天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

初夏(3)

十薬の花が目立ち、紫陽花が色付き始めた。湘南も梅雨入り。円安になってきたのでバーボンやウィスキーを少し買い溜めたのだが、富山の水を紹介する番組を見ていたら、銘酒の話も出て来た。冷やして飲みたくなり、インターネットで注文した。四日ほどで送ら…

空海

弘法大師。讃岐出身。15歳の時、母方の伯父について京都へ遊学。18歳で『三教指帰』の原本を著し仏教に入る。30の時遣唐使として唐に留学、青龍寺の恵果について密教を学び、3年後に帰国。高野山、東寺を密教の根本道場として、各地を巡歴した。その…

キャベツ(2)

日本での栽培は明治初年以降。生食、煮食、漬物、いためもの などの食べ方がある。 一人あたり十円ほどの予算にてわれが得意とすキャベツの いため煮 中城ふみ子 さはやかに甘藍を刻む音のして今日は真面目な夕がたである 坪野哲久 春甘藍千にも万にも切られ…

オルゴール

18世紀にスイスの時計製作者たちによって考案された。日本には江戸末期に伝来、自鳴琴の字を当てていた。箱の中に金属板をくし形にとりつけ、それに接して多くのトゲのついた円筒を装着、円筒がゼンマイ仕掛で動くと、トゲが金属板を弾いて一定の旋律を奏…

イチローを詠む(10)

他の歌人が詠んだイチローの歌もあげておこう。いずれもアメリカへ渡って活躍し始めた頃のことで、何とも懐かしい。 プラズマのテレビに見れば外人の中に戦うイチロー孤独 玉井清弘 シアトルのイチローの秋如何ならむ箴言のごときその うつしみよ 水原紫苑 …

仁王

仏法を守護する阿吽二体の金剛力士。中国では武装しているが、日本では裸形。 仁王堂仰げども経れば崩れゆくさはあれど仁王再び仰ぐ 内田庄次 上りゆく道を塞ぎて仁王像の立ちいる上に夏の雲湧く 毛利文平 柔和なる仁王の相を石しろき崖にきざみしねがひはな…

ジギタリス

ゴマノハグサ科の多年草で欧州原産。有毒だが、乾燥した葉は利尿剤・強心剤になる。和名は、花の形からつけられて、「狐の手袋」。英名の訳でもある。 少年に夢ジギタリス咲きのぼる 河野南畦 あまり口利かぬ子がゐてジギタリス 星野高士 ああ五月蛍匐ひいで…

イチローを詠む(9)

弓子夫人と柴犬「一弓(いっきゅう)」との生活は、さすがに豪華なものである。 「一弓」という名前は、イチロー(一朗)と弓子から一字ずつとったという。実業界にせよスポーツ界にせよ成功者は、それに見合う報酬を得る。ただスポーツの世界は、選手としての…

キャベツ(1)

カンラン、タマナとも言う。アブラナ科の一、二年草でヨーロッパが原産。品種が多く、球の形には、丸形、尖形、扁球形など、また色には白色、濃緑色、赤紫色など、数百種あるという。栽培法には、春まき、夏まき、秋まきに大別される。愛知、群馬、千葉など…

欅(けやき)若葉

本州から九州にかけて山野にはえる楡科の落葉高木。高さは30mにも達する。欅並木は雄大な感じがする。4,5月に新葉とともに淡黄緑色の小さな花をつける。 デユフイの海のやうなる空にさやぎ欅若葉は一会(いちゑ)の さみどり 島田修三 もうすでにきみの…

イチローを詠む(8)

イチローがヤンキースに移籍してから、彼の打率は再び三割台に戻った。マリナーズでの最終年は、球団・監督との間で様々な葛藤があったのであろう。あるいは案外、契約条項にのっとってクールな話し合いがあったのかもしれない。スポーツ紙は読まないので詳…

チューリップ

チューリップの生産では、オランダが有名。毎年球根を十二億球も作るという。わが国には文久年間に渡来したが、本格的に栽培されるようになったのは、明治に入ってからである。 2012年6月9日のブログで、俳句と短歌の例をあげたので、今回はそれらと重複しな…

仏教国では仏舎利崇拝を起源とするストゥーパの築造に始まる。明治までは、わが国には仏塔だけであった。木や石を材料に建造された。塔の歌でもっとも知られているのは、次の信綱の「ゆく秋の」であろう。中学か高校の教科書にも載っているはず。 ゆく秋の大…

楠若葉

楠は神社の境内でよく見かける。大木には神々しさがある。枝がよく張り、葉もよく茂る。芳香があるせいか、病虫害に強く寿命が長い。樹齢数千年というものも現存する。新葉は萌葱色でつややか。 樟若葉樹齢隠れてゐたりけり 稲垣晩童 西南の役見し大樹楠若葉…

イチローを詠む(7)

マリナーズのホーム球場・セーフコフィールドで試合があるとき、イチローが守備につくライトの観客席最前列には、いつもICHIメーターの看板が掲げられている。毎年これを作っているのは、エイミー・フランシさんという女性である。年間200本安打以上…

弥勒菩薩

釈迦入寂後56億7000万年たってこの世に現れ衆生を救うとされる。末法思想の流行により日本でも信仰が盛んになり、すぐれた仏像が作られた。 我が恋のかねのみたけのかねならばみろくのよにも あはましものを 夫木抄・源 仲正 喪ひしもののかへりをうけとめて…

観覧車

現在のモーター駆動による機械式の観覧車は、1893年にアメリカ人技師により開発された。観覧車の英名「フェリス・ウィール」に、彼の名が残っている。シカゴ万博のアトラクションの一つとして建設された。その高さは80.4mであった。現在までで世界一高い大観…

イチローを詠む(6)

マリナーズでの最終年の試合は、来る日も来る日もまともなヒットを打てず、無様に空振りするイチローを見ることは、耐え難いほどであった。マリナーズにおけるイチローの立場が、放送で解説されるのでファンも居たたまれない。野茂にしても松井にしても選手…

初夏(2)

小田原城の濠の辺にある「御感の藤」は、花房が垂れると見栄えがする。今年もまだ咲いているかと見に行ったのだが、なんと無惨にも全部刈り取られていた。花が散り始めて蔓だけが伸び始めると一気に剪定にかけられるのである。藤棚は散髪した後のようにさっ…

水木

ミズキ科の落葉高木。日当りの好い山地、沢沿いの湿性地によく見られる。春に枝を切ると樹液が水のように滴るところからの命名。10月、11月に黒い実をつける。材は柔らかく色が白いので、コケシや独楽などの木工品に使われる。 月くらき瑞樹のかげにそよそよ…

初夏(1)

夏のはじめ。はつなつ。梅雨に入るまでの爽やかな頃である。陰暦4月の異称でもある。 鸚鵡籠提げて水夫や初夏の街 安田北湖 はつなつのおほきな雲の翼かな 高田正子 初夏やあしびの若木まろがりて光る箱根の駒が嶽かな 与謝野晶子 はつ夏の日の照りわたる狂…

イチローを詠む(5)

打撃不振の時、イチローはストライクを見逃しとんでもないボール球を打ちにゆき、結果三振になる。それなのに、日本のテレビでいくつもの会社のCMに出ているイチローを見ると、腹立たしくなる。こんなことやってる場合か! と叫びたくなるのである。観客に…

すかんぽ

タデ科の多年草。茎、葉に酸味があるので酸葉とも言う。また虎杖(いたどり)の別称がある。花色が紅のものは紅虎杖、明月草という。 虎杖を折ればいまでもぽんと音 山口いさを すかんぽや紀ノ川堤高からず 轡田 進 すかんぽの茎折り取りて老いしわれ噛みに噛…

柿若葉

落葉樹木の種類によって若葉の色合いは様々だが、中でも柿の若葉は、いかにも初夏の明るい萌葱色で艶やかで、見る人の気持を和らげる。 ちなみに奈良県吉野の柿の葉鮨は有名。私の大好物であり、関西出張の折にはよく買って食べたものである。 茂山やさては…

イチローを詠む(4)

生物であり人間であるかぎり、年齢が進むと体力・技量が衰える。観客はそれを見て腹を立てたり憐れんだりする。普通の人には経験のできない世界にバーチャルに入り込んで一喜一憂する。観客は自分の人生に照らし合わせて身につまされる。 一試合のみ欠場のイ…

鯉幟

端午の節句にたてる鯉をかたどった幟で、外幟は吹流しと共に五月の空を泳ぐ。わが国では江戸時代から始まったというが、古くは中国黄河上流、竜門の滝を鯉が登ると龍になるという登竜門の伝説からきている。 風吹けば来るや隣の鯉幟 高浜虚子 力ある風出てき…

若葉

草木の芽生えて間もない葉、新葉をさす。芽生えた草は、「萌え草」という。夏の季語。 不二ひとつうづみ残してわかばかな 蕪村 ざぶざぶと白壁洗ふわか葉哉 一茶 物のこゑひびかふ聞けばおほかたの若葉は和(な)ぎて ほど経(た)ちにけり 北原白秋 少年が草笛…

ボクシング

言うまでもないことながら、英語のboxは動詞の場合、手で殴るという意味。boxingで拳闘となる。試合時間は1回3分で各1分ずつの休憩をはさむ。アアチュアの場合は3回戦、プロの場合は、最低4回戦から最高15回戦が行われている。体重により階級が分かれ…

胡蝶花

「しゃが」と読む。菁莪、著莪あるいは射干とも書く。アヤメ科の常緑多年草。根茎は短く横に這い、群落を形成する。 夏の季語。 著莪のはな犬を叱りに尼の出て 川崎展宏 あたらしき柄杓が置かれ著莪の花 川崎展宏 山の娘は犬がお供や著莪の花 田端三千女 胡…

イチローを詠む(3)

大記録を達成し栄光に包まれた選手もその晩期は、成績ががくんと落ちるので、なんとも残酷な批評を受けることになる。マスコミが容赦なく報道する。 イチローの記録更新なるために十三試合で三十安打 イチローの打撃理論に期待して安打低迷に目をつむりたり …