天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

グラジオラス

アヤメ科の球根植物で、アフリカ、地中海沿岸地方が原産。明治時代に欧米から輸入した。 夕くらき室より出でてたたずめばグラヂオラスの清白の花 松村英一 瓶にさすグラジオラスのこなた向く花のさやかにわが眠り覚む 谷 馨 日にいくつ咲きのぼるらむグラジ…

ノウゼンカズラ

漢字で凌霄花と書く。つる性落葉樹で茎から出る付着根により周囲のものにからみついて登る。中国原産。日本には平安時代に渡来したらしい。 棺車出づる家声なくて片蔭ののうぜんかづら饒舌に散る 蒔田さくら子 のうぜんかずら風に仄仄揺らぎいて梅雨の曇りを…

虎の尾

サクラソウ科の多年草。植生の場所によって、オカトラノオ、ノジトラノオ、ヌマトラノオなどがある。 虎の尾の乱れこぼるる花粉(はなこ)あり美しくして 吹きよせられぬ 吉田正俊 ひと流れの水をへだてて虎の尾の白き花房ゆらゆらと立つ 長沢美津

合歓の花

合歓(ねむ)はマメ科の落葉高木。本州から沖縄、東南アジアに広く分布する。夜になると葉が閉じて眠るように見えることから命名されたらしい。一度自分の目で確かめてみたいのだが。材は家具などに使われる。合歓は「こうか」と音読みすることもある。 吾妹…

きのこ2

きのこは菌類。かびなどと同じく、通俗的な用法で、分類学的に厳密な定義はできないらしい。全世界には、数千種類あり、地中、地上、腐木や特定植物に寄生あるいは共生する。冬虫夏草のように昆虫につくものもある。古名は「くさびら」。合成語では、松茸、…

きのこ1

藤沢新林公園の里山道を歩いていて白い茸を見つけた。傘を大きくひろげた茸は、倒されていた。多分、公園管理の人が、誤って食用に持て帰らないように注意を促すためにしたことであろう。掲載の画像は里山道で見つけたものだが、WEBで調べたところ、タマシロ…

緑陰

北鎌倉の円覚寺では、毎年この時期、方丈で夏季講座が開催される。聴講料は一回1200円。今年は、次のような演題。 22日: 白隠禅画の意味(芳澤 勝弘)、 昭和世代からの遺言(野中 廣務) 23日: 肝臓外科医から見た生と死(幕内 雅敏)、 日米関係…

つゆくさ

ツユクサ科の一年草。古名はツキクサ(着草)。布や和紙を染めるのに使っていた。蛍草、帽子花、青花、鴨跖草(おうせきそう)などの別名がある。万葉集などでは「月草」の表記が見られる。 つき草の移ろひやすく思へかもわが思ふ人の言も告げ来ぬ 万葉集・…

半夏生

ハンゲショウと読む。別名カタシログサ(片白草)。見た目からは、半化粧と書きたくなる。 ドクダミ科の植物で、6月末頃から、茎の先端部の葉が部分的に白くなる。季節の七十二候の一つで、夏至から11日目にあたる7月2日のころを指すこともある。 笛吹の…

梅雨明け

7月20日は「海の日」で祝日。1941年以来、この日は「海の記念日」とされていたのを、1996年に祝日に制定したもの。海洋国日本の繁栄を願う趣旨である。1876年に明治天皇が東北・北海道の巡幸を終えて汽船・明治丸で横浜に帰着した日にちなん…

茂吉が詠んだ元使塚

たまたま小池光『茂吉を読む』をめくっていたら、茂吉が藤沢市片瀬の常立寺にある元使塚を詠んだ歌に出会った。次である。 元の使者斬られて六百六十年の秋口にしてその墓洗ふ 『寒雲』茂吉が墓を洗ったわけでなく、追悼祭の新聞記事を見てこの歌を作った。…

蛍ぶくろ

ききょう科の多年草で日本、中国、シベリアに分布する。幼い頃、蛍を捕まえたらこの袋に入れていた思い出がある。花言葉は「正義」「貞節」「愛らしさ」「忠実」。 いろ淡きほたるぶくろの花ゆりてひとところ風の影みだしすぐ 中村源一郎 むらさきに梅雨の雨…

山百合

日本特産のユリ。北海道と北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する。 ユリ科の中で最大級、重みで全体が傾くほど。ユリは世界に約100種、日本でも15種が自生する。姫ゆり、白百合、黒百合、鉄砲百合、鬼百合など。万葉集には十一首詠ま…

たまご茸

梅雨の吾妻山を歩いていたら、たまご茸に出会った。この名前は、写真を撮って帰宅してWEBで調べてから知ったのである。ハラタケ目テングタケ科テングタケ属テングタケ亜属タマゴタケ節のキノコ。なんとも細かく分類されたものである。タマゴタケは食用に…

七夕(続)

人名に興味を持って、いま万葉集を見返しているが、あらためて万葉集の若々しさを感じる。艶めかしいのだ。その典型が巻十「秋の雑歌」一連である。彦星と織姫の歌が、ここに集中している。少し抜き出しておく。 天の川楫(かぢ)の音聞こゆ彦星と織女(たなば…

沙羅の木

ツバキ科の落葉高木。インド産の沙羅双樹と間違えられてサラノキ、シャラノキと呼ばれるが、植物名は夏椿である。 命二つ対へば寂し沙羅の花ほつたりと石に落ちて音あり 北原白秋 雨つづくあけくれ沙羅の咲きて散り白冴えざえと土につく花 千代国一 ちぶさよ…

定家葛

キョウチクトウ科のつる性常緑低木。本州〜四国・九州地方の温暖な場所に分布する。名は、謡曲の「定家」に由来すると言われる。皇女・式子内親王を慕う歌人・藤原定家は、内親王が亡くなっても蔦葛になって彼女の墓石にまつわりついた。内親王の霊が、から…

ラベンダー

地中海沿岸が原産でシソ科の常緑小低木。芳香のある油がとれるので、香料の原料になる。石鹸や化粧品に用いられる。さし木でふやす。 翳りたる畑と紫まさる畑濃淡見えてラベンダーの輝る 宮 英子 ラベンダーの紫ふかし蝦夷梅雨の曇りのもとにいろ鎮みつつ 杜…

夏越(なごし)の祓

陰暦六月の晦日に行う祓のこと。陽暦では六月三十日とか七月三十一日に行う行事となった。形代に半年間の穢れを託して川に流したり、茅の輪をくぐる。 賀茂川に日の衰へし御祓(みそぎ)かな 村山古郷 海の子の茅の輪くぐりに興じをり 中村苑子 形代を流せし指…

七夕

七夕は陰暦の七月七日だが、季語の上では早くも秋である。漢字では、棚機、織女などとも。 俳句の傍題は、七夕祭、七夕竹、七夕流し、星祭、星迎、星合、星今宵、二星、牽牛、織女、願ひの糸と多彩である。 七夕や天皇の御名を書しまつる 山口誓子 七夕の竹…

梅雨の晴れ間

久しぶりに江ノ電に乗って、極楽寺に行き、成就院、長谷寺、光則寺と歩いた。成就院の参道や長谷寺の山斜面は紫陽花の名所ということで、大変な人出。なんともざわついた光景になる。長谷寺裏手の光則寺本堂の静かな縁側に坐って、鶯の声を聞いていると心も…

さくらんぼ

桜桃。バラ科の果樹。日本で栽培されるのは、明治十一年に中国より渡来した生食用の甘味桜桃で、5月に開花、6月に成熟する。 みちのくの宵の人出にさくらんぼ 福田蓼汀 さくらんぼ紅さして子の嫁ぎけり 村上しゆら 色づきて一つ見いでしさくらんぼみれば幾…

十王

北鎌倉の円応寺から亀ケ谷坂を越えて、海蔵寺、銭洗弁財天と歩いてきた。円応寺には十王の彫像が置いてある。十王とは、秦広王、初江王、宋帝王、五官王、閻魔王、変成王、泰山王、平等王、都市王、五道転輪王 のこと。これらの像は、みな中国の服装をしてい…

額紫陽花

日本原産のアジサイ。ガクアジサイの「ガク」は周辺の大きな装飾花が中央の細かな両性花を取り囲んだ平たい花形を、額縁に見立てて江戸時代に付けられた和名らしい。もともと「あじさい」の名は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい」からきたと言う…

キャベツ

欧州原産アブラナ科の一、二年生野菜で、わが国では明治末期頃から普及したという。 他に甘藍、玉菜などの呼び名がある。 ルルド道甘藍畑のかがやけり 下村かよ子 菅平しか知らぬ母キャベツ取る 三輪浅茅 嬬恋に玉菜すすぎの雨いたる 田中忠男 あるときは大…

無患子の花

無患子と書いて「ムクロジ」と読む。ムクロジ科の落葉高木。梅雨の時期に小枝の先に大形の円錐花序を出して、淡緑色の小花を多数つける。十月に熟する球形の実の中の黒い種子は追羽根の球に用いる。藤沢新林公園の古民家の裏庭に、大きな無患子の木があり、…

岩たばこ

イワタバコ科イワタバコ属の多年草で谷間の湿った崖や水の滴る岩壁に着生する。タバコに似た葉をもつところからの命名。若葉は食用になる。本州、四国、九州、南西諸島に分布し、台湾にも見られる。万葉集に出てくる次の歌の「山ぢさ」は、「いわたばこ」の…

どくだみ

本州から九州にかけて平地、路傍の陰間に生えるドクダミ科の多年草である。煎じれば利尿、駆虫に効果あり、生の葉は化膿やの傷に効能あり。漢字では、蕺と書く。別名に、十薬や十字科の花。 どくだみの花のにほひを思ふとき青みて迫る君がまなざし 北原白秋 …

みやこわすれ

キク科ミヤマヨメナ属。別名:野春菊(ノシュンギク)、東菊(アズマギク)。山野に自生するミヤマヨメナの日本産園芸品種。花色には紫青、青、白、ピンクなど多種ある。 名前の由来は、承久の乱で佐渡に流された順徳天皇が、この花を見ると都への思いを忘れ…

カルミア

別名はアメリカシャクナゲあるいは、ハナガサシャクナゲ。北米原産でツツジ科カルミア属の常緑低木。北米の植物を収集したスウェーデンの植物学者ペール・カルムにちなみ命名された。葉はグラヤノトキシンを含み有毒。特に羊が中毒しやすく、一部の種は「羊…