天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2010-09-01から1ヶ月間の記事一覧

10年連続200安打

今年は、春先から米国のMLB(メジャーリーグベースボール)に浸りきりになっている。NHKのBS放送で、休日は朝から、平日はビデオにとるなどして欠かさず見てきた。解説者の話も適切で、従来に比べると洗練されている。中でも大島康徳、伊藤 勤、武田…

アリ科を除く膜翅目の昆虫の総称で、世界には約10万種が存在する。特に熱帯に多くの種類がいる。 夕青き微光のなかにあがりゆく足長蜂は脚を垂らせり 北原白秋 酒(さか)ほがひ蜜蜂(すがる)のごとく酔ひ痴れて羽な鳴らしそ 君もおはすに 吉井 勇 かがやきて…

晩夏の湖畔

湖とは、広辞苑によると、水海の意味で、周囲を陸地で囲まれ、直接海と連絡のない静止した水塊。普通は中央部が沿岸植物の侵入を許さない程度の深度(5メートル以上)をもつもの、とある。現代歌人も湖をよく詠んでいるが、冬の情景が多いように感じる。今…

糸瓜(へちま)忌

正岡子規は、明治35年9月19日の未明に亡くなった。前日に糸瓜を詠んだ次の辞世三句は、よく知られている。 糸瓜咲て痰のつまりし仏かな 痰一斗糸瓜の水も間にあはず をととひのへちまの水も取らざりき よって俳句の歳時記では、9月19日を糸瓜忌とす…

天城臭木

あまぎのくさき。クマツヅラ(熊葛)科クサギ(臭木)属の落葉低木。中国原産。伊豆の天城山に多く見られる事から命名された。臭木は、葉に悪臭があるところからきている。若葉は、ゆでると食用になるので、山菜として利用される。 昨日今日臭木の花の散りた…

夏の夕雲

北陸地方は大雨だという。関東地方も夜から雨になるとの予報。日没直後にポストを見に行こうとして北の空を見上げると、右のような異様な形と色の雲があった。あわてて部屋に引き返しデジカメを持ちだしてシャッターを押したもの。数枚の写真を撮っている内…

秋海棠

シュウカイドウ科ベゴニア属に分類される多年生球根植物で、中国原産。わが国には、江戸時代初期に園芸用に持ち込まれた。貝原益軒の『大和本草』に、「寛永年中、中華より初て長崎に来る。花の色海棠に似たり。故に名付く」と記されているらしい。別名に瓔…

葛の花

マメ科つる性の多年草。根は深く這って太く長芋状になる。この根からは葛粉や漢方薬が作られる。秋の七草の一つ。葛の名は、古来大和の国栖(くず)が葛粉の産地であるところからきている。 葛の花ここにも咲きて人里のものの恋しき心おこらず 斎藤茂吉 みね…

鳥居

神域と俗界を区画する結界で、神域への入口を示す門。ひとつの参道に複数の鳥居がある場合は、外側から「一の鳥居、二の鳥居…」と呼ぶ。鳥居の起源には諸説ある(インド仏教のトラナ、中国の華表、朝鮮半島の紅箭門、イスラエルの移動型神殿、アカ族の「村の…

残暑の若宮大路

下馬交差点に市が設置した碑には、大略次のような説明がある。 治承4年(1180年)鎌倉に入った源頼朝は、この地を政治の中心地とし、鎌倉幕府150年の基礎を築き、翌々年、八幡宮と由比ヶ浜を結ぶ道を一直線に改修した。それが若宮大路の始まりとされる。…

酒を詠む

今年の短歌雑誌「歌壇」九月号で、「短歌と酒の関係―歌人は酒に何を託したか」という特集を組んでいる。ここでいう酒は、日本酒に限らず、アルコール飲料の総称として扱われている。歌と酒はつきものであり、その典型が演歌である。酒を詠んだ短歌も無数にあ…

洪水の後

今年の台風九号による大雨でいくつかの地域で洪水が発生した。神奈川県下では、酒匂川の氾濫がニュース映像に流れた。足柄紫陽花まつりの際には、決まってこの川を訪れるほど馴染んでいるので、今回の洪水の後を見に行った。依然濁流が残っていたが、水勢は…

洪水(2)

水害に遭いそれを歌に詠んだ歌人に伊藤左千夫がいる。明治43年(1910)8月、東京を大洪水が襲った。左千夫は、恐怖で眠れない夜を『水害雑録』という文章に書いているが、次のように短歌にも詠んだ。 水害の疲れを病みて夢も只其の禍ひの夜の騒ぎはなれず 水…

洪水(1)

近年は世界的に大洪水が頻発している。今年にしても、中国、パキスタン、ガテマラ、北朝鮮、アメリカなどで川が氾濫して、国連に支援を求める事態になっている。わが国では、春の融雪期、梅雨期、秋の台風期に多い。東京のような大都市では、もともと川であ…

瓢箪

ひょうたんは、瓢(ふくべ、ひさご)とも言う。ウリ科の蔓性一年草でユウガオの一変種。成熟したものを10日ほど水につけてから、果肉を取り去り酒器などにする。 昼寝して顔のかなしき青瓢 森 澄雄 青瓢ゆるる彼方も大和かな 小川春子 月夜よし二つの瓢(ふ…

朝顔の歌(2)

現代短歌で詠まれた朝顔の歌もいくつかあげておこう。高野公彦の歌は最もよく知られた例である。 江戸川区鹿骨よりぞ運ばれて藍すずしかる市の朝顔 蒔田さくら子 存在を紺に絞りてさだめなき世に朝顔の初のいちりん 蒔田さくら子 あさがおは朝虚ろの口を開く…

朝顔の歌(1)

ヒルガオ科の一年草。わが国には、平安時代に中国から渡来した。従って万葉集にでてくる次の五首の歌の朝顔は、桔梗とか槿あるいは昼顔ではないかという説がある。 萩の花尾花葛花瞿麦(なでしこ)の花女郎花(をみなへし)また藤袴 朝貌の花 万葉集・山上憶良 …

かぼちゃ

蔓性うり科の野菜。原産地は南北アメリカ大陸であるが、わが国にはポルトガルから天文年間に渡来した。漢字では、南瓜と表記する。唐茄子とも言った。 だれよりも神父が食ひぬ南瓜汁 綾部仁喜 あかあかと南瓜ころがりゐたりけりむかうの道を農夫はかへる 斎…

ウリ科の蔓性草木でその果実の総称。キュウリ、マクワウリ、メロンなどを含む。古くは、マクワウリのことを指した。これは、インド、中央アジア原産という。 街道にくだけし瓜や奈良格子 桂 信子 おとにきくこまの渡のうりつくりとなりかくなりなる心かな 拾…

酔芙蓉

アオイ科の芙蓉の中で、咲き始めは白いが、次第に紅色に変わるものを酔芙蓉(すいふよう)という。酒を飲むほどに顔色が赤くなっていく状況に似せてつけられた名前である。植物にとってはいい迷惑だろう。 枝ぶりの日ごとにかはる芙蓉かな 芭蕉 おもかげのう…

さがみ縦貫道

さがみ縦貫道は圏央道の一部で、茅ヶ崎の新湘南バイパスより分かれたあと相模川に沿って北上し、八王子JCTで既設の圏央道及び中央道に接続する。この内、神奈川県内の名称として 正式に「さがみ縦貫道路」と書く。平成21年度に東名・海老名JCTから海老…

デイゴ

漢字では梯梧と書く。海紅豆(かいこうづ)ともいう。インド、マレー地方の原産というマメ科の落葉高木。ブラジル原産のアメリカデイゴは、寒さに強く、花は大きくて丸みがある。海に近い場所で見かけることが多い。沖縄の首里城下で、街路樹のように並んでい…

初秋の吾妻山

八月も終りになると、さすがに日差にも秋の気配が漂う。空気が乾燥してきているせいもあろう。駅を過ぎる貨物列車に線路沿いのえのころ草が戦ぐ風景も秋である。いつもの散策コースだが、吾妻山に登る前に、二宮海岸に坐って釣りの様子をぼんやり見ていた。…

夾竹桃

キョウチクトウ科の常緑低木。葉は竹の葉に似て桃色の花が咲くところから名前がついたようである。花の色は桃色が多いが、白、淡黄、絞りなどもある。インド原産。 墓地かげの夾竹桃の花の色のくれなゐ黒く夕ぐれにけり 古泉千樫 古がめに一枝をりさし はれ…

鶴亀石

鎌倉の鶴ケ丘八幡宮境内由比若宮遙拝所横にある。相模国風土記に出てくるというから目出度さも極まる。だが、相模国風土記は古風土記であり、奈良時代に編纂されたもので、まともなものは残っていないはず。正確には、新編相模国風土記稿のことではないか?…

蜻蛉

せいれい、トンボ。トンボ目に属する昆虫の総称。世界には約5000種が生息。不完全変態。卵から幼虫(ヤゴ)を経て成虫に至るその一世代は、短くて半年、長ければ数年で、ムカシトンボなどでは7年を要するという。成熟するまでに生活の場所を移動する種…

ポスト

郵便事業が始まったのは、明治四年三月。翌明治五年、東京府下に郵便取扱所を開設するにあたり、書状箱を設置した。これがポストの始まりである。郵便法による正式名称は郵便差出箱。日本の初期のポストの色は黒色だった。しかし街灯などが十分に整備されて…

炎暑の植物園

この炎暑のさなか、植物園を訪れる人など極めてまれである。大船フラワーセンターも例外でなく、汗拭きながら園内を廻る人などほとんど見当たらない。当然であろう、熱帯産植物以外は、われわれ人間同様、暑さにげんなりしているのだ。 縞々のおもちゃかぼち…

空蝉

ここでは、蝉のぬけがらの歌をとりあげるが、広辞苑によると、「現人(うつせみ)」に「空蝉(うつせみ)」の字を当てて、魂がぬけた虚脱状態の身をも意味するようになったのは平安時代以降らしい。 うつせみは数なき身なり山川の清けき見つつ道を尋ねな 万葉集…

ミンミン蝉

日本の特産種の蝉で全国に分布する。幼虫は地中に7年間を過ごすという。黒地に緑紋があるが個体変異が多い。体長は62mm内外。外見だけではつくつく法師と見分けがつきにくい。大きさや声の違いで判別できる。 あかつきにみんみん蝉の競ふこゑ今日は今日…