天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

歌集『アルゴン』(1/2)

斎藤寛さん(「短歌人」所属)の第一歌集である。六花書林刊。手にとって帯文を見て仰天した。右の画像に見るように、小池光さんが凄まじい文章を書いている。読者は歌集を開く勇気を失くしてしまうのではないか。と思ったが、これは小池さん一世一代の二度…

靴(9)

靴に関する諺がある。以下に三つあげる。 「瓜田に靴を納れず 李下に冠を正さず」 疑いをまねくような行為はしないほうがよい。 「隔靴掻痒(かっかそうよう)」 かんじんなところに手が届かず、もどかしい。 「冠(かんむり)古けれども沓(くつ)に履かず」 物に…

靴(8)

靴が象徴する事象は沢山ある。?豊饒、愛情 ?快楽 ?所有 ?卑下 ?靴を脱がされる=恥辱 ?認知 ?自由 ?権威・権力 ?旅 ?各種まじない ?各種民間伝承 等。古くは神話や民話に出てくる靴、また童話、詩、小説などでの描写により、靴に何を象徴させているかが決ま…

靴(7)

職業としての靴磨きは、いつどこで始まったのだろうか。日本では第二次世界大戦の敗戦以降、社会の貧困と戦災孤児が浮浪児化したことから、都市部を中心に靴磨きを生業とする少年らがあふれた。外国でも貧しい家庭では、靴磨きの少年の収入が家計を支えたり…

靴(6)

ハイヒールは、履くと踵部分が爪先よりも7cm以上持ち上げられる形状の靴と定義されている。古くは、紀元前400年代、アテネで、背を高く見せるハイヒールが遊女間に流行した、という。1600年代にはフランスで、町に溢れる汚物を踏む面積の少ない靴として、ハ…

靴(5)

童話「シンデレラ」には、ガラスの靴が登場する。だが、靴はガラスではなく、「絹と銀の刺繍がされた靴」とする話(グリム兄弟)もある。舞台やアニメ映画にする際に、演出家が効果的に作る場合もあろう。現実には、ガラスの靴など履けたものではない。ファ…

靴(4)

童謡「赤い靴」は、大正11年(1922年)、野口雨情作詞・本居長世作曲で発表された。野口雨情は、特定の話に基づいて作詩したのか、捏造されたものではないか、とか一時かまびすしい論争があったという。詩に裏付けを求めることも研究テーマになるのだろうが…

歌集『ここからが空』(2/2)

詩としての短歌に常用される比喩、擬人法、リフレイン、取合せなどの修辞法も豊富であり、工夫がなされている。春野さんは詩を先に学んだのではないか、あるいは短歌に詩をのせることをモチーフにしているようだ。詩が先にあってそれを短歌形式にのせたよう…

歌集『ここからが空』(1/2)

春野りりんさん(「短歌人」所属)の第一歌集で、本阿弥書店からこの七月に刊行された。二読三読してみて、現代短歌の一金字塔になると思った。 現代の題材を詠むのに、日本の古典の雅な言葉使いをさりげなく取り入れ、ひらがな表記の優雅さと漢字や外国語・…

靴(3)

日本では平安時代に木履(ぼくり)が上流階級で履かれたが、束帯、衣冠、直衣などの着用に際してこれが用いられた。桐の木をくりぬき、黒漆を塗ったものであった。 喪のような空に帽子を投げつけて恋うるニコライ・ スタヴローギン 古明地実 いま脱ぎて置かれ…

靴(2)

靴の種類(構造や用途)は、「――靴」と呼ばれることから分る。雨靴・運動靴・雪沓・短靴・長靴・編み上げ靴・革靴・木靴・ゴム靴・布靴 等々。 今ぬぎし靴玄関の灯を浴びる自画像に似てさびしわが靴 秋葉四郎 靴底に釘逆立ちて刺すまでの日々とおくしてとり…

靴(1)

靴は足を包む形の履物の一種だが、靴底のあることが条件であり、靴下や足袋のような、一枚布あるいはそれに近い構造のものは靴に含めない。人類の歴史において、いつの時代から靴が現れたかははっきりしない。発見された最古のものでは、紀元前3500年ごろの…

冥王星の探査

探査機が冥王星に最接近したというニュースでにぎわっている。 冥王星は、1930年にアメリカの天文学者クライド・トンボーによって発見された。2006年までは太陽系第9惑星とされていたが、その後準惑星に区分された。これは奇しくも冥王星探査機ニュー・ホラ…

ダニ

節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目に属する動物の総称。全世界で約2万種と言われており、形態・生態ともに多様。漢字では、マダニ類を「蜱」と表示し、それ以外のケダニ類、コナダニ類などを「蟎」として区別する。英語やドイツ語でもこの二種類に対応する別の…

海老(続)

2008年12月27日にとり上げているが、以下は続きである。 淡水産には、ヌマエビ、テナガエビ、ザリガニ、スジエビなど。海水産にいたっては、日本近海にイセエビ、クルマエビ、サクラエビ、テッポウエビ、クマエビ、コウライエビ、ホッカイエビ、シバエビなど…

虱(しらみ)

シラミ目に属する昆虫の総称。全部が哺乳動物に寄生し、幼虫、成虫とも皮膚から吸血する。宿主の体から離れると死ぬ。衣虱、頭虱、毛虱などの種類がある。 蚤虱馬の尿(しと)する枕もと 芭蕉 着る物の縫ひめ縫ひめに子をひりてしらみの神世始りにけり 橘 曙…

「花燃ゆ」展

炎天下の伝馬町牢屋敷跡を巡った後は、両国の江戸東京博物館で開催されているNHKテレビの大河ドラマ「花燃ゆ」展を見に行った。写真や書状が豊富に展示されていた。書状はいずれも興味を引くものであったが、中でも松陰、高杉、久坂などのものは貴重に思…

伝馬町牢屋敷跡

吉田松陰ゆかりの地を訪ねているが、今回は小伝馬町の十思公園に行った。この地域に江戸期の伝馬町牢屋敷があった(慶長年間から明治8年まで270年にわたって数十万人の囚人を収容したという)。安政の大獄で吉田松陰はじめあまたの尊王攘夷志士が処刑になっ…

ヤモリ

ヤモリ科の爬虫類。四肢が発達し、各指の下面がひだ状になり吸盤の役目をする。尾は自分で切れる。毒は無く、全く無害。俳句では、夏の季語。 守宮落つ佐渡に残れる能舞台 田川飛旅子 膝に布団はさみて寝るや守宮鳴く 三谷 昭 おとうとがアルコール詰(づめ)…

カメレオン

トカゲ目カメレオン科の爬虫類。アフリカ、マダガスカル、インゴなどに80種が分布、体の色が緑色から褐色まで、周囲の情況に応じて変化する(保護色)。左右の目は別々に動く。 カメレオンと樹の関係を想う午後ひとりのからだ やさしくなりぬ 早川志織

班猫(はんみよう)

ハンミョウ科の甲虫。道おしえとも呼ぶ。里山の道に多く現れ、人の歩く先へ先へと跳び歩くからである。幼虫は産みつけられた地面の穴に近寄る昆虫を捕食する。この習性を利用して、ニラの細長い葉を穴に挿し入れて、幼虫を釣りあげる子供の遊びがあった。夏…

ほんだわら   

名告藻(なのりそ)、なのりも などとも。ホンダワラの古名である。葉に小豆大の気泡があり、乾くと音をたてることからきている名前。「なのりその」は名にかかる枕詞。 海(わた)の底沖つ玉藻の名告藻(なのりそ)の花妹と吾(あれ) と此処にしありと莫告藻(なの…

鰰(2)

煮魚や焼き魚に調理されるほか、干物、塩蔵、味噌漬けなどにもされ、しょっつると呼ぶ魚醤にも加工される。卵は「ぶりこ」と呼ばれ賞味される。ハタハタ寿司は、なれずしの一種で保存食となる。 黙(もだ)せどもくちびるさむしまないたの燭魚の目に のこるさ…

鰰(1)

「はたはた」の漢字表記。その他に鱩、雷魚、燭魚などの字をあてることも。名称の「ハタハタ」は古語で雷の擬声語。現代なら「ゴロゴロ」だが。雷の鳴る11月ごろに獲れるので、名称に反映している。ハタハタ科の海水魚で、大きな口をもち、鱗がない。産卵期…

パソコン(3)

2000年代の進歩を次に列挙する。 2001年: Windows XP(32ビット版と64ビット版が提供)発売。 NTTがBフレッツ(光・IP通信網)サービスを開始。 2005年: インテルがPentium D(プロセッサコアが2つ内蔵 された「デュアルコア」構造で、従来のプロセッサ の…

パソコン(2)

1990年代の主要な進歩を次に列挙しておく。 1990年: 日本IBMが日本語表示が可能なOS「DOS/V」を発売。 1993年: インテルがCPUチップPentium(60/66MHz)を発売。 1995年: GUIを改良したWindows 95が出る( MS-DOS 時代から Windows 時代へ)。 WebブラウザI…

パソコン(1)

個人用のコンピュータの販売は、1975年に米MITS社が、組み立てキットの「ALTAIR」を売り出したのが最初だった。1977年には、米アップル社がApple IIを発売して、世界的ベストセラーになった。1979年には、日本でもNECが「PC-8001」を出した。8色のカラーと最…

紅花(べにばな)

キク科ベニバナ属の一年草二年草。原産地のエジプト・地中海沿岸からシルクロードを経て、飛鳥時代に渡来した。古名を末摘花、紅藍、くれない とも呼んだ。7月の梅雨の時期から梅雨明けにかけて、真黄色の花を咲かせる。江戸時代においては、土も肥えて水は…

北海道

和人はアイヌを蝦夷(えぞ)と呼んでいた。明治政府の開拓使に任命された松浦武四郎は、政府に建白書を提出、「北加伊(きたかい)道」「海北道」「海東道」「日高見(ひたかみ)道」「東北道」「千島道」の6案を示した。基本として「北加伊道」が採用され、表記を…

アイヌ

古くは日本列島北部、北海道、サハリン、千島列島などに住んでいた民族。現代は、日本とロシアに住む。「アイヌ」は「人」の意味。アイヌも和人も、縄文人を祖先とするが、和人は弥生時代に大陸からの渡来人と混血が進んだが、アイヌは混血が進まず縄文人が…