天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

船の歌(10/10)

船のゴンドラは、ヴェネツィアの伝統的手漕ぎボートのこと。何世紀にもわたって、主な交通手段であり続けている。観光用のものは運河のタクシーと言える。 桟橋に泊れる船は帆に風を孕みて夜の白き貴婦人 白石トシ子 東京湾を入りくる船が目標にしたるへそ山…

船の歌(9/10)

「サンタマリア号」は、もとコロンブスがアメリカ大陸探検の際に使っていた3隻の船の内の最大の船の名前であった。長さ18メートル、甲板と3本のマストを備えていた。大西洋を無事に横断しバハマ諸島に到達したが、探検の途中、イスパニョーラ島で座礁し解体…

船の歌(8/10)

船の竜骨は、船底の中心を、船首から船尾へ貫く主要部材。船の背骨となるもの。英語ではキールと言うが、その時は、船舶の下に配置された水中構造体をも意味する。 縹渺と広き支那海を渡りゆく孤(ひとつ)の船は想ふ だに寂し 森本治吉 砂いろに水が喰ひこむ…

仔猫(2)

猫の種類は40〜60種で、犬に比べるとかなり少ない。オスは活発で外向的、メスは温和で内向的な傾向にある。丸顔の猫はおっとり、三角顔の猫は活発 といった性格が見られる。 子猫のトイレのしつけは犬のように教えなくても、排泄の習性から出来るようになる…

仔猫(1)

雌猫が一度に産む仔猫の数は、平均で3頭から5頭犬とされる。多い時は8頭も産む場合もあるとか。猫は安産の守り神とされている犬などより安産で、ねずみ算といわれるネズミよりも繁殖能力に長けている。 生まれたばかりの子猫は、母猫が面倒を見るので、人…

旧東海道・戸塚宿

戸塚はわが生活の範囲なのだが、それがどのように発展してきたのか歴史を調べたことがなかった。ところがバス停の鉄砲宿に、昔の戸塚宿の記憶を残すモニュメントを紹介する看板が立ったので、散歩がてら訪ねてみた。 戸塚区役所のHPには、戸塚宿について次の…

イモリ(2)

河豚と同じ毒をもち、斑点はその警告であるという。俳句では夏の季語。傍題に「赤腹」がある。紛らわしいものにヤモリがいるが、これは爬虫類で別種。 いもり棲む神代の日より生きかはり 上村占魚 木ノ芽峠雨霧赤腹湧出す 岡井省二 恋薬とぞ這ふ井守踏みて啼…

イモリ(1)

有尾目イモリ科イモリ属に分類される両生類の一種。本州、四国、九州の川や池に棲み、ミミズ、昆虫、貝などを食べる。日本ではアカハライモリのことである。冬眠する。雌は放出された精子塊を取り入れて体内受精するという。四月から六月頃に水草に産卵する…

船の歌(7/10)

釣舟(いさり船)を詠んだ歌をみてみる。「海人の釣舟」は旅人に好んで詠われ、旅中の侘びしさ、流離の心情を醸し出した。 飼飯(けひ)の海の庭好くあらし苅薦(こも)の乱れ出づ見ゆ 海人(あま)の釣舟 万葉集・柿本人麻呂 わたの原八十島(やそしま)かけて漕ぎ…

船の歌(6/10)

「蜑小舟」は、漁民の乗る小舟。「そほ舟」は、赤土塗りの舟。「高瀬舟」は、舳が高く底が平らの川舟。 わたつ海は蜑(あま)の舟こそありと聞け乗りたがへても 漕ぎ出でたるかな 拾遺集・藤原道綱母 水馴棹(みなれざを)とらでぞ下す高瀬舟月の光のさすに まか…

船の歌(5/10)

岬(みさき)は、丘・山などの先端部が平地・海・湖などへ突き出したところである。半島や島の最先端部に多い。 樺太丸(旧名:「ヤコバ船」)は、日本海軍(兵部省所管)の運輸船。 紫の葡萄を搬ぶ舟にして夜を風説のごとく発ちゆく 安永蕗子 藪つばきうし…

船の歌(4/10)

洞庭湖は、中華人民共和国湖南省北東部にある淡水湖。かつては中国最大の淡水湖であったが、流入する湘江や揚子江などの堆積物によって縮小した。周辺は瀟湘八景の景勝地。 窗に窗むかひ合ひたる大船の一夜どなりのなつかしげなる 大隈言道 ひさかたの天(あ…

アオバト(続)

ハト目ハト科アオバト属に分類される鳥。本州、四国、九州で繁殖する留鳥。その啼き声が「アーオーアーオー」と聞こえることろから、アオバトと呼ばれるようになったという。森林に生息しているが、塩分やミネラル補給のために春から秋にかけて海岸に現れる…

ブロッコリー

南欧原産のアブラナ科の野菜。花を食用とするキャベツの一種がイタリアで品種改良され現在の姿になったとされる。茎頂にできる緑色の小形の花蕾を食べる。花蕾は多肉質で、ゆで物や炒め物、酢の物にする。なおカリフラワーはブロッコリーの変種。 ブロッコリ…

早春の鎌倉長谷

今年は松の内過ぎてから鎌倉の寺社に出向くことにした。先ずは長谷を訪ねた。極楽寺、成就院、御霊神社、長谷寺、光則寺、収玄寺など定番ルートである。いずこも境内は掃除が行きとどいていて清々しかった。また客足の少ないことが幸いした。暖冬のせいもあ…

船の歌(3/10)

その昔、熊野三山熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社を巡拝する人々は熊野本宮大社に詣でた後、川舟で新宮、那智をめざした。2005年9月、 「川の参詣道」熊野川の川舟下りが復活した。(熊野川川舟センターHPから) 「にほの海」は、鳰の海と書き、…

船の歌(2/10)

難波江(なにわえ)は、上代、大阪市の上町台地の西側まで来ていた海域の古い呼び名である。難波潟とも。歌枕になった。港の難波津があり、浅い海だったので航路を示す澪標(みをつくし)が立てられ、あたり一面に葦(あし)が生い茂っていた。 白波のあとな…

船の歌(1/10)

先ず万葉集に詠われた船の歌をとりあげよう。その中で「志賀の辛粼」は、万葉集・柿本人麿の歌以来、歌枕となったが、奈良時代以前から地名として見られ、滋賀郡に属し、唐崎・韓崎・辛前 などとも書かれた。 ささなみの志賀の辛崎幸(さき)くあれど大宮人の…

岩魚

「いわな」と読む。サケ目 サケ科 イワナ属の魚である。肉食性で、水棲昆虫、河畔樹木から落下する虫、その他の水底の小動物などを食べる。寿命は6年程。イワナ属は、世界で30数種あり、多くがスポーツフィッシングの対象魚になっている。紛らわしい淡水魚に…

牛蒡

「ごぼう」と読む。キク科の野菜。中国原産で古くから栽培されている。細長赤茎には滝の川系、白茎には越前系、短太には大浦系 などの品種がある。特に大浦牛蒡は、成田山新勝寺むけにのみ栽培され、それを新勝寺では信徒の人々に精進料理として出している、…

こけし

江戸時代末期に、東北地方の温泉地で湯治客に土産物として売られるようになった轆轤で作る木製人形である。従って、球形の頭部と円柱の胴だけのシンプルな形が一般的。発生当時の「伝統こけし」の外に、その後全国の観光地で造られるようになった「新型こけ…

富士の笠雲

毎年の年末か年初には神奈川県二宮町の吾妻山に菜の花を見に行く。今年も出かけた。いつものルートのひとつであるが、初めに二宮海岸に寄って相模湾や伊豆半島、箱根山を眺め、山を登って吾妻山神社に詣で、山頂にあがる。例年のように菜の花畑は満開であっ…

風ひかる(続)

2008年1月30日に続いて、俳句、短歌の作品をあげる。陽光が次第に強まってくる春の気配を表す表現。風光ると言っても風自身が光るわけでなく、風に吹かれているものが光るのである。 日の春のちまたは風の光り哉 暁台 覇王樹の影我が影や風光る 飯田蛇笏 山…

ヒトデ(2)

日本近海には、アカヒトデ、イトマキヒトデ、モミジガイ、ヤツデヒトデなどが棲息する。時に大発生して、貝類の養殖に大被害がでる。 この海星の場合 港湾に突き出たるconcreteのうへにて 死せり 森岡貞香 この寒き輪廻転生むらさきの海星に雨のふりそそぎを…

ヒトデ(1)

漢字では、海星、人手などと表記。棘皮動物ヒトデ綱の総称。海の岩礁や泥底にすむ。通常、五本の腕をもち、星形あるいは五角形に放射状に突きだしている。腹面の中央に口があり、各腕の管足により運動する。雌雄異体。卵生で幼生を経て成熟。再生力が強い。 …

ウグイ

漢字では、石斑魚、鯎などと表記する。コイ科の魚。山間部の湖や渓流から内湾まで広くすむ。春の生殖期のうぐいを特に、桜うぐい、花うぐいとも呼ぶ。雑食性。産卵期は、三月から七月。地方名には、アカハラ、クキ、ハヤ(東京)、イダ(中国、四国、九州)…

箱根駅伝復路

正月二日は、桜木町みなと未来のクイーンズ・スクェアに寄って買物。大勢の人達が、福袋を求めたり、食事をしたりで汗をかくほど。帰宅途中の東海道は、箱根駅伝往路の交通規制の影響が出て、のろのろ運転になった。三日は、例年のように箱根駅伝復路を家で…

年末年始

2015年の晦日と2016年の元旦は、晴天で春の陽気になった。例年訪れる新江ノ島水族館も八景島シーパラダイスも気持ち良く過ごせた。正確に言うと、大晦日に新江ノ島水族館と江ノ島、元日に八景島シーパラダイスと山下公園でクルージング を楽しんだ。初めての…

イソギンチャク

磯巾着は腔腸動物花虫綱イソギンチャク目。浅海の岩礁に多く、岩に付いたり、砂中に埋まっている。口の周辺にある多数の触手は、水中で菊の花のように開いていて、刺激を受けると縮んで全体が巾着の形になる。春の季語で、傍題に「いしぼたん」。 るいるいと…

歌の原郷(4)

戦後の多行分ち書き短歌と記号導入短歌について言及しておこう。 前衛歌人の塚本邦雄と岡井隆には、以下のような極端な例がある。 塚本邦雄: 『緑色研究』から 死の核を繞るイリスの三首 (注)三首の文字を図形状に配置した。 愛 の 創めに 呪はるる者 花…