天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

夕陽のうた(5/10)

佐藤佐太郎は終生、斎藤茂吉を師と仰ぎ、岩波書店に二十年間勤めた。全国に多くの歌碑が残されている。「夕光(ゆふかげ)のなかに」の歌は、京都二条城の桜を詠んだものだが、歌碑は千葉県市原市ちはら台にある(平成23年12月3日に除幕)。 残照の海をそがい…

五月の江ノ島

江ノ島の裏磯に行くのに、いつもは辺津宮、中津宮、奥津宮と歩いて崖の階段を下りるのだが、今回は境川の河口から「べんてん丸」(片道400円)に乗った。わずか5分ばかりで着いた。裏磯の岩盤に座ってさびき釣りを見ていた。釣り人たちの会話から、鯖がかか…

夕陽のうた(4/10)

春日井建さんは、わが短歌初心の頃、産経歌壇でお世話になった歌人である。何度も特選にとってもらい、彼の歌に心酔した時期であった。彼が歌集『未青年』を刊行した時、三島由紀夫が「現代の定家」として高く評価した。以下の「火の剣」の歌は、青春に死の…

伊豆・湯ヶ島

修善寺には今まで何度か来たが、湯ヶ島温泉には泊ったことが無かったので、今回一泊することにして、白壁荘を予約した。この辺りには文豪たちが利用した宿が多いらしい。湯ヶ島は井上靖の故郷であるし、湯本館には川端康成が滞在して、『伊豆の踊子』を執筆…

伊豆・虹の郷

藤や石楠花の時期が過ぎ、紫陽花やあやめの季節にはまだ早い五月の中旬、どこか見どころはないかと探して、修善寺虹の郷に行ってみることにした。現在は東京ディズニーランドとほぼ同じ広さのテーマパークになっているが、その前身は、大正13年に町制施行記…

イチロー大活躍(続)

5月24日、再び信じられない光景を見た。22日のナショナルズ戦で五打席四安打したイチローが、今度はタンパベイ・レイズとの二試合目で五打席四安打の成績をあげたのである。この試合はマーリンズが7対6の接戦を制した。アメリカ・メディアのイチローにそそ…

夕陽のうた(3/10)

吉井勇は、耽美派の歌人・劇作家で、読者によっては嫌う向きもあろう。女性遍歴や芸者遊びが反発を買う。 木下利玄は、明治39年東京帝国大学文科に入学。東大在学中は佐佐木信綱に師事し短歌を学んだ。その後、窪田空穂や島木赤彦らに影響を受け、平易で写実…

夕陽のうた(2/10)

田安宗武は、八代将軍徳川吉宗の次男、松平定信の父。徳川御三卿田安家の祖。少年期より和歌に親しみ、荷田在満(かだのありまろ)に古学・歌道を学ぶ。次の歌は、かれが少年期に詠んだもの。 与謝野晶子の歌では、後年、彼女は五句目 「夕日の岡に」 を 「岡…

イチロー大活躍

日本時間の5月22日(日曜日)午前8時10分からNHK-BSで放映されたMLBのナショナルズ対マーリンズの試合は、今後いつまでも語り継がれるものとなるであろう。イチローはヤンキース時代も今年のマーリンズでも先発出場は少なく、代打が目立った。…

夕陽のうた(1/10)

夕づく日、夕かげ、落日、落陽、夕映え、残照、とどまらぬ日、落暉なども同様にとり上げる。落暉の「暉」は日の光を意味する。 源経信は、当時の文学芸術のすべてに達したと言はれた。殊に琵琶では、桂の一流を開いた人であつた。「夕日さす・・・」の歌につ…

赤翡翠(あかしょうびん)

カワセミ科の鳥。北海道、本州に五月ころ渡ってきて、八月ころ南に帰る夏鳥。深い森林の渓流近くで繁殖し、巣を枯木の穴などに作る。昆虫、蛙、小魚などを捕食する。雨の日には日中も鳴くため、雨乞鳥、水恋(乞)鳥とも呼ばれる。なお、漢字の「翡翠」は本…

三光鳥

いかる、斑鳩(いかるが)とも呼ぶアトリ科の鳥。北海道と本州の丘陵地から山地の広葉樹林に生息。昆虫や木の実などを食べ、身は果肉をむき、殻や種子を嘴で割り核を食べる。鳴き声が「つき、ひ、ほし」と聞こえるということから三光鳥の名前が付いた。 三光鳥…

瑠璃(るり)

ヒタキ科の鳥。大瑠璃、小瑠璃、瑠璃鶲などがいる。大瑠璃、小瑠璃はわが国には夏鳥として渡ってくる。瑠璃鶲は国内で季節移動する漂鳥。大瑠璃は渓流に沿った林に棲み、岩の割れ目に巣を作る。鶯、駒鳥とともに日本の三鳴鳥とされる。小瑠璃は本州中部以北…

ライラック

ヨーロッパ原産のモクセイ科の落葉低木で、リラ、ムラサキハシドイとも言う。高さは3mから6mにもなりよく分枝し、卵形の葉をつける。寒い地方に適している。庭木や切花にして観賞する。ヨーロッパでは街路樹として植えられている。日本では主に北海道で…

新緑の吾妻山

神奈川県二宮町の吾妻山(標高136.2m)は躑躅の名所のはずだが、今まで一度も豪華な情景をみたことが無い。今回も花の時期を過ぎて新緑だけが目立った。登山口には、中里口、役場口、梅沢口の三カ所があるが、今回は中里口から登り、役場口から下りた。道沿…

笠子(かさご)

カサゴ科の魚で、北海道以南の沿岸の岩場に棲む。卵胎生で冬から春に出産する。深いところに棲息するものほど赤味が強いらしい。鰭の棘はつよく鋭いので、掴む時には要注意。 皮膚病に罹って瘡ができたように見えるところから、「かさご」(漢字では瘡魚とも…

板屋楓(いたやかえで)

カエデ科の落葉高木。板で屋根をふいたように葉がよく茂り、雨がもれないことからこの名がついたという。高さは20メートル位。葉は浅く掌状に裂け、秋には黄褐色になって散る。花は淡黄色で四、五月に咲く。実は二個の羽をもち十月に成熟する。 朝霧の斜面半…

羚(かもしか)

羚羊とも書く。偶蹄目ウシ科。本州、九州、四国の特産で特別天然記念物、禁漁指定。アフリカの草原や砂漠に群生するレイヨウを俗にカモシカと呼んでいるが別種である。体長は1.1メートルほど。角は短く雌雄とも枝がない。敵に追われると断崖に逃げて難を避け…

萩原朔太郎―特別展

先日、短歌人・東京歌会の研究会で、かわすみさとるさんから「萩原朔太郎の短歌(明星とアララギ)」について話を聞いた。興味があったのは、朔太郎は短歌から出発し詩へ向かったこと、短歌には全く個性を発揮できず詩との間に大きなギャップがあること であ…

桐の花(続2)

キリは鳳凰の止まる木として神聖視され、日本でも平安時代の頃から天皇の衣類の刺繍や染め抜きに用いられた。「菊花紋章」に次ぐ高貴な紋章であった。天下人たる武家が望んだ家紋であり、豊臣秀吉は天皇から「五七桐」を賜った。俳句で、桐の花は夏の季語。 …

桐の花(続1)

2010年5月5日の続きである。和名の桐の由来には諸説あり、キリは切ってもすぐに芽をだして成長するため「切る(きる)」が転訛したともいわれる。桐の原産地は中国であり、神話の伝説の霊鳥である鳳凰はキリの木にだけ止まるとされた。このあたりに花言葉が…

凧揚げ(2/2)

凧の呼称は地域によって異なり、関東ではタコ、関西ではイカ、中国地方ではタツ、またはフウリュウ、九州の唐津ではタコ、長崎ではハタなどと呼ばれていた。ちなみに、韓国では「ヨン」、中国では「フンジュン」、マレーシアでは「ワウ」とそれぞれ呼ばれて…

凧揚げ(1/2)

今年の五月三日もわが住む東俣野町の境川縁で大凧が揚げられていた。(参考:本ブログの2009-05-11「大凧の空」) 凧の起源は中国にあり、紀元前4世紀に魯班や墨翟が軍事用に作ったとされる。日本では、平安時代中期(938年成立)の『和名類聚抄』には凧に関…

ナマケモノ

哺乳綱異節上目有毛目ナマケモノ亜目 の総称。ミユビナマケモノ科とフタユビナマケモノ科が現生し、南アメリカ、中央アメリカの熱帯林に生息する。生涯のほとんどを樹にぶら下がって過ごす。食事や睡眠から交尾、出産までも樹にぶら下がったままで行う。主食…

里山吟行

五月一日に珍しく短歌人「青の会」で、里山に吟行に出かけた。月例の歌会を里山(横浜市舞岡公園)に場所を移して開催したのである。題詠と自由詠があり、自由詠のところに吟行で詠んだ作品を当てた。出席者は12名。 この吟行詠を、欠席した会員の数人にお見…

踊子草

シソ科の多年草。高さ30〜60センチ。花期は4〜6月で、葉腋に白色、淡黄色の大形の唇様の花をつける。その様子が、笠をかぶった踊り子達が並んだ姿に似ている。日本全土、朝鮮半島、中国の野山や野原に分布する。夏の季語。傍題に「踊草」「踊花」 踊花金毘羅…

ケリ

チドリ科の鳥。東北地方では冬は暖地に移動するが、近畿地方では留鳥。全長36センチほど。頭は灰色、背は灰褐色、腹は白色、胸と翅咲きは黒。飛ぶと白、灰、黒の三色が目立つ。草地や耕地に棲み、昆虫などを食べる。漢字では「鳧」と表記。 麓田の冬田に住み…

夜鷹

ヨタカ科の鳥。夏鳥として渡来、北海道、本州、四国の低地から山地の林で繁殖する。全長29センチ程度。巣は作らず、卵は草地に二個産む。夕方から夜間にかけて飛びまわり昆虫を捕食する。 夜の庭の木斛の木に啼くよだか闇深くして私見えず 前 登志夫

くろつぐみ

スズメ目ツグミ科に分類される鳥。東アジアに分布。夏鳥として九州以北に渡ってきて、丘陵地から低地の林に棲む。雄は腹以外は真っ黒。嘴は黄色。雌は褐色。地上を跳ね歩きミミズなどを捕らえる。日本で記録されたツグミ属の中では、最も小さい種類の一つ。…

つぐみ(続)

2012年2月4日のブログの続きである。説明部は繰り返しになるが、ヒタキ科の渡り鳥。秋に大群をなしてシベリヤから日本へ来て、平野部の林や耕地に群棲する。背、足、嘴は暗褐色、腹は白色。翼長は13センチほど。木の実や昆虫を食べる。漢字表記は「鶫」。俳…