天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2012-08-01から1ヶ月間の記事一覧

踊り

華やかなのは、山形の花笠踊り。日本人として海外にも誇りたい踊りに、徳島阿波踊、越中八尾の風の盆 がある。踊りの振り付けも毎年工夫がなされ観客に深い感動を与える。庶民も参加するものとしては盆踊りが一番なじみ深い。踊は初秋の季語。傍題に、盆踊、…

土用波

土用はもともと立夏・立秋・立冬・立春の前の各十八日間をいう。ただ一般的には、立秋前の十八日間を指している。そして土用波はこの頃に太平洋側の海岸に見られる高波である。サーファには嬉しい。 土用波沖見えぬまで立ちにけり 松藤夏山 土用波わが立つ崖…

海水浴

七月二十日は海の日。海開きと共に海浜に海の家が立ち並び、休日ともなれば、芋の子を洗うほどの人出になる。そして九月に入ると海の家は取り払われて海辺は閑散となる。神奈川県では、1885年に医師・松本順らが大磯に開いた海水浴場が一般庶民に提供された…

花火

打ち上げや仕掛けなどの大型花火(揚花火)と庭先で楽しむ線香花火などの玩具花火(手花火)と、二種類に大別される。初期俳諧では、盆行事の一環と考えられて、本来秋の季語だが、現在では納涼の観点から夏の季語になっている歳時記もある。一万発以上を打…

残暑雑詠(1)

昼間のうだるような暑さと後を絶たない日射病に変りはないが、空の雲山野の草木のたたずまいや吹き渡る風に秋の気配が濃くなってきた。 青田道をさなの後に従へり 枝豆をとばして口に秋来る 舘山寺花火見上ぐる観覧車 早稲の田を黒きボロきれとりかこみ 目路…

鴉(からす)

カラス科の鳥の総称。全国に分布。ハシブトガラスは太い嘴でカアカアと啼き、ハシボソガラスは細い嘴でガアガアと啼く。鳥の中でもカラスは古来、歌に多く詠まれている。身近で賢いからであろう。ただ大群になると不吉の前兆を思わせ怖がられることになる。…

ヨット

三角の帆を張り風をはらんで海原を走る小型の西洋式帆船。 競ふとも見えぬ遠さのヨットかな 三村純也 漁港ともヨットハーバーともつかず 吉岡翠生 船溜りに冬のヨットら帆檣の鋭き針の何指すゆらぎ 高安国世 ヨット一艘丸ごと洗ひたし十一月の洗濯日和どこま…

ヒマワリ

向日葵の歌や俳句は、これまでに何度も取り上げた。向日葵を最も多く歌に詠んだのは寺山修司であろう。八首あった(2010年8月16日参照)。以下には、今迄紹介しなかった作品をあげる。 向日葵に剣の如きレールかな 松本たかし 向日葵の群れ立つは乱ある如し …

夏の風(3)

山背風(やませ): 東北地方の太平洋沿岸に山越えて吹いてくる冷たい北東風のこと。山瀬風とも書く。 津軽女等やませの寒き頬被 富安風生 やませ来るいたちのやうにしなやかに 佐藤鬼房 勝ち負けの弓のやませに散る花をまとゐの外の人も見よかし 弁乳母 野を…

中国原産というバラ科の落葉果樹。日本にも古くからあったが、現在の栽培種は明治になって中国から輸入された水蜜桃をもとに改良されたもの。 「古事記」に桃が出てくる。いざなぎの命が黄泉国から逃げ帰るとき、死んだ妻のいざなみの命がさしむけた黄泉醜女…

夏の風(2)

文献的に最も古い風の名に「あいの風」があるという。 東(あゆ)の風いたく吹くらし奈呉の海士の釣りする小舟 漕ぎかくるみゆ 万葉集・大伴家持 家持は越中国に国司として滞在していたが、そこの方言で「あいの風」を「あゆの風」と訛った。類似の風に、「地…

水泳

ロンドン五輪の百メートル平泳ぎ決勝で北島が5位に終わった。そして一位の世界記録が生れた。3回連続の金メダルはさすがに難しい。個人として進化し記録を更新し続けなければならない。これは水泳に限らない。一体生物界に年を取る程高度になる才能などあ…

夏の風(1)

雨や風の種類を細かく区別して名付けている国は他にないであろう。先ずは一般的な「夏の風」、及び古歌の「涼しき風」を詠んだ和歌から取り上げる。 夏と秋とゆきかふ空のかよひぢはかたへすずしき風や吹くらむ 古今集・凡河内躬恒 窓近きいささむら竹風吹け…

炎暑雑詠(3)

里山では、木立の中は日差は避けられるが、丘陵を上下すると汗をふんだんにかく。藤沢の新林公園、横浜の舞岡公園、座間の谷戸山公園。わが定番の散策場所である。溜池では牛蛙が啼いている。これも定番。 道祖神鉄砲宿の木下闇 みそはぎの花の群落晩夏光 里…

蓮の花

アジアでは聖なる花。阿弥陀如来の住む極楽浄土に咲く花とされる。和歌集では釈教の部に入れられている。花が散った後の花托の形が蜂の巣に似ているところから「ハチス」と呼ばれた。それが「ハス」になった。蓮は夏の季語で、傍題に蓮の花、蓮華、蓮池、は…

サッカー

シュートが決まらないとイライラしてくるので、このスポーツはわが性格には合わない。ついついダイジェストだけ見ればよい、となってしまう。ただ永井選手の足の速さには、ビックリ! 小気味良い。ライバルは誰かと聞かれて、ウサイン・ボルトと応えて笑って…

牛蛙

一般に食用ガエルの名で知られるアカガエル科の一種。原産地は北米南東部で、1918年に日本に移入された。現在は各地の平地の池に生息し、昆虫や魚介類を捕食する。食用に供され、近年では、逆に米国に輸出される。学生の頃、一度だけ食べたような記憶がある…

炎暑雑詠(2)

横浜三渓園の朝顔展に行ってきた。毎年開催されている。以前に行った時には、洗面器大の朝顔があり、びっくりしたが、今回はそれほどのものは無かった。蓮池では牛蛙がぶおうぶおうと啼いていた。 渓流の音に眠れる夏座敷 牛蛙啼きて揺れたり蓮の花 朝顔の貼…

サルビア

夏の花壇を彩る花だが、初秋まで咲き続けるので、歳時記によっては秋の季語にしているものもある。原産地はブラジルで、わが国には江戸時代にオランダ経由で渡来した。 サルビアの花の衰へ見れば見ゆ 五十嵐播水 サルビアのどつと暮れたる海のいろ 黒田杏子 …

ウィスキー

百科事典によれば、今日のウィスキーの原型はイギリスにあり、12世紀頃とされる。原料と製法からモルトとグレーンに分類される。 ◆モルトウィスキー: 大麦麦芽のみが原料。単式蒸留機で2回蒸留 する。麦芽を乾燥させるのにピートを用いるので燻臭がつく…

ミソハギ

禊花(みそぎはな)、禊(みそぎ)萩(はぎ)が転じた名ともいい、漢字では千屈菜、鼠尾萩と漢名の表記を当てたり、溝萩と書いたりする。生薬として下痢止めの効果があるという。若葉は食用になるらしいが、まだ食べたことがない。湿地に群生する。 みそ萩や母なき…

立秋

二十四節気の一つで、夏至と秋分の中間になる。現在の暦では、8月7,8日にあたる。旧暦では秋の始まり。古典の和歌に趣が深い。 秋立つや素湯香しき施薬院 蕪村 草花を描く日課や秋に入る 正岡子規 秋たつや川瀬にまじる風の音 飯田蛇笏 足早に秋来る雨の…

炎暑雑詠(1)

猛暑の日に大船フラワーセンターに行ってきた。文字通りいろいろな色、形の朝顔の鉢が並べてあった。炎天なので園内は熱くて歩けたものではないだろうと思ったのだが、さにあらず。水を撒いてあったので、意外に涼しく町中よりはるかに心地よかった。 わが頭…

爬虫綱カメ目の総称。南極を除く各大陸および海洋に分布する。最古のカメの化石は三畳紀末期のもので、現生種とあまり変わらないという。現在、約230種が棲息する。 万葉集には、長歌2首(50、3811)に詠まれている。俳句の季語には、「亀鳴く(傍題:亀…

ギボウシ

漢字では擬宝珠と表記する。もともと橋の欄干に取り付けられる金具であった。その形に花が似ているところからついた名前。ユリ科ギボウシ属の総称。東アジアに20種ほどが分布する。一日花で、朝開き、午後にはしおれる。日本にはコバギボウシ、オオバギボ…

陰陽瀧

梅雨明けが宣言された後も雨が降り続いてうんざりしていたが、やっと晴れた。定番のコースながら、大船からバスで白山神社前で降り、神社、今泉不動、散在ガ池(通称鎌倉湖)と歩いた。白山神社の入口には、この地で生れた狂歌師・天廣丸についての文学案内…

イチロー ヤンキースへ

今年のMLBもいよいよ後半に入り、目が離せなくなってきた。そこに来てイチローのヤンキース移籍が突然に発表された。作年、年二百本安打以上の記録を達成できなかったことから、目標を見失っているなと感じた。その後の彼には精気がなく、打撃の姿勢も不…

ロンドン・オリンピック

TV観戦に日本中が睡眠不足になったようだ。休日には夜と昼とが逆転した。つまり夜起きて朝昼と寝る生活。月曜日の勤めがまことにきつい。開催式では、テームズ川だったか運河だったかをベッカムたちが高速ボートで運んでくる場面と、花火で灯火を形成して…

シロツメクサ

ツメクサとも言うが、クローバーのこと。ヨーロッパ原産のマメ科の多年草。江戸時代にオランダから渡来した。輸入品の詰物にされていたことが名前の由来。俳句の季語では苜蓿(うまごやし)という。しろつめくさ、クローバーは傍題。なお近縁のアカツメクサは…

合歓の花

梅雨が明ける頃、薄紅色の夢見るような花を咲かせる。糸の房に見えるところは雄蕊。葉は夕暮には合わさって閉じる。その風情が眠るようなところから命名されたという。ただ、漢字の意味は男女の抱き合う姿。 うつくしき蛇が纏ひぬ合歓の花 松瀬青々 風わたる…