天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

つくつく法師

体長は45mm内外。暗黄緑色で黒斑がある。 つくつく法師の夕日となれりこの庭にうつし世ごとをもちて吾 が立つ 臼井大翼 つくつくぼうし三面鏡の三面のおくがに啼きてちひさきひかり 葛原妙子 日落つるまでつくつく法師つくづくと伊豆のもなかに来し秋を…

半翅目セミ科に属する昆虫の総称。世界には約千五百種が分布するという。日本には三十種あまりいるというが、六種くらいしか知らない。万葉集と新古今集について、蝉の歌を調べると、それぞれ5首と6首が載っている。 石走る滝もとどろに鳴く蝉の声をし聞け…

蜘蛛の囲

クモは節足動物クモ科の総称。網(巣、囲い)を張る種類と張らない種類とがある。肉食性で獲物を射して毒液で弱らせたあと、酵素で口外消化し、ポンプ式の胃で吸収する。蜘蛛の形が小蟹に似ているところから、古くは、「ささがに」と呼んだ。「ささがにの」…

処暑の大磯

処暑は二十四節気の一つで、太陽歴の八月二十四日頃にあたる。久しぶりに旧吉田邸跡に行ってみた。中には入れない。垣根の外から見る限り、焼け跡を感じさせる光景はなく、緑に覆われていた。戦後の日本の行方を決定づける相談も為されたであろう場所を思う…

ギボウシ

ギボウシュ、ギボシなどとも言う。ユリ科ギボウシ属の総称で、耐寒性多年草。花の蕾が建築物の装飾である擬宝珠に似ていることから、名前がそのまま流用された。昼咲きの一日花が多い。即ち、朝開花し夕方には萎れる。日本には、コバギボウシ、オオバギボウ…

弟切草

オトギリソウは日本全国に分布する多年草。花弁・顎には黒点と黒線がはいる。葉は先端に至るほど幅が狭くなり、黒点がめだつ。草を絞った汁が切り傷や打撲傷に用いられた。漢方でも止血剤にする。名の由来は、秘伝の薬草の名前を他人に漏らしてしまった弟を…

炎暑

朝から猛暑の江ノ島を歩いていたら、急な石段の上り下りが祟って気分が悪くなり吐きそうになった。明らかに熱中症だ。汗を拭いても木蔭に入っても一向に良くならない。俯けばさらに吐き気をもよおす。思い切って石段に仰向けになり、胸まではだけてみた。す…

短歌を詠む要諦

小池光の「短歌人」作品月評には、常に注目し、逃さず読んでいる。月評に限らないが、彼の文章はまことに読みやすく、なにより愉快なのである。戦後屈指の文章家と私はかってに評価している。「短歌人」7月号と8月号では、会員1の月評を担当。以下では、…

イチロー

今年のイチローのバッティングには、イライラさせられどうしである。イチローに対する時、どこのピッチャーも、先ず初球でストライクを取りに来る。それもイチローにとってはやさしいコースである。第二球もストライクが多い。イチローは多くの場合、ストラ…

百日紅

ひゃくじつこう、サルスベリは、ミソハギ科の落葉高木で中国南部の原産。花の色には、紅紫、淡紅、白などがある。挿し木か実生により繁殖する。矮性種は盆栽にされる。 そのかみの百日紅は軍帽の赤き総なり忘れねば見る 森岡貞香 さるすべりわが眩暈のみなも…

蓮の実

蓮の花が散ると、中心の花托は蜂の巣状になる。ここから蓮の古名の「はちす」が由来した。その穴の中に種子(実)ができている。種子の寿命は驚くほど永く、1000年以上経ってから発芽した例もあるという。なお当然ながら地下茎が蓮根になる。子供の頃、…

揚羽蝶

鱗翅目アゲハチョウ科の一種。幼虫はカラタチ、ミカン、サンショウなどの葉を食べ、蛹で冬を越す。アゲハチョウ科の蝶は、世界に約550種。カラスアゲハ、ウスバキチョウ、ギフチョウなどが含まれる。 黒揚羽生霊のごとさまよへり人に家ありて灯をともすこ…

灯籠

先祖の御霊を供養するための灯火であり、特に盆の時期に軒先や庭に吊り下げられる。観光地では、道路沿いに地面に並べられる光景も見かける。すでに紹介したことがあるが、鎌倉八幡宮境内に、八月の旧盆に掲げられる灯籠は、文人、画家、芸能人などが独自に…

立葵

葵はアオイ科の植物の総称で、タチアオイ、ゼニアオイ、モミジアオイなど。このうちタチアオイは、小アジア、中国が原産のアオイ科の二年草。漢名は蜀葵(しょくき)。わが国には、奈良時代にはすでに渡来していた。葵は、フタバアオイ、フユアオイなどを差…

ピアノ

イタリア語ピアノフォルテの省略形。1709年にイタリアのクリストフォリが開発したものが最初とされる。ハープシコードに代って鍵盤楽器の主体になった。日本語の洋琴は、なんとも古めかしい。グランド(平型)ピアノとアップライト(竪型)ピアノの二種…

向日葵

ヒマワリは北米原産のキク科の一年草。種子は灰白色で食用、石鹸材などになる。花言葉はあこがれ。日の照る方に向かって花が回ることから名が付いた。ただこの目で確かめてはいない。下にあげる古泉千樫の歌があるので、実際を定点観測した写真が見てみたい…

凌寒荘

熱海西山町、来宮神社の上手にある佐佐木信綱旧居である。毎週土曜日と日曜日に一般公開されている。残念ながらまだ一度も内部を見学していない。門前にある説明板には、次のような紹介文がある。 昭和19年、72歳のとき肺炎を患い病後の静養地として、冬…

中山晋平

先日、テレビで作曲家・中山晋平の生涯を見て感動した。そこに出てきた和田登という人の著『唄の旅人 中山晋平』を購入して、この夏休みに読んでいる。それだけでは足りず、暑いさなか、熱海梅園に移築されている旧居(中山晋平記念館)を訪ねた。早春には梅…

鬼灯

ホオズキは、漢字で酸漿とも書くが、ナス科の多年草。袋の中に赤く熟した実は、種を除いて空にして、吹き鳴らす。といっても昔のことで、現在は田舎でも見かけない。根や果実は鎮咳、利尿などの薬用になる。7月9,10日は浅草観音の鬼灯市。盆頃にはスー…

蒲の穂

ガマ科の多年草。蒲の花粉には止血、利尿の効能がある。大国主命が、ワニに毛皮を剥がれた因幡の白うさぎを治療した時に、これを用いた。 漢字の「蒲」を入れた熟語は多い。蒲団(ふとん)の字は、昔、ガマの綿毛を寝具に入れたことから。蒲鉾(かまぼこ)は…

藪茗荷

ツユクサ科の多年草。夏から秋にかけて、茎の上部に白色の小花を沢山つける。これを花茗荷という。球形の実は藍色に熟す。 所嫌はずはびこり花咲くやぶめうがひとり楽しむこの四五日を 吉田正俊 はろばろと降(くだ)りたまひし小さ神草のあはひに立つ花茗荷 …

桔梗

キキョウ科の多年草で、日本全土、朝鮮半島、中国、東シベリアに分布する。根はサポニンを多く含むところから生薬として利用される。秋の七草のひとつだが、梅雨の時期に早くも花をつける。古名は「きちかう」。万葉集のアサガオは、桔梗のことという説あり…

立秋

八月八日の頃、暦の上で秋にはいる。今年の立秋は七日。 秋立つは水にかも似る 洗はれて 思ひことごと新しくなる 石川啄木 秋立ちてすべなく暑き日の中にいちびの花もをさまりてゆく 土屋文明 里芋の汁あつくして父と吸ふ夜目にふるるもの皆秋となる 馬場あ…

萱草

かんぞうはユリ科の多年草。鬼百合に似た赤黄色の六弁花が咲く。はえる場所に応じて、ヤブカンゾウ、ワスレグサ、オニカンゾウ、ノカンゾウ、ハマカンゾウなどがある。若葉は食用になるらしい。 萱草の芽は焦げながら萌え出でぬ草焼きしあと霜のふらねば 松…

金魚草

ゴマノハグサ科キンギョソウ属の植物。南ヨーロッパと北アフリカの地中海沿岸部を原産地とする。日本には江戸時代後半に渡来。花言葉は「仮定、推測、予知」。種子からは良質の油がとれる。 洪水にのまれてゆきしかの金魚風にそよぎて花と咲きたり

木苺

バラ科キイチゴ属の総称。日本には約35種が分布する。草本性m7のもの、つる性のものなど変化に富む。欧米北部で栽培されるラズベリーは、実が花托と分離しやすく中空になる。その実は甘く、生食にもジャムにも供される。 まぐさ刈る長狭(ながさ)細野(ほそ…

金魚

フナの突然変異であるヒブナを観賞用に飼育、交配を重ねていったもので、原産地は中国。わが国には室町時代に輸入された。江戸時代から観賞用に多くの品種ができた。和金、琉金、出目金、珠文金、蘭鑄、オランダシシガシラなど。養殖地として、大和郡山市、…

ざくろ

ザクロ科の落葉高木で、インド北西部からイランが原産。高さは7、8メートルにもなる。 インドには、釈迦が鬼子母神に子供の肉の代わりにザクロを与えたという伝説がある。漢名では、石榴(せきりう)。実ざくろ。 いと酢(す)き赤き柘榴をひきちぎり日の光(て…

蓮の花

蓮はスイレン科の多年草。熱帯アジア原産だが、わが国には、今から2000年以上前の古代のハスの実から発芽・開花した古代ハスの大賀ハスがある。蓮の花が象徴するものは、仏教では極楽浄土。従って和歌では釈教歌によく詠われる。「はちす」と詠むことが多い…

みそはぎ

ミソハギ科の多年草。盆の頃に咲き、仏前に供えられるのでボンバナ(盆花)とも、ミソギハギ(禊萩)とも言う。漢字では、千屈菜、鼠尾草などと書く。 千屈菜や若狭小浜の古寺巡り 湯下量園 みそ萩の直ぐ立つ梗に手を伸べぬ詣で申さずちちははの墓 千代国一 …