がフィン級からドラゴン級までの5種目を競った。また、1998年に開催された「…

やぐるま菊

矢車の花 ともいうキク科ヤグルマギク属。ユキノシタ科のヤグルマソウと混同されがちなので注意が必要。名前の由来は、小葉が端午の節句の鯉のぼりにそえる矢車に似ることによる。ヨーロッパ原産で、明治初期頃に日本に渡来したらしい。1922年に発掘されたツ…

ユキノシタ

漢字では、雪の下、鴨足草、虎耳草などと表記する。ユキノシタ科の常緑多年草。葉は天麩羅にして食べられる。抗菌、利尿、清熱、解毒、涼血などの効果がある。俳句では夏の季語。 名前の由来は、雪のような白い花の下に緑の葉を広げるから、あるいは白い舌状…