天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2014-02-01から1ヶ月間の記事一覧

探梅行―湯河原―

湯河原・幕山の麓に梅林が広がっている。幕山は海抜626mの手軽なハイキングに向いた山である。また麓からそそり立つ岩壁は、ロッククライミングの練習場になっている。数年前までは、梅林を見るだけでなく幕山の山頂へ登り大石ケ平、一の瀬と回って降りて来…

雪見(2)

俳句には雪見や雪見酒の作品が多い。雪見舟に乗って雪見酒を酌むといった経験をぜひしてみたい。 いざさらば雪見にころぶところまで 芭蕉 炉開きや雪中庵の霰酒 蕪村 比叡一つ前に置たる雪見かな 乙州 大藪の横たふ嵯峨の雪見かな 市の瀬尺水 しづかにも漕ぎ…

雪見(1)

大雪で被害が出ている現状では、雪景色を愛でるどころではないが、少ない雪が山川、沼地、池、神社仏閣に降ったり積もっている情景は、観賞の対象となる。雪見は花見、月見と並んで日本の古くからの風流な文化であり、まとめて雪月花という。 雪見んと思ひし…

探梅行―蘇峰記念館―

徳富蘇峰記念館は神奈川県二宮町にある。蘇峰の秘書を務めた塩崎彦市氏が、蘇峰から託された膨大な蔵書・史料・書簡などを自宅の別棟に展示した施設である。塩崎氏没後、昭和54年に財団法人を創って博物館として開館した(博物館とは大げさだが)。塩崎家の…

 スケート(3)

ソチ五輪では、メダルの点でいくつかの予想外が起きた。特に金メダルが少なくなった。しかしベテランよりも今後の活躍が期待される若手が出て来たのは心強い。スケートに限れば、羽生結弦であり町田 樹や村上佳菜子である。四年後が楽しみ。金メダルが期待さ…

スケート(2)

スケートの競技には大別して、スピードスケート、フィギュアスケート、アイスホッケー、ショートトラックの4種類がある。スケートが本格的に近代化するのは、鉄製のブレードが普及してからである。靴と鉄製ブレードの一体化により、スピードもフィギュアも…

スケート(1)

寒冷地の考古遺物から判断して、スケートは氷の張る地域に住む人類が同時的に発明した用具であったらしい。しかも用具の構造がいずれも似ていた。獣骨を削ってブレードにし、それを木製の履物に固定した作りであった。獣骨としては、豚の脛骨が最も多いとい…

探梅行―三渓園―

横浜でも雪掻き後の残雪が道の両側に積まれている。三渓園では道路以外の場所には雪が残っていた。また三重塔への道は通行止めになっていて上れなかった。雪を被った聴秋閣、池にかかる橋、そこここに立つ石燈籠などの風情は、日本庭園の良さを見せてくれる…

スキー(3)

米国では1960年代頃からフリースタイル・スキーが流行し始め、今日のエアリアルやモーグルが競技に加わった。スノーボードも急速に普及し1996年には世界選手権が開催され、1998年の長野オリンピックから正式種目になった。 赤倉のすろうぷをさしてのぼりゆく…

スキー(2)

用具の改良や技術の開発も急速に進んだ。ヨーロッパの各地方で特有の技術や楽しみ方も生まれた。アルプス地方で普及したアルペンスキーやクロスカントリースキー。スカンジナビア半島で発展したノルディックスキーやテレマークスキーなどである。 締めつけて…

スキー(1)

古くから雪上を走行する用具としてスキーは工夫されていた。今日のスポーツに統合されるのは19世紀に入ってからであった。その先駈けになったのは、1840年頃のノルウェーのテレマーク地方で、ジャンプやターンの技術を競うことが始まった。 十人(とたり)ほど…

雪掻

戸口、店先、道路、線路などに積もった雪を取り除く作業である。雪が少ない時は、箒で用が足りるが、大雪ともなると家の周辺ならスコップ、道路なら除雪車、線路にはラッセル車といったものの出番になる。 寂しさに起きて雪掃くかそけさは人も知らじな路地の…

雪達磨

雪を大小二つ丸めてころがし、胴体部の上に頭部を載せ目や鼻として炭をくっつける。ただ最近では炭が手近にないために、目鼻が曖昧なものもある。公園や校庭でよく見かける。 俳句の傍題には、雪兎、雪釣 がある。雪兎は盆の上に雪で兎の形を作ったもので、…

春の大雪

8日は私が住んでいる横浜市のはずれでも雪が積もった。天気予報では稀に見る大雪とのことで、翌日開催の歌会を中止した方が無難かと心配した。ところが一夜明けると晴天になり、積雪はどんどん解け始めた。歌会の終る午後5時過ぎには、道路の縁に雪が残っ…

立春を詠む(4)

立春(二月四日頃)から立夏(五月五日頃)の前日までが春である。 立春の明けの薄氷 嘴打ちていくさのごとく鷺はあそびし 百々登美子 定めなき北ぐにの空立春のゆふべを降りて雪の熾(はげ)しさ 岡部文夫 立春きさらぎ美しきひびきを持つ言葉先立てて来る春…

立春を詠む(3)

立春の代りに、「春来る」「春となる」「春きざす」「立ち返る春」なども使われる。 立春の朝川渉る夢さめてわが身ひとつの古稀を思はむ 山中智恵子 透きとほる花の幻影夜々(よひよひ)に眠りをつつむ 立春前後 尾崎左永子 宵こそは立春の日の濃紺なれ聴診を…

探梅行―下曽我―

国府津駅から曽我梅林行きの増発バスに乗って下別所へ。そこから別所、原、中河原 等の梅林を経て瑞雲寺、宗我神社、下曽我駅からバスで国府津駅へと帰ってきた。蝋梅、紅梅の数は少ないが、すでに見頃であるが、数多い白梅はまだ七分咲きであった。 下曽我…

『マラケシュ心中』を読み終えて

熱海への探梅行の往き帰りで読み終えた本であるが、これは中山可穂著のレスビアン小説。女性歌人たちのレズというところに惹かれて、アマゾンに注文した。読み終って落胆した。短歌がほとんど無く生かされていないのである。出ている短歌といえば、次の五首…

『神奈川の力石』二版

三重県四日市大学教授・高島慎助先生の全国の力石調査は、益々充実してきている。つい先日出版された第二版『神奈川の力石』には、神奈川県下の多くの力石が写真付で掲載されている。高島先生の力石調査は日本全国に及んでいる。これらの力石の場所を地図上…

探梅行―熱海―

熱海梅園に行くには、熱海駅からバスに乗るコースと来宮駅から歩くコースとがある。後者をとるべく熱海駅で沼津行きの電車に乗ってしまった。次の駅は「函南」というアナウンスを聞いて初めて線路を間違えたことに気付いた。来宮駅で降りるには、伊東線に乗…

立春を詠む(2)

今年の立春は関東地方では夕方から雪になった。ニュースなどで立春と言われると、急に身の周りの自然の中に春の兆しを探す気分になる。 春立ちて月の幾夜ぞ雑木々(ざふきぎ)の風騒ぐ枝に我が 眼閃(ひらめ)く 北原白秋 立春のくもる葎(むぐら)に十姉妹(じふし…

立春を詠む(1)

立春は二十四節気の第一番目で、節分の翌日。陽暦で二月四日ごろ。 ひさかたの天(あめ)の香具山このゆふべ霞たなびく春立つ らしも 万葉集・柿本人麿 袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ 古今集・紀貫之 春立つといふばかりにやみ吉野…

恵方巻

陰陽道では、その年の福徳を司る神を歳徳神(としとくじん)という。歳徳神の在する方位を恵方(えほう)あるいは明の方と言い、その方角に向かって事を行えば、万事に吉とされる。関西を中心として立春前日の節分に恵方を向いて「太巻きの丸かぶり」が行われる…

八手の花

八手は天狗の団扇のような大きな葉が福を招くという言い伝えで、家の周囲に植えられることが多かった。冬に咲く白い小花の球形は直に眼につくが、八手の花と分るには少し時間がかかるかもしれない。 みづからの光りをたのみ八ツ手咲く 飯田龍太 花八ツ手山の…

すずしろ

大根の古名で「おほね」とも言う。種類は多く用途も多彩。以前のブログでとり上げた作品以外を次にご紹介する。 燈台につづく一枚大根畑 有働木母寺 地震(なゐ)のあと夜の靄ふかむ大根畑 宮津昭彦 死にたれば人きて大根煮(た)きはじむ 下村槐太 いにしへはお…

風邪を詠む(3)

ヒトのものとは異なるウイルスによって発症する鳥のインフルエンザでは多数の亜型がある。特に強い病原性を示すものを高病原性鳥インフルエンザという。人畜共通感染症。人間の感染は東南アジアや中国に集中していたが、次第に中央アジア、西アジアにも拡大…

風邪を詠む(2)

風邪は鼻、咽喉などに炎症がおこり、くしゃみ、鼻水、喉の痛み、咳などの症状が出る感染症である。原因となるウィルスの種類は多い。ライノウイルス、アデノウイルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、コロナウイルス、エコーウイルス、エンテロウ…

風邪を詠む(1)

例年のように2月がインフルエンザの最盛期である。テレビのニュースで連日、患者が倍増していることを報道している。私は毎年十月末頃に予防注射をしているので、今のところひどい状態にはならない。医学的に言えば、インフルエンザは疾患・疾病名であり、…