天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

雪女(2)

小泉八雲『怪談』の中の「雪女」の話が、多摩川から来ていることを知っている人は少ないのではないか。どこか雪国の伝説だろうと思ってしまいそうなのだが。 雪女郎たましひこめて誰に逢はん虎落もがりの氷(ひ)の 笛を吹く 小川恵子 雪しづく甘しといへば雪…

雪女(1)

俳句の季語に「雪女郎」があり、傍題に雪女、雪坊主がある。いずれも雪国の伝説に出て来る妖怪。地方によって呼び方に違いがあるようだ。「ユキムスメ」、「ユキオナゴ」、「ユキジョロウ」、「ユキアネサ」、「雪オンバ」、「雪ンバ」、「雪降り婆」等々。…

師走の里山―舞岡公園―

ご無沙汰して紅葉の時期に来るのを逸した。いつものように瓜久保、みずきの休憩所、狐久保、中丸の丘、小谷戸の里、ばらの丸の丘、けやき広場 などを巡ってみた。師走の里山に共通するのは、クヌギ、コナラの黄葉の美しさである。湿地の周辺には相変わらずバ…

師走の里山―座間谷戸山公園―

小田急線・座間駅から徒歩で十分ほどのところにある。いつものことだが、西入口の長屋門をくぐり湿生生態園の沼を覗き、水鳥の池の縁に出て池を眺める。今回は鴨の群を見るのみで他の鳥の姿はなかった。野鳥観察小屋に廻って見ても鳥は見なかった。森の学校…

師走の里山―藤沢新林公園―

梅林の手前の平成20年に移築された「旧福原家長屋門」は、福原家のもので、江戸時代後半に建てられた。また昭和58年に梅林北側に移築されている古民家「旧小池邸」は、市内柄沢村の名主を務めた旧家で、先祖は足利尊氏に仕えていたという。この建物は1841年…

蟹(6)

海に棲む蟹の種類は多いが、日本でよく食べられるものをあげると、タラバガニ、ズワイガニ、毛蟹、松葉蟹、越前蟹、セイコガニ、アブラガニ、花咲蟹、栗蟹、ガザミ(ワタリガニ) など。 横ばしる蘆間の蟹の雪ふればあなさむげにやいそぎかくるる 夫木抄・源…

蟹(5)

川に生息する代表的な蟹は、沢蟹と藻屑蟹であろう。沢蟹は日本の固有種で、一生を淡水域で過ごす純淡水性。「さるかに合戦」で登場するカニである。藻屑蟹は、小笠原を除く日本全国、サハリン、ロシア沿海州、朝鮮半島東岸、済州島、台湾、香港周辺まで分布…

蟹(4)

越前蟹の漁期とあって、テレビのニュースで蟹づくしの料理などが話題になる。このブログでは今まで3回ほどとり上げてきたので、この際、一気に残りの短歌をとりあげておく。 蟹の種類は驚くほど多い。細かく分類すると、世界で5000種以上もいる。日本の海域…

銀杏(5)

木材としての特徴は、油分を含むも水はけがよく、材質均一で加工性に優れ、歪みが出にくい。それで構造材・造作材・建具・家具など広く利用されている。碁盤、将棋盤、まな板などでは高級材になる。また火に強い性質があるため、江戸時代には火除け地に多く…

銀杏(4)

銀杏の実をギンナンと呼ぶが、中国の唐音の『ギン・アン』)に由来する。銀杏の原産地は中国とされ、日本にもたらされ、日本からヨーロッパへ渡って更に広まった、というが私自身史実として確認したことはない。 枯れいろのかげりしづかな公孫樹とほく見なが…

銀杏(3)

イチョウ科の植物は中生代から新生代にかけて世界的に繁栄し、世界各地で化石が出土しているが、氷河期に絶滅し、うちイチョウだけが唯一現代まで生き延びた種という。 重なりて銀杏落葉の散れる道その香はとほき哀しみをよぶ 香川哲三 銀杏樹が今日から光の…

銀杏(2)

植物学上では、裸子植物門イチョウ綱イチョウ目イチョウ科イチョウ属に属する。身近によく見かける馴染み深い樹木なので、案外詳細なことを見逃している。例えば、現存する唯一のイチョウ綱であり、生きた化石としてレッドリストの滅危惧IB類に指定されてい…

銀杏(1)

銀杏を詠んだ短歌は多い。このブログでも秋になると少しづつ紹介してきたが、以下5回に渡って総ざらいしておこう。但し、すでにとり上げた歌は、極力除いて。ところで、イチョウ葉のエキスには、 ・認知症の改善 ・記憶改善 ・脳機能障害の改善 ・末梢循環…

多摩川紀行―御嶽

武蔵御嶽神社は、武蔵御岳山の山上に鎮座する。崇神天皇7年(紀元前91年)の創建で、天平8年(736年)に行基が蔵王権現を勧請したとされる。朱塗りの本殿は一間社神明造で明治10年に造営された。最後部には大口真神社が鎮座して、御嶽神社の眷属である狼を祀…

多摩川紀行―雪女伝説

青梅線・青梅駅を出て旧青梅街道を左手に行くと、昭和レトロ商品博物館がある。街道沿いの商店を転用したような小さな建屋で、平成11年に開館した。昭和時代とお菓子、飲み物、雑貨、文具などの包装紙やパッケージを展示している博物館である。急な階段を二…

多摩川紀行―登戸の「のんきや」

多摩水道橋の下流岸辺に「のんきや」という貸しボート屋がある。以前にNHKの新日本風土記で紹介された。その時もボートを借りる客はほとんどいない、という話であったが、今日も客の姿はなかった。川面には小魚が飛びはね、それを狙ってカモメが飛び込ん…

多摩川紀行―外来の魚

多摩川に熱帯産の魚が棲みついた原因は、観賞用に家庭や店で飼われていた魚が多摩川に放たれたことと下水処理場から出る水により水温が高くなったことによる。アリゲーターガーといった大型のものから獰猛なピラニアや綺麗なグッピーなど外来種は200種を越え…

師走の吾妻山

二宮町の吾妻山には、このところさっぱり御無沙汰していたが、紅葉は終った頃だろうかと気になって訪ねてみた。銀杏の木では黄葉は半分以上散っていたが、檪、欅の黄葉やいろは紅葉はまだ枝に鮮やかに残っていて、十分に堪能することができた。山頂の菜の花…

多摩川紀行―旧巨人軍練習場

多摩川左岸の河川敷内多摩川緑地広場の一角にある。昭和中期 - 後期に、読売ジャイアンツ(巨人軍)が二軍の本拠地球場及び練習場としていた。当時の名称は巨人軍多摩川グラウンドだった。グラウンドがA,Bの2面あり、上流側にある硬式専用のA面を巨人が…

多摩川紀行―古墳群

多摩川台公園に、亀甲山(かめのこやま)古墳、宝莱山古墳の2つの大型前方後円墳と、8基からなる多摩川台古墳群との10基の古墳が並んでいる。ただ、見た目には区切りがはっきりせず、高低差も目立たないので、古墳の形が明確でない。 亀甲山古墳のもみぢ川光る…

今年の鎌倉紅葉谷

しばらく見ないうちに、永福寺跡の発掘がかなり進んでいた。庭園の水路の形と堂宇の敷地の形が明らかになっている。この発掘現場を左手に見て二階堂川に沿って水源まで遡ると紅葉谷になる。ここは獅子舞というのが正式な地名らしい。この渓谷は春の桜、秋の…

黄葉の鎌倉瑞泉寺

参道の坂を登って門前に立ち振り返ると壮麗な黄葉の森が見られる。そして庭内の裏手に回って、天女洞の前の池の傍に立ち仏殿の屋根を見上げると、朝日に透ける華麗な紅葉が懸っている。ただこの光景が見られる期間は短いので、出かける前に、WEBなどで確認し…

多摩川紀行―穴守稲荷

穴守稲荷神社の社史には、文化元年の頃(西暦1804年頃)鈴木新田(現在の空港内)開墾の際、沿岸の堤防しばしば激浪のために害を被った。或時堤防の腹部に大穴を生じ、これより海水侵入しようとした。ここにおいて村民等相計り堤上に一祠を勧請し、稲荷大神…

多摩川紀行―五十間鼻

NHKテレビの「新日本風土記」で多摩川特集を見たのがきっかけで、いくつか周辺の場所を訪ねた。数回に渡ってその紀行をご紹介する。 五十間鼻は、海老取川と会する多摩川河口にある。そこには無縁仏堂が建てられており、「多摩川五十間端水死横死之諸霊位追…

相州大山の紅葉

大山寺石段沿いの紅葉は例年訪れる名所だが、なんとここはすでに散り始めていた。観光客もぐっと少なくなっていた。時間の都合で結局、大山寺にケーブルで往復しただけに終った。 大山のもみぢが迫る這子坂 茶湯寺へ橋かかりたる紅葉かな 御開帳の終り間近や…

大磯地獄沢の紅葉

地獄沢は湘南平の裾にある紅葉の名所であるが、多分広くは知られていない。高来神社から裏山に入り右手に歩く。例年この時期に訪れるので今年も来てみたが、ここは少し早すぎたようだ。あまり紅葉していなかった。 散り来るは銀杏の黄葉力石 椋鳥のにぎはひ…

モロッコ

モロッコ王国は立憲君主制の国。「日の没する地の王国」の意。東にアルジェリア、南にサハラ・アラブ民主共和国、北にスペインの飛び地セウタ、メリリャに接し、西には大西洋、北には地中海がある。首都はラバト。 食ひつめたる遊び人のやうな顔をしてモロッ…

紅葉の藤沢宿

わが住いの近所でも銀杏や欅のもみじが鮮やかになってきた。わざわざ紅葉の名所に出かけなくてもたのしめる、と思って白旗神社や遊行寺の境内を見て来た。 銀杏散つて幼児あそばす滑り台 子と遊ぶ銀杏落葉を放り上げ きつつきのこゑ聞く欅もみぢかな 義経公…

砂漠(3)

地球の砂漠化が進んでいる。植物の生育範囲がどんどん狭まっているのだ。熱帯雨林の過剰な伐採、家畜の過放牧、過剰な焼畑農業 などが原因で、いわゆる後進国が先進国並みの経済的繁栄を望むところから問題が発生する。一方で砂漠の緑化運動もあり、なんとか…

砂漠(2)

土質による分類では、岩石砂漠、礫砂漠 、砂砂漠、土砂漠 の四種類がある。砂漠は、その成因によって次のように分類されることもある。例もあげておく。 熱帯砂漠: アタカマ砂漠、ナミブ砂漠 亜熱帯砂漠: サハラ砂漠、カラハリ砂漠、オーストラリア 温帯砂…