天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

クリオネ

ハダカカメガイ科の一属。巻貝の仲間だが、成長すると完全に貝殻を失う。名前はギリシア神話に登場する文芸の女神たちムーサイの一柱クレイオーに由来する。北極あるいは南極をかこむ寒流域に広く分布。日本でも北海道沿岸の海でハダカカメガイが一年中見ら…

卵(続)

2012年10月19日のブログに続き、卵の歌をとりあげる。老若男女誰にも身近な食材なので、短歌作品も大方分りやすい。ただし、以下の佐佐木幸綱の歌をどう鑑賞するか、興味深々である。 酢のなかに沈める卵寒一夜苦しみの泡吐き続けたり 山下雅人 まざまざと眺…

太刀魚

タチウオ科の魚で、本州中部以南の暖かい海に棲む。三浦半島沖や豊後水道あたりで大群が観察されている。全長は1.5m程度で背鰭が頭の後方から尾の端まで続き、腹鰭、尾鰭はない。六月から十月頃が漁期。体表には銀粉状のグアニンがあって、光があたるときら…

多摩川の歌(2)

「多摩川」という名称の由来はよくわかっていない。万葉集東歌には「多麻河」とでてくる。上流に「丹波川(たばがわ)」があり、そこから来ているとの説もある。現在多摩川と呼ばれているのは、奥多摩湖の湖水の出口である小河内ダムより下流からである。 かの…

多摩川の歌(1)

山梨、東京、神奈川を流れる一級河川で、あまり護岸化されていないせいか、川辺の野草や野鳥が数多く見られる。万葉集にも次の有名な一首がある。高度成長期に汚染が問題になったことがあったが、その後浄化が進み、鮎が釣れるようになり、たまに鮭の遡上も…

長崎

長崎には仕事で出張しただけで、多くの場所を見ていない。時間を見つけて、出島、グラバー邸、旅館花月、眼鏡橋、爆心地 などの観光スポットを訪ねたにすぎない。歴史の事実を踏まえて詳しく見て回れば、深い感動が得られるはずなのだが。短歌には、長崎の原…

すっぽん

スッポン科の亀で、日本南西部の河川や池沼の砂底に棲む。甲羅は柔らかく、亀に特有な亀甲模様がない。すっぽん料理は有名だが、未だ食したことがない。血は強壮剤になる。NHKの「キッチンが走る」で丹沢の山北でも養殖されていると知った。医食同源の典…

新春の鎌倉寺社めぐり

今年の新春は、例年に比べて随分あたたかい。横浜や鎌倉には去年暮れから大寒になっても雪は降らなかった。鎌倉の名所には、海外からの観光客が多い。団体で観光バスでくる人達もいれば、家族旅行の形もあるようだ。年も明けたことだし、定番の散策ルートを…

オーロラ

日本語では極光と呼ばれるオーロラは、太陽から流れてくるプラズマと地球の磁場とが相互作用することにより出現する。北極近辺のオーロラを北極光、南極近辺のオーロラを南極光という。あまり話題にならないが、オーロラの出ているところでは、発電がされて…

駝鳥

ダチョウ科の鳥で現存の鳥類の中でもっとも大きい。卵も16センチx12センチと、鳥類中最大。アフリカの草原に群生している。飛ぶ力はないが、脚が長く太いので、脚力はすばらしい。時速90キロで走ることができる。雄の翼と尾が純白なので装飾に利用される。…

人形(3)

現代日本の人形作家では辻村寿三郎に惹かれる。NHKテレビで放送された人形劇『新八犬伝』は、実に生々しくて迫力があった(1973年から1975年まで全46話)。 枕邊に人形を置く患者らの多くは子ろをふるさとに置く 川口常孝 肌白き陶人形の眼に染みぬ一人の旅…

人形(2)

人形劇・人形芝居に用いられる人形には、人形の操作方法により、手遣い人形(パペット)、棒遣い人形、糸操り人形(マリオネット)の大きく分けて4種類がある。日本の伝統的な人形劇には文楽(人形浄瑠璃)がある。他に映画(テレビ)人形劇もある。 人形の…

人形(1)

人間の姿に似せて作られたものが人形で、古く先史時代からあった。用途には、祭礼、おもちゃ、鳥獣除け、人形劇 など。最近の人形には電子技術を組み込んで、動いたりしゃべったりするものもある。 「みんなお病気よ」と人形をねかせつつ子はあそべり半歳 (…

歌集『あんずの花』

これは、斎藤茂吉の愛人として知られる永井ふさ子の歌集である。ふさ子は茂吉と別れてからも茂吉を忘れられず終生独身を通した。ふさ子には茂吉を慕う歌が数多くある。愛慾の場面は万葉仮名で書かれていたりする。これは茂吉の発案であった。その例の引用は…

薪(2)

木材は人間が調達し易い燃料であるため、最古より人類に利用されてきた。現在でも開発途上国では伐採樹木の8割が薪炭用で占められているという。薪は、食物の調理や風呂炊きといった日常用途のみならず、発電、蒸気機関車、窯業などの熱源として使用されてき…

薪(1)

たきぎ、まき と読む。焚木と表記することも。燃料にする木のことである。生木は水分が多く燃焼の妨げとなるため、伐採後に割り乾燥させる。 薪樵(こ)る鎌倉山の木垂(こだ)る木をまつと汝(な)が言はば 恋ひつつあらむ 万葉集・東歌 山人のこれるたき木は君が…

新春の江ノ島

元日に新江ノ島水族館に行ったついでに辺津宮まで足を伸ばしたのだが、みぞれになりかつ参拝客が石段に列をなしていたので、早々に引き返した。あらためて天気の良い日に新春の江ノ島を巡ってきた。サムエル・コッキング苑には、色とりどりのチューリップや…

鳶(3)

日本には古代の伝説にトビが出て来る。有名なのは、『日本書紀』において金色のトビが神武天皇の弓の端に止り、その身から発する金色光で長髄彦の敵軍の目を眩ませ、神武天皇に勝利をもたらしたという伝説である。昭和15年発行の記念切手や絵画の題材にも…

鳶(2)

トビの餌は、動物の死骸、カエル、トカゲ、ヘビ、魚などの小動物であり、カラスやカモメと重なるところもあるので、これらの鳥と餌の奪い合いをしている光景を見かける。観光地では、我々が弁当を食べていると、気付かないうちに上空からさっと手元に飛び込…

鳶(1)

鳥類の鳶については、2008年の3月1日と4月15日にとり上げているが、以下の3回では重複しない作品である。 すでに書いたことだが、トビはタカ目タカ科に属する鳥で、日本の日常生活でよく見かける猛禽類である。「トンビがくるりと輪を描いた」と流行歌に唄わ…

独楽(4)

俳句では新年の季語。独楽の胴に彩色して、廻った時の色調を楽しんだり、廻ると音を発するしかけを施したものもある。ベーゴマ(貝独楽、べいごま、ばいごま)とは、小さな独楽の一種で、バイ貝の殻に砂や粘土を詰めてひもで回したのが始まりといわれる。平…

独楽(3)

独楽の種類をおおまかに分類すれば次のようになる。名前から機構が類推できる。 ひねりゴマ: 軸を指で捻る事で回すもの 手よりゴマ: 軸を両手のひらで挟んで回すもので、 もみゴマともいう。 糸巻きゴマ: 軸に紐を巻き付けて、これをほどくこと で回すも…

新春の三渓園

久しぶりに横浜三渓園に行ってきた。松の内ながら観客は少なく静かなもので気分が落ち着いた。水仙花はそこここに咲いていたが、梅については、月華殿の軒先に白梅が咲き始めている他は、見かけなかった。目白が小さな声で囀りながら飛び交っていた。 園内に…

タヌキは食肉目イヌ科で夜行性、方言でムジナとも言う。ただし、ムジナはアナグマの異称でもある。北海道にはエゾタヌキ、本州、四国、九州にはホンドタヌキが棲息する。エゾタヌキはホンドタヌキより少し大きい。狸寝はショックによる仮死状態らしい。徳利…

初春の源氏山

仕事始めの鶴ケ丘八幡宮は、例年のように参拝者で混んでいることが鎌倉駅に着いた途端に分ったので、鶴ケ丘八幡宮方面には出ず、反対の出口から壽福寺に向かった。壽福寺本堂の庭には、鹿威しの音が聞こえていた。裏手の墓地を散策し、山道に入って太田道灌…

初春の骨董市

今年の初詣という殊勝な心がけではないが、近くの遊行寺に出向いた。小栗堂の障子が少し開かれていたので中を覗いてみたが、仏壇らしきものがあっても仏像などは見えなかった。裏手の庭は小栗判官と十勇士の墓、照手姫の墓、鬼鹿毛の墓、小栗判官眼洗いの池…

独楽(2)

独楽は世界各地でみられ、それぞれ独自に発生したらしい。その歴史は古く、エジプトでは紀元前1500年ごろの独楽が発見されている。日本では、平城京跡や奈良県藤原宮跡などからも7〜10世紀ごろのものと思われる木製品が出土している。 小さき手の手力(たぢか…

独楽(1)

「こま」の語源は、「高麗」。古代には朝鮮を高麗と呼んでいた。高麗の舞楽に体を回転して舞うものがあり、その様子からきたという。ちなみに朝鮮語の熊は「コム」であり、狛犬は朝鮮の犬の意味。 手すさびに老も子供の遊びわざ独楽をまはしてほかごころなし…

箱根駅伝往路と富士

昨日2日は、箱根駅伝往路をテレビと東海道・鉄砲宿付近の路傍で見た。今年の5区(小田原から芦ノ湖まで)において、驚くべき新記録が出た。青山学院大学の小柄な神野が、今までの伝説的な柏原の記録をコース距離が伸びたにも関わらず、24秒も縮めたのであ…

門松

新年に松を依代として年神が訪れる門である。むかしは十二月十三日から飾った。大晦日に飾るのは、一夜松といって忌み禁じられた。門松を取り払う日は地方によって異なる。関東では一月六日、関西では一月十四日である。正月の門松のある期間を松の内という…