天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

鯨(続)

2012年2月23日の続きである。わが国の捕鯨は古く、クジラを「勇魚」と呼び、万葉集には「勇魚取り」が枕詞として海、浜、灘にかけて使われた。江戸時代から紀州の太地浦、肥前の生月島、土佐など沿岸で盛んであった。多くの勢子舟で鯨を網に追い込み、手銛で…

イグアナ

タテガミトカゲ科。原始的トカゲ。中南米の森林の樹上に棲むが、有名なのはガラパゴス諸島のウミイグアナとリクイグアナであろう。海藻、野草、サボテン、果実などを食べる。概して温和な性質。 イグアナは海イグアナか檻に棲みなびく背の棘 角質ならず 小谷…

雁(3)

雁風呂(がんぶろ)という伝説と風習がある。雁供養とも言う。日本に秋に飛来する雁は、木片を咥えて来て、途中の海上で木片を浮かべてその上で休息をとる。日本の海岸に近付くと不要になるので、そこに置いて各地に飛んで行く。そして春に北に帰るとき、再び…

雁(2)

雁の古い異名に「かりがね」があるが、本来は「雁が音」であって、万葉集には、「今朝の朝明(あさけ)雁が音聞きつ春日山もみちにけらし吾心痛し」とある。これが後の古今集では、「うきことを思ひつらねてかりがねの鳴きこそ渡れ秋の夜な夜な」のように雁を…

雁(1)

ガンカモ科の渡り鳥。北半球の寒帯で繁殖し、秋に日本へ渡ってくる。真雁が代表的で背は暗褐色、額に白斑がある。越冬した雁は三月下旬に北へ帰る。それを帰雁とか行く雁という。俳句では秋の季語。 七階に空ゆく雁のこゑきこえこころしづまる吾が生あはれ …

鮒(ふな)

コイ科だが鯉と違ってひげがない。世界に分布する。日本には五種類いるという。鮒ずしにするニゴロブナは琵琶湖特産だが、現在は少なくなっている。ゲンゴロウブナも琵琶湖の固有種。他にギンブナ、キンブナ、ナガブナなど。 沖方(おきへ)行き辺に行き今や妹…

吉田松陰と鎌倉瑞泉寺

松陰の母方の伯父・竹院和尚が第二十五世住職を務めていた瑞泉寺。松陰はこの伯父を訪ねて幾度かこの寺を訪れたらしい。1854年(安政元年)、下田で密航を企てる直前にも、和尚に会いにきたという。ところでなんでまた長州の人が鎌倉に職を得ていたのか、不…

世田谷の松陰神社(2)

この神社の沿革は次のように紹介されている。 安政6年10月27日朝、評定所にて罪状の申し渡しがあり、その後伝馬町獄舎で松陰は処刑された。享年30。10月29日弟子たちにより小塚原回向院下屋敷常行庵に埋葬された。その4年後の文久3年、松陰先生…

世田谷の松陰神社(1)

NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」に刺激され、二宮町の蘇峰記念館で見た松陰の真筆に襟を正し、また次の有名な留魂の辞世歌に魅せられて、世田谷区にある松陰神社を訪ねてみたくなった。 身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬとも留めおかまし大和魂 吉田松陰雨があが…

田浦梅の里

あらかじめパソコンで作成しておいた確定申告書を税務署に出向いて提出した後、横須賀線で田浦駅まで行ってそこからかなり歩いて梅林を巡った。ここの開花状況もWEBで確かめたのだが、現地に来てみるとまだまだ固い蕾の木々が多い。なんとか山の斜面満開…

蕪(続)

2011年12月11日の続きである。世界中で栽培されているが、分類上はアジア系と、ヨーロッパ系の2変種に分かれるという。文献上では、中国では詩経に記載され、日本では、古事記の「吉備の菘菜(あおな)」がカブのことと見られ、また日本書紀では持統天皇が栽培…

氷魚(ひうを)

鮎の稚魚のこと。2,3cmで無色半透明だが、死ぬと白濁する。琵琶湖産が有名。生のまま醤油をかけて食う踊り食いが知られている。 吾が背子(せこ)が犢鼻(たふさき)にする円石(つぶれし)の 吉野の山に氷魚(ひを)ぞさがれる 万葉集・安陪子祖父 いかで猶ほ網代…

氷河(2)

日本にも氷河があると認定されたのは、つい最近のこと。2012年4月に日本雪氷学会が剱岳の三ノ窓雪渓と小窓雪渓、立山の御前沢雪渓に氷河が現存している可能性を報告し、同年6月にそれぞれ「三ノ窓氷河」「小窓氷河」「御前沢氷河」と呼ぶことに決まったので…

氷河(1)

氷河は、山の渓谷に、何年にもわたって氷が堆積し、万年雪が圧縮されることでできる。重力や氷の重さによる圧力で流動する。陸上の氷河は、陸地面積の約11%にもなるという。氷河は、山岳氷河と大陸氷河の二種類に分類される。山岳氷河の温度は一年を通して氷…

曽我梅林

熱海梅林は見頃に近かったので、例年行く曽我梅林は如何にと、一応WEBを調べて出かけたら、失敗であった。WEBの紹介写真は、咲いている木を中心に出しているので誤解してしまった。咲き始めた白梅もあったが、それも三分咲きといったところ。大方の木…

かんぽの宿

熱海梅園を見た日には、上の山のかんぽの宿に泊った。以前は本館だったが、今回は梅園に少し近い別館に泊った。宿は高みにあるので、窓からは熱海の街と太平洋が一望できた。夜景も風情があった。 如月の水脈曲げてくる遊覧船 立春の月に濡れたる熱海かな 梅…

熱海梅園

糸川の熱海桜を見てから、バスで梅園に行った。予め開花状況をWEBで調べていたのだが、思ったよりも多くが咲いていて見頃であった。土日祭日には、いろいろなショーがある。人出がやりきれないので、そうした日は敬遠した。猿回しが僅かの客を相手に猿に…

熱海桜

今年も熱海の糸川に早咲きの桜(熱海桜)を見に行った。天気予報では雪が降るようなことだったので、前日に長靴を買って用意していたのだが、当日は晴れて雨の気配さえなかった。タクシーに乗って行く先を芸妓検番といったら、川筋が違っていた。記憶違いだ…

鷲(続)

2009年7月21日のブログの続きである。尾白鷲、大鷲などは冬に渡来。海岸に棲む。巣は岩や大木の上に作り、昼間行動して魚や鳥獣を捕食する。 忍ぶ山こさ地の奥にかふ鷲のその羽ばかりや人にしらるる 拾遺愚草・藤原定家 信濃なる須賀の荒野を飛ぶ鷲のつばさ…

立春の吾妻山

今年は立春になって初めて二宮町の吾妻山に登った。斜面には水仙が咲き匂い、頂上には菜の花が満開であった。いつものように菜の花とかなたの雪の富士をカメラに納めた。吾妻神社から左手の道を下りてくると小枝に地味な色の小鳥が止っていた。尾をを上下さ…

ふくろう(4)

風貌が人に親しまれて「森の物知り博士」、「森の哲学者」などと呼ばれたり、獲物を襲う時の行動から、「森の忍者」と呼ばれたりする。俳句では、ふくろう、みみづく は冬の季語。 夜の森にかそかに風の吹き来なりふくろふは眼をほそく あけたり 来嶋靖夫 梟…

ふくろう(3)

「ふくろう」の名の由来は、毛が膨れた鳥であることに由来する、鳴き声に由来する、昼隠居(ひるかくろふ)から転じたなどの説がある。異名として、不幸鳥、猫鳥、ごろすけ、ほろすけ、ほーほーどり、ぼんどりなどがある。古語で飯豊(いひとよ)と呼ばれて…

ふくろう(2)

日本のフクロウ類では、大きな順にシマフクロウ(全長約71 cm)、ワシミミズク、シロフクロウ(全長約58 cm)などとなる。目は人間の10-100倍ほどの感度があるという。目で遠近感をつかめる範囲は60-78度と広いが、視野は約110度と狭く、これを補うために首…

ふくろう(1)

フクロウ目フクロウ科フクロウ属に分類される猛禽類の一種。スカンジナビア半島からユーラシア大陸北部の帯状地域に広く分布する。日本では全国の低い山の林に棲む留鳥。夜間に行動し主として鼠類を捕食する。なおこれから続く4回の「ふくろう」の記事は、 …

熊(続)

2009年2月28日のブログの続きである。雑食性で冬には穴居して冬眠する。本州にはツキノワグマが、北海道にはヒグマが棲息する。敷物になった皮を時折見かける。 中国では、クマの手のひら(熊掌)が高級食材として珍重されている。日本でもその肉が、流通量…

吉田松陰の三余説真筆

二宮町の徳富蘇峰記念館に出向いて、吉田松陰が書き遺した三余説の真筆を見てきた。内容は特段のものではない。どちらかというと年少者向けの教訓に近い。ただ、松陰直筆の気迫のこもった若々しい書体に感動した。背筋を正される思いであった。松下村塾で育…

柱時計

現在の柱時計には、電子式で振り子のないものもあるが、通常は振り子時計を意味した。それはガリレオが発見した振り子の等時性(一定の周期で揺れる性質)を応用した時計である。時計を発明したのはクリスティアーン・ホイヘンスで、1657年頃であった。その…

自然薯(続)

昨年の1月13日にとりあげているので、その続きである。学名にDiossorea Japonica Thunbとあるように、日本原産の野生種の芋である。ナガイモと自然薯はとろろにするとよく似ているが、染色体が異なり、植物分類学上では違う種類になっている。自然薯に豊富な…