天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2016-04-01から1ヶ月間の記事一覧

横須賀の藤苑

神奈川県の藤の名所の第一は、横須賀菖蒲園にある藤苑であろう。すでに訪ねた小田原城や大船フラワーセンターもあるが、規模の面で見応えがある。苑内には、11品種約250本のフジがある。見ごろは5月上旬まで。このブログで、2014-05-16 「藤を見に行く(1)…

朝日を詠う(4/4)

山崎方代は、1972年7月から神奈川県鎌倉市手広の鎌倉飯店店主宅の一角に住んだ。1974年には「めし」15首が『短歌』(1974年(昭和49年)9月)に掲載された。 ゆえしらぬ涙は下る朝の日が茶碗の中のめしを照せる 山崎方代 朝光の差し入る部屋にあらはるるみな…

朝日を詠う(3/4)

「美は細部にやどる」というが、絵画でも和歌・短歌でも同様である。一点の具体を描くことが肝心である。正岡子規の歌は、明治三十三年作で、「曇」の題詠四首のうちにある。会津八一は万葉調の平がな書きによる荘重かつ芳醇な歌風で奈良古寺古仏を詠み、高…

朝日を詠う(2/4)

あさづくひは、朝方の日で朝日に同じ。朝日子は、朝日に親しみの意を表す接尾語「こ」を付けた言葉。以下の歌には、春、夏、秋それぞれの朝日が入っている。 一首目の為兼の歌は、京極派和歌の独壇場とされる迫真の自然詠の一つで、明暗の対比、光線、そして…

朝日を詠う(1/4)

朝日とは、朝、東から昇る太陽。旭は常用漢字ではない。朝日影とは、朝日の光のことであり、要注意。万葉集の二首は、草壁皇子の死を悼んで舎人たちが詠んだ二十三首の晩歌のうちにある。「佐太の岡辺」は草壁皇子の墓がある真弓の丘のこと。 朝日照る佐太の…

小田原城「御感の藤」

桜の花の次は海棠の花と見ているうちに藤の花房が目立ち始めた。年の為に大船フラワーセンターに行って藤棚の様子を確認したら、満開に近い種類もあったが、野田藤はこれからという咲き始め。雨もよいの日の後に晴天の日がきたので、じっとしておられず小田…

ジンジャー

インド原産のショウガ科の宿根草。安政三年以前に渡来したという。花壇に植えられ切花にされる。右の画像は、トーチジンジャーと呼ばれるもので、インドネシアからマレーシアあたりの熱帯アジアを原産とするショウガ科エトリンゲラ属の多年草植物。 蟻などの…

ヤンバルクイナ

クイナ科の鳥。沖縄本島北部の丘陵地帯に棲む。1981年に新種として発表された。特別天然記念物に指定された。照葉樹の原生林内や沢沿いの藪の中を歩いたり走ったりする。飛ぶ力はほとんど無い。 相見たることのなけれど恋ほしもよ飛べざる鳥の ヤンバルクイナ…

山猫

食肉目ネコ科。森林に単独で棲み、ウサギ、ネズミ、鳥などを捕食する。日本では、対馬にツシマヤマネコ、西表島にイリオモテヤマネコが棲息する。世界的にみて広く分布するのが、ベンガルヤマネコである。 無声なるベンガルヤマネコ背すじから尻へかけての …

歌仙に惹かれる

尾形仂『歌仙の世界』を持ち歩いて途切れがちに読んでいるが、たくみな文章に感心する。それに刺激されてわが作品も以下のように俳諧の付合せ風になってしまう。 エアコンに寒さ忘るる書斎かな 三寒四温の天気予報図 花冷や月に一度の医者通ひ 首をすくめて…

四月の「短歌人」東京歌会

このブログでは、最近は歌会のことをご紹介していないが、今回は先日開催されたの本件のことを書いてみたい。それは顧問・編集委員の人たちの詠草が多く出たからである。引用の便宜上、ABCなどの符号を付けておく。 A 遺伝子の壊れてとべぬ蝶を見す映画…

時計(6)

時計屋さんの店先を通るたびに、夜中になると数多くの時計が一斉に時を告げて鳴るはずだが、店の家族は、どこに寝ているのだろうと心配になることがある。時計屋さんに入って時計を物色している時に、一斉に時を告げる事態に遭遇したことがないので、未だに…

時計(5)

時計の秒針の音や時刻を告げる音は、住み易さ・生活の心地良さを支配すると言っても過言ではない。枕許に置く目覚まし時計では、秒針の音が気になると寝つきが悪くなる。また、夜中に突然、鳩時計が時を告げるとびっくりする。 秒針の赤き時計を欲しといふ少…

時計(4)

2013年11月14 日 時計(3) の続きである。時計は時を告げる器具なので、人生を直に感じさせるものであるらしい。勤めている世代にとっての時計は、必須アイテムであるが、退職後は、曜日さえ気にならなくなり、時計はテレビ番組のためにある、といった状況…

雷鳥

ライチョウ科の鳥で特別天然記念物。世界の極北部に広く分布するが、日本が繁殖地の南限。本州中部の高山帯に留鳥として棲む。昼間は主にハイマツの藪に潜み、朝夕や霧の深い時に草原に出て来る。ちなみに大阪〜富山に運転された「雷鳥」という電車があった…

花狂い(6)

桜の花が散ると海棠の花が咲く。というわけでまた鎌倉にやってきた。段葛の新しい桜並木はみごとに若葉の並木に変っていた。鎌倉の海棠は、妙本寺、海蔵寺、光則寺の三カ所が有名。今回は、妙本寺、海蔵寺に行くことにした。妙本寺の横並びには、常栄寺、八…

アマゾン

アマゾン川はブラジルと周辺国の熱帯雨林を流れ、大西洋に注ぐ世界最大の河川である。その支流の数は1000以上になるという。この全体をアマゾン川と呼ぶ。ところがその標高は、河口から 1,600 km 遡っても 32m 、3,800 km 遡っても80 m しかない。つまり広大…

利休梅(りきゅうばい)

中国原産のバラ科の落葉低木。庭木や切花・茶花用に植えられる。楕円形の葉は薄く互生する。五、六月に新しい枝の先に白色五弁花を総状に開く。日本に入ってきたのは、明治時代末。なのに利休という名前がついているのは、茶道の茶花として利用されることが…

花狂い(5)

神奈川県下の桜の名所をネットで調べたら、今までに行ったことのない場所として横浜市南区の大岡川プロムナードがあった。晴れの日を選んでさっそく出かけた。市営地下鉄ブルーラインで蒔田駅に行き、そこから川沿いに弘明寺まで満開の桜を見ながら歩いた。…

海峡

海峡は、陸地に挟まれた狭い幅の水路となって、二つの海域をつなぐ海。水道。瀬戸のこと。定期的な船舶の航行がある。必ずしも海に限ったものではなく、湖の場合もある。海峡は陸上生物の分布の境界となることが多い。わが国では、間宮海峡、津軽海峡、明石…

津軽

NHKテレビ「新日本風土記」を見た。津軽とは、現在の青森県西部を指して言う地域である。この地名は、『日本書紀』の斉明天皇の項から登場し、蝦夷の居住地が「津苅」「東日流」「津刈」「都加留」などと記されている。日本海側気候で、冬に雪が多い。特に山…

土偶

東京国立博物館のブログ(注を参照)の説明を引用しよう。土偶とは人形をした土製の焼き物で,女性を誇張,あるいはデフォルメした像が多い。縄文時代の早期に出現し,頭部の表現を欠き,かろうじて人形と判断できる板状の扁平なものから,中期頃に立像へと…

ホッケ

アイナメ科の魚。北海道、東北地方に多く分布する。他の魚と違い、うきぶくろがない。餌をとらない時は、海底に沈んでいる。海面近くのプランクトンを獲る際には、大群で一斉に上方に泳ぐので、海面から海中に渦が発生し、プランクトンが流れ込む。ホッケは…

花狂い(4)

鎌倉・壽福寺裏の山道から入って源氏山の桜を目指した。驚いたことに外国人の一団がスマホ頼りに源氏山に向っていた。壽福寺の裏で山道の方向を英語で教えてあげた。雨もよいの曇り空だったので、近くで見上げる桜はあまり見栄えがしなかった。むしろ離れた…

シーラカンス

BS朝日テレビ「地球紀行」で、コモドドラゴンとシーラカンスの映像を見た。特にシーラカンスに興味を持った。シーラカンスには8つのひれがあり、第2背びれ、胸びれ、腹びれ、しりびれには、鱗でおおわれた筋肉質の基部がある。浮き袋には空気ではなく脂肪が…

公魚(わかさぎ)

キュウリウオ科の淡水魚。北日本の湖(汽水域、淡水域)にすむ小魚。現在は人工授精卵の移植により、多くの湖沼、人工湖に殖えている。冬季に氷結した湖水での穴釣りが有名。レジャーとしても盛んで、釣った場所で天麩羅にして食べたりする。 公魚とほかの小…

花狂い(3)

毛手鎌倉若宮大路の段葛が改修を終えて三月三十日に通り初めがあった。新聞で見てさっそく出かけた。桜並木が若木に植え替えられ満開になっているのに感動した。背丈がすべてそろっているので、改修工事に合せてどこかで育成されていたのだろう。灯籠も形も…

花狂い(2)

よく確かめもしないで人づてに聞いただけで小田原城の桜を見に行った。天気予報では、晴れのはずだが、曇ってしまった。天守閣の下辺、本丸の反対側の遊園地あたりの桜は、咲き始めていて、遠くからは紅の雲のように見えた。シーツを敷いて三分咲きの桜の木…

泡(3/3)

近年、産業界で注目されている泡に「ウルトラファインバブル」がある。これは気泡径が、数十ナノメートルの泡で、光の波長よりも小さくなるため目では確認することができなくなり、液体は透明に見える。他の重要な特性として、気泡が極めて長期間液中に存在…

花狂い(1)

いよいよ花狂いの季節が始まった。開花宣言はされたもののなかなか咲き拡がるのが遅いので、いつ見に出かけるか、判断に迷う。手始めに北鎌倉を訪ねて、明月院、建長寺、浄智寺、東慶寺と歩いて見た。外国人の観光客が目立った。昼頃、外国人女性がひとり、…