天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

三椏(みつまた)

ジンチョウゲ科の落葉低木。中国原産で古代に日本に渡来した。樹皮の繊維が強く、コウゾとともに和紙の原料になる。 三椏や皆首垂れて花盛り 前田普羅 三椏の花三三が九三三が九 稲畑汀子 三椏の花のつめたき雫かな 島谷征良 三椏の黒皮箸にて人選りぬ圓座の…

桜の季節(2)

鎌倉若宮大路の段葛、長谷寺、鎌倉山と桜の名所を巡ってみた。花曇が続いていて気分は冴えないが、毎年似たような天気なのでしかたない。段葛の桜は期待どおりであった。鎌倉山では、さくら道から夫婦池公園、笛田公園と歩いた。鎌倉山は久しぶりに訪れたの…

目白

メジロ科の鳥。目の周囲に白い環が目立つところから、名前がついた。日本、朝鮮半島、台湾、中国南部、インドシナ北部などに分布する。冬には、北のものは南に移動する。主に昆虫を食べるが、我々には花の蜜に群がる情景が馴染み深い。俳句では夏の季語にな…

柔道

百科事典で歴史をおさらいしておこう。日本古来の柔術の諸流派の技を、1882年に嘉納治五郎が体育、修身、護身の観点からまとめてスポーツ化したもの。1911年から学校教育にも採用された。1949年全日本柔道連盟、1952年国際柔道連盟が結成され、国際的に普及…

黄鶲(きびたき)

ヒタキ科の鳥。アジア東部に分布し、日本には夏鳥として渡ってきて、全国の落葉樹林に棲む。 群鳥(むらどり)の群がり来る合間(あひま)合間に黄鶲は ただひとつのみ来る 土屋文明 小綬鶏(こじゆけい)の遠退(ぞ)きゆけば移り来て近く啼き つぐ黄鶲のこゑ 大岡 …

辛夷(こぶし)

モクレン科の落葉高木。日本原産で各地の山中に自生していたことから呼び名も多い。木筆(こぶし)、山木蓮、やまあららぎ、田打桜 など。 一弁の疵つき開く辛夷かな 高野素十 辛夷より白きチョークを置きにけり 西嶋あさ子 山暮らしこの切なさにあり狎(な)れ…

桜の季節(1)

今年は、梅の開花が遅れ、桜の開花時期が早くなった。名所の地元では、イベントの期間設定が大幅に狂って困っているらしい。花見にいつ出かけようか、みんながテレビの天気予報や開花予報を気にしている。特に泊りがけで桜見物に行くとなると、ホテルなどの…

黄梅(おうばい)

中国原産のモクセイ科の落葉低木で、中国名は「迎春花」といい、中国の旧正月である春節の頃に咲く。芳香がありまさに新春を迎える花である。さし木で増やす。 黄梅の衰へ見ゆる日向かな 高木晴子 川筋に黄色が飛びて迎春花 中西舖土 春望の西安どこも迎春花…

最上川

山形県を貫いて流れる全長210kmの一級河川。源流は福島県境の吾妻山北部に発する松川。途中で、鬼面川、梓川、白川、野川などを合せて流れ、酒田で日本海に注ぐ。古くから歌枕として知られる。斎藤茂吉の有名な歌があるが、以前にも取り上げたので、今回は省…

山女

ヤマメはサケ科の魚。サクラマスの河川型。体側に楕円形の黒斑が並ぶ。山女魚とも表記する。なんとも艶めいた名前。渓流釣りの対象として人気がある。 瀬瀬走るやまめうぐひのうろくづの美しき春の山ざくら花 若山牧水 雨の音谷をおろして来るときに夕がれひ…

蔵王(ざおう)

宮城と山形の県境にある火山群。火口湖の御釜は、1939年にも活動した。中世末に蔵王修験ができていた。 みちのくの蔵王の山にしろがねの雪降りつみてひびくそのおと 斎藤茂吉 蔵王山を一度は見ねば気がすまず村端に仰ぎ帰りて臥る 結城哀草果 みちのくの岩座…

連翹(れんぎょう)

中国原産、モクセイ科の落葉低木。春早く葉に先だって鮮黄色の4弁の筒状花をつける。花をびっしりつけた枝を、はねあげるように広げるところから漢字の連翹が生まれた。「翹」はピンと立つ雉の尾羽を意味する。中国が原産。古くは「いたちぐさ」「いたちは…

白旗神社

源義経公の御霊を祀る神社として知られている。鎌倉時代以前から相模一の宮の寒川神社の寒川比古命の分霊を祀った社だったようだが、創建年は不明。現在の社殿は、江戸期の文政11年から7年をかけて天保6年に完成したもの。昭和55年に大改修が行われ、…

梅花の時期を過ぎて

円覚寺では、梅の花の時期を過ぎると染井吉野の桜が咲く前に、開基廟の白木蓮が咲き始める。今年も楽しみに出かけたが、まだ一、二輪咲いているだけで、全体としては蕾が膨らんでいる状態だった。境内の杉の梢には、杉の実がはちきれんばかり。テレビで報じ…

白木蓮

ハクモクレンは中国原産。3,4月に葉に先だって小枝の先に大きな乳白色の花が開く。わが近辺では、藤沢遊行寺と北鎌倉の円覚寺・開基廟の境内に大樹があり、毎年の開花をたのしみにしている。 まおとめの婚をおもわせ春の夜の真中にほかりはくれん ほかり …

菜の花

菜種油を採取する油菜の花をさす。菜種油の灯明が広まるのは江戸時代のことなので、菜の花が大規模に栽培されるのは、それ以降のことらしい。油を絞った残り糟は、肥料になった。 菜の花や淀も桂も忘れ水 言水 菜の花の中に城あり郡山 許六 菜の花や鯨もよら…

鑑賞の文学 ―俳句篇(32)―

高浜虚子の墓は、鎌倉の寿福寺の墓地にある。周知のようにこの墓域には、北條政子や源実朝の墓と伝える五輪塔や大仏次郎、陸奥宗光などの墓もある。鎌倉を歩くついでに、年に数回はこの墓地を訪れる。虚子の墓の左右には、「白童女墓」と「紅童女墓」がある…

渡り鳥

冬鳥: 秋になって北国から日本に渡ってきて越冬し、 春に北国へ繁殖のために帰る鳥。ガン、カモ、ツグミ、 ハクチョウ、ツルなど。 夏鳥: 春になって越冬地から日本に渡ってきて繁殖し、 秋に去る鳥。ツバメ、ホトトギス、カッコウ、オオルリ、 ブッポウソ…

早春賦(4)

梅にせよ桜にせよ花の名所なら、開花情報はインターネットで調べることができる。ただ、毎日の情況が掲載されているわけではない。それで適当にみはからって出かけるのだが、早すぎることが多い。三寒四温というくらい、この時期は日々の気温変化が激しいの…

日本猿

ニホンザルは青森県下北半島以南の森林に群生する。顔と尻が赤く、毛は茶褐色。果実、木の実を食べ、一定の行動域を集団で移動する。背中にのるマウンティングは、相手に強さを示す行為。 蚤とると寄れる雄猿に首そらし雌猿しみらに蚤とらせゐる 窪田空穂 新…

地底

フランスの作家・ジュール・ヴェルヌが1864年に発表した『地底旅行』は、現在の小中学生にも読まれているだろうか? リーデンブロック教授が、ある日骨董店で購入した本の中に暗号文のメモがあり、甥のアクセルとともに解読する。「アイスランドのスネッフェ…

カイツブリ

カイツブリ科の鳥。湖沼や都会の静かな池にも棲む留鳥。鳰、モグリともいう。水上に水草を積んで作った巣は鳰の浮巣として、古歌、俳諧に詠まれている。 鳰(にほ)鳥(どり)の潜(かづ)く池水こころあらば君に吾(あ)が 恋ふるこころ示さね 万葉集・大伴坂上朗女…

「丘のうえの樹」

以前にもご紹介したことがあるが、これは横浜の「万葉集を読む会」が毎年発行している小冊子であり、本年度で5冊目になったという。会員である川井怜子さんからその5冊目を頂いた。この冊子には、会員それぞれの万葉集に関わる勉強や調査の内容が、エッセ…

樹氷

霧氷の一現象で、樹花(きばな)ともいう。過冷却された大気中の微細な水滴が樹木などに凍りついてできる。風上側へ羽毛状に成長する。気泡を含むので白色になる。蔵王の樹氷はよく知られている。富士山や伊吹山でも見られる。 入方の光うすれて射すところ樹氷…

パイナップル

熱帯アメリカ原産のパイナップル科の多年草。原産地はブラジル。日本には1830年に小笠原諸島に初めて植えられたが、1845年にオランダ船が長崎へもたらしたとの記録もある。 植付け後十数か月で収穫が始まる。実を収穫後、根茎から再び芽を出し、これが成長す…

スケート

用具としては、靴の底にブレードを取り付けただけのもの。こうした用具は、寒冷地の考古遺物として発掘されている。ブレードは獣骨を削ったもので、これを木製の履に固定していた。スケートの近代化に貢献したのは、オランダであった。12世紀ころから運河の…

紅梅

バラ科サクラ属の小高木。紅梅の開花は、一般に白梅よりも開花が遅い。王朝人はこのずれに敏感だったようだ。 はなみちてうす紅梅となりにけり 暁台 紅梅にほしておく也洗ひ猫 一茶 紅梅の紅の通へる幹ならん 虚子 紅に色をばかへて梅の花香ぞことごとににほ…

スキー(2)

1960年代ころから、アメリカでフリースタイル・スキーが流行しはじめ、エアリアルやモーグルが競技に加わった。スノーボードも普及し、1996年からは世界選手権が開催されるようになった。スノーボードが冬季オリンピックの正式種目となったのは、1998年の長…

スキー(1)

古くから積雪地に住む人々は、雪上滑走のための用具を持っていた。それぞれの地域で、用途によって各種の改良が加えられたと思われる。スポーツとしてのスキーが現れるのは、19世紀になってからであった。ノルウェーのテレマーク地方で、ジャンプをしたり…

珊瑚

サンゴ虫の群体が分泌した石灰質の骨格であり、サンゴ礁はそれと石灰藻とが堆積して生じたものらしい。サンゴ虫は触手と隔膜をもち円筒形。口・胃・腔腸がある。沖縄諸島、四国沖、九州西部、小笠原などの海底に、イシサンゴ、アカサンゴ、モモイロサンゴ、…