天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2015-05-01から1ヶ月間の記事一覧

大佛次郎研究会

昨日、神奈川近代文学館で開催された第25回公開発表会に出席して、テレビ映画「天皇の世紀」と小池光さんの講演「大佛次郎と大池唯雄の往復書簡」を視聴した(短歌人会・花鳥さんのご紹介による)。テレビ映画は、1971年制作のもので、第一期・第2話「野火」…

蛭(ひる)

環形動物ヒル綱の総称。池沼、水田、渓流などに棲む。魚や貝、動物や人の肌に九着して血を吸う。暗緑色で10cm余りの「馬蛭」、渓谷に棲む「山蛭」といった種類がある。俳句では、夏の季語。 山蛭の落ちて浜名の勅願寺 浜田小枝 井堰水ながるる中に蛭のゐて…

光(8)

自ら光る生物は地球上に4000〜5000種いるらしい。海洋に最も多く分布しているという。日本近海にも光るサンゴの大群落や、光る魚が舞い踊る光の楽園がある。ノーベル化学賞を受賞した下村脩氏が抽出に成功した蛍光タンパク質も、海の生物に由来する。 億光年…

五月の風

里山の藤沢・新林公園を歩いた。新緑が薫る山道に汗をかいたが、目立った花はない。地面近くには、白つめぐさ、ハルジョオン、どくだみ、へびいちごなどを見るのみ。 さまざまの小鳥のこゑの里山に風わたるなり木の葉 そよげる どくだみの白とへびいちごの赤…

光(7)

テレビなどで光通信がよく宣伝されている。光通信とは、伝送媒体に銅線の代りに、光ファイバーを利用した有線通信である。電線や電波による通信に比べ、以下の特徴がある。 *傍聴されにくく、秘密保持が容易。 *電磁誘導ノイズの影響を受けない。 *レーザ…

永田和宏『現代秀歌』

伊豆下田に行く電車の中で読んだ。全部を読み終ったわけではないが、歯切れよく行きとどいた解説で、大変読み易い。ちなみに『近代秀歌』もあり、両方とも岩波新書だが、名著といってよい。内容をくどくど紹介するのはヤボであり、直に読んで頂くのが一番で…

下田の吉田松陰(3/3)

吉田松陰と金子重輔は、ペリー提督のポーハタン号に乗り込んで密航しようとしたのだが、断られ下田の奉行所に自首して捕らえられた。このことは周知の歴史だが、気になるのは、松陰たちの旅費のことである。下田に滞在した期間は24日間と短期間ではあった…

下田の吉田松陰(2/3)

柿崎の弁天島には、歌人の窪田空穂が大正九年秋に訪れ、踏海の壮図を偲び歌を詠んだ。次の五首で、歌集『青水沫』に載っている。「心燃ゆるものありて」の歌は碑になっている。また他の四首は弁天堂の板戸に墨書されている。 柿崎の磯に寄りくる白波の消ゆと…

下田の吉田松陰(1/3)

下田の黒船まつりに行ってみたいと思っていたが、天候が不順なのであきらめた。台風が過ぎたころを見計らって、あらためて下田を訪れ、柿崎の弁天島、玉泉寺、三島神社など松陰ゆかりの場所を歩いた。下田には過去に二度ばかり来たことがあるのだが、松陰を…

光(6)

光の性質として以下のようなものがある。 * 光は直進する。ただし重力場ではその経路は曲がる。 * 平面鏡に当たった光は、鏡に当たったときと同じ角度 で反射する。 * 屈折率の異なる物質の境界面では光の進路が変化する。 * 強さは光源からの距離の2乗…

ブラシの花

台風五号のせいで天候不順が続き、外出がおっくうだったが、晴れたので鎌倉に行ってみた。大巧寺、妙本寺、常栄寺、八雲神社、安國論寺などをめぐった。先日見た妙本寺境内の海棠の花は、すでに散り果てて跡かたもない。五月のこの時期には、草叢に咲く著莪…

鑑賞の文学―短歌篇(38)―

今年の「短歌人」5月号は、特集に中地俊夫さんをとり上げている。歌壇での彼の活動が静かというか、目立たないので、今までまともに歌集を読んだことがなかった。今回の特集によって、生立ちから現況までの概要がわかり、幾人もの人達の評論や交友記事を見…

光(5)

宗教において、光は超越的存在者の属性を示すものであった。例えば、仏像における光背がそのイメージである。そして仏教では、光は仏や菩薩などの智慧や慈悲を象徴するものとされる。またキリストの絵画では、頭の後ろに光輪が描かれている。 春ここに生るる…

昆布

コンブあるいはコブという。北海道沿岸を中心に三陸海岸などにも分布し、親潮の海域を代表する海藻である。養殖も盛んであり、横須賀沖では北海道から種を貰ってきて育てられている。水産物として価値が高く重要な種にマコンブ、ホソメコンブ、リシリコンブ…

光(4)

太陽の放つ光は、強烈なエネルギーを持っている。それを電力に変換できれば、また蓄電できれば、これほどクリーンなエネルギー源はない。それを実現するのが太陽光発電である。原理は、半導体を利用して、光のエネルギーを直接的に電力に変える太陽電池を作…

玉虫

タマムシ科の甲虫。幼虫はサクラ、エノキ、ケヤキ、カシなどの衰弱した木を食べ、三年ほどかけて成虫になる。古くから、厨子などの美術工芸品や装飾品に利用されてきた。法隆寺の玉虫の厨子は、羽を使用しており国宝として有名。 玉虫の羽白妙にならむ世を待…

歯磨き

歯磨きの歴史は古く、古代エジプト(BC1500頃)のパピルスに記録が残っているという。日本で歯磨き粉の歴史で分かっている最も古い時代は、応神天皇、仁徳天皇の頃である3世紀の頃とされる。専門の記録としては、平安時代の現存最古の医学書「医心方」に、「…

山椒魚

両生綱有尾目サンショウウオ科とオオサンショウウオ科の総称。オオサンショウウオは西日本の山間の渓流にすむ。最大の両生類で、体長は1.2mにもなる。ハンザキとも呼ばれる。生きた化石として、特別天然記念物に指定されている。ただ、中国産の山椒魚との交…

イチローを詠む(13)

イチローがヤンキースからマーリンズに移籍してから、全くとり上げる気にならなかったが、このところ常時先発して彼らしい成果を見せ始めて、また詠んでみたくなった。これまでイチローを詠んだ短歌は、百五十首を越えているが、どこまで続くか心許ない。 日…

フラダンス

ハワイ語のhulaはハワイの伝統的な歌舞音曲で、フラにはダンス、演奏、詠唱、歌唱の全てが含まれる。フラは総合芸術であると同時に宗教的な行為でもあるという。フラが日本に紹介されたのは、常磐ハワイアンセンターの開園時であるらしい。 フラダンス踊る処…

藤の花ちる

桜の花が散ると藤の花が咲き始める。だが藤の花の寿命も桜と同様短い。わがなじみの場所と言えば、小田原城の御感の藤と横須賀しょうぶ園の二カ所である。今年は横須賀しょうぶ園に行ってみた。ゴールデンウィークの終りだったので、紫の藤は散り始めていた…

鷹(3)

百科事典によると、鷹は世界中の草原、砂漠、森林、海岸などの幅広い環境に生息する。食性は動物食で、昆虫、節足動物、甲殻類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類、動物の死骸などを食べる。樹上や岩場の上などに木の枝などを組み合わせた皿状の巣を作り…

鷹(2)

人類と鷹とは、古くから関係があった。縄文時代には食料にされていたようで、遺跡からタカ類の骨が発掘されている。また鷹の糞は、医薬品として用いられたことが『本草和名』(平安時代の医薬書)に記載されている。そして多くの国で、鷹狩に使用されてきた…

鷹(1)

ワシタカ科の鳥のうち、中・小形の一群の総称。日本には、ノスリ、クマタカ、チュウヒ、オオタカ、ハイタカ、ハチクマ、サシバ、ハヤブサなどがいる。鷹狩に使うのはオオタカ。ハチクマやサシバは、秋に大群をなして南へ渡る。日本には約20種が生息してい…

歌集『蜜蜂の箱』(3/3)

さらに読者の常識的な感覚を裏切るような否定表現が目を引く。否定表現がかえってもののイメージを鮮明にする効果があることは、藤原定家の「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮」の例で良く知られているが、佐々木さんの用法は次のように独特…

歌集『蜜蜂の箱』(2/3)

一首の巧みさを感じさせる技法のひとつに副詞(句)の使い方がある。佐々木さんが師事している小池光さんが名手なのだが、佐々木さんの例をあげよう。 「火星人」答案用紙に名をしるす少年の耳あたかも尖る ひるのガレージ密やかにしてそれはもうふはふはの…

歌集『蜜蜂の箱』(1/3)

佐々木通代さん(短歌人所属)の歌集(六花書林刊)である。2010年以前に詠まれた作品が作成順に三四四首載っている。幼い頃から詩や短歌を声に出して読むのが好きだった、と「あとがき」にあるが、そうして養われた感性が、作品に反映されて、詩情ゆたかな…

町田ぼたん園

町田ぼたん園は民権の森公園の一部。敷地は16,000平方メートルで、平成四年に開園。現在331種、1,730株のぼたんがある。芍薬も30種、400株がある。入園して少し歩いたところに「牡丹の由来と歴史」の説明板がある。そこからいくつかの事項を以下に紹介しよう…

光(3)

光は波の性質(波動性)と粒子の性質(粒子性)を併せ持つ。光の反射・屈折・回折といった現象は、波動性から説明される。また光電効果は粒子性により説明される。このように相補う性質を、文字通り「相補性」という。光の粒子説を唱えたのは、ニュートンで…

光(2)

BSジャパンで「追え! 光のメッセージ」という番組を見た。国立科学博物館では、来年の2月22日まで「ヒカリ展」が開催されている。LEDの研究でわが国の科学者3名がノーベル賞を受賞したことでも、光に対する関心は高い。 曇りなき世の光にや春日野…