天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

2017-06-01から1ヶ月間の記事一覧

紫陽花の明月院

鎌倉には紫陽花の名所がいくつかあるが、明月院はその代表格である。創建時は明月庵と称し、最明寺及びその後身の禅興寺の支院であった。禅興寺は明治初年に廃寺となり、明月院のみが残った。現在は臨済宗建長寺派の寺院で山号は福源山。 明月院の紫陽花の由…

吊り橋

橋の構造が、綱などの張力で部材を吊り下げ支える形式のもの。昔から峡谷に懸けたものが知られており、日本全国にある絶景としてwebなどで写真を容易に見ることができる。現代では明石海峡大橋が世界最大の吊り橋となっている。 ひぐらしのかそかに鳴ける峡…

銀龍草

樹林の落葉の中にはえるイチヤクソウ科の腐生植物。ユウレイソウとも呼ばれ、漢名は水晶蘭。 純白の茎は一株より数本出て直立し、高さ10センチ程度。肉質となり葉は退化して鱗状。五月から七月にかけて白い筒状鐘形の花を茎頂に一つ下向きに開く。 腐生植物…

アンモナイト

古生代デボン紀から中世代に海中で栄えた軟体動物頭足類の一群。渦巻の直径の大きいものでは2mを越えるものもある。日本でも多く出ている。ニッポニテス(中生代白亜紀末に日本列島・カムチャツカ半島などの沖の浅海に生息していたアンモナイト)は、渦巻…

大磯八景

宮代謙吉(旅籠「百足屋」主人)が1895(明治28)年に大磯町長就任後、観光行政に尽力し、大磯の景勝地を選んで斎藤松州画伯に依頼して絵はがきとして出版したのが起こりという。また1937(昭和12)年に大磯小学校第二代校長朝倉敬之が八景を詠…

水牛

偶蹄目ウシ科。インド水牛、アフリカ水牛など。インド水牛は家畜として運搬や水田耕作に使役されるが、野生種がインドの一部の水辺に群生する。アフリカ水牛はサハラ以南に分布する。 沖縄の本島、離島には、水牛車に乗って森林浴を楽しむ島内観光がある。竹…

草魚

鯉科の魚で、大きくなると優に1mを越える。鯉と違って口髭がなく背鰭のつけ根が短い。背面が灰褐色で腹面が銀白色。葦やマコモなどの葉や茎を食す。アジア大陸東部の河川や湖沼が原産。日本では利根川に繁殖している。これは食糧難の解決のため昭和18年と…

時計草

ブラジル原産のトケイソウ科の多年草。つる草。わが国には、1723年に渡来したらしい。この和名の由来は、3つに分裂した雌しべが時計の長針、短針、秒針のように見える花を咲かせるところにある。世界中で観賞用に様々な栽培品種がつくられているが、ハー…

栗鼠(続)

(2009年1月23日の補足。) 齧葉目リス科の哺乳類の総称。日本には従来、ホンドリス、エジリス、エゾシマリス、ムササビ、エゾモモンガ、ニホンモノンガなどが棲息するが、近年は台湾から移入された台湾栗鼠が野生化、特に都会に近い里山で増殖して日本の固…

小田原城あじさい花菖蒲まつり

バス車内で見かけた広報紙が気になって小田原城に出かけてみた。開催期間は6月3日(土)〜18日(日)であるが、雨の降らない日を選んだ。小田原城天守閣は、耐震性を高めるための大改修が、平成27年7月から平成28年4月にかけて行われた。外観も新装になって…

吾輩には戒名も無い(8/8)

インコはインコ科に属する約三三0種類の鳥の総称。中でもオーストラリア原産の小型のセキセイインコが家庭でよく飼われる。九官鳥と同様、教えることによって人語をしゃべるようになるので人気がある。ただペットのインコが逃げ出して野生化し、公園などに…

吾輩には戒名も無い(7/8)

小鳥との別れ 家庭で飼うことの多い代表的な小鳥に、文鳥、インコ、カナリヤなどがいる。文鳥はインドネシアの固有種で、日本には江戸時代初期から輸入されていたとされる。雛から育てると人に慣れ、手に乗り移ってくる。これを手乗り文鳥という。文鳥との別…

吾輩には戒名も無い(6/8)

他の歌人の作品についても見ておこう。 枯れ葉の中へ さすらいの境涯を埋め 寒々と死んでいった猫 井伊文子『鷺ゆく空』 上句はかっこいいようだが、下句は野良猫としてのみじめな死に様。 たれも知らぬ小函のなかの猫の骨テーブルの隅はサンクチュアリ 北沢…

吾輩には戒名も無い(5/8)

酒井佑子にも猫の歌が多い。『地上』に四首、『流連』に九首、『矩形の空』に四二首といった具合である。飼い猫の死や思い出を詠んだ例を以下に五首とりあげる。 名は海(かい)と言ひにけり真夏海のべに拾ひし猫はきのふ死にける 『流連』 海辺で拾った猫だか…

吾輩には戒名も無い(4/8)

猫をよく詠んだ現代歌人に、小池光がいる。『草の庭』に一五首、『静物』に一三首、『滴滴集』に三八首、『時のめぐりに』に二一首、『山鳩集』に二二首 など。そして愛猫との死別については、「短歌人」二0一四年一一月号「日々鈔(猫の死)」に次の八首が…

吾輩には戒名も無い(3/8)

自分が死ぬ時に犬の事を詠った歌人がいた。島木赤彦である。斎藤茂吉『島木赤彦臨終記』に次のように出て来る。 「その時、赤彦君のうしろに猫がうづくまつて咽(のど)を鳴らしてゐた。これは赤彦君がいつも猫を可哀がるので傍(そば)に来てゐるのであつた。皆…

吾輩には戒名も無い(2/8)

犬や猫の死を丁寧に扱った文人として、夏目漱石がいる。『吾輩は猫である』のモデルになった猫が死んだ際には、死亡通知を友人たちに送った。墓標の表には「猫の墓」、裏には次の一句が書いてある。 此下に稲妻起る宵あらん 松根東洋城から電報で、この名前…

吾輩には戒名も無い(1/8)

愛玩動物と言いペットと言い、所詮われわれ人間のエゴで飼い慣らしているものだが、捨てられた猫や持ち込まれた仔犬を引き取り、共に暮していると愛情が深くなる。別れる時には悲しく寂しい。死んだ際には、火葬し墓を立ててやることも珍しくない。 ここでは…

イネ科タケ属で小形植物の総称。各地に分布し、種類には熊笹、ちまき笹、千島笹、オカメ笹など多種類がある。以下の作品では、宮 柊二の歌だけが叙景になのだが、イメージが最も鮮明になっている。 小笹(ささ)の葉はみ山もさやにさやげども我は妹思ふ 別れ来…

ナイフ

古くからナイフは狩猟の道具、戦の道具、調理の道具また様々な制作の道具のために用いられ てきた。その素材は時代とともに変化し、より加工し易く、より硬質で磨耗しにくい物に移り変 わり、その加工技術は様々である。 ナイフを見てあるいは手にとって感じ…

河原鶸(ひわ)

アトリ科の鳥。小河原鶸は留鳥で、体が緑褐色、尾と翼の一部が黄色。大河原鶸と樺太河原鶸は冬に本州に渡来する。草木の種や昆虫を食べる。 ついでにヒワ(鶸)について。日本には河原ヒワ、真ヒワ、紅ヒワの三種がいる。 向日葵の果をくひに来る小河原鶸の…

棕櫚(しゅろ)

中国原産で、ヤシ科シュロ属の常緑高木の総称で、5種以上もある。日本原産をワジュロ、中国原産をトウジュロという。雌雄異株だが、まれに雌雄同株も存在する。雌株は5 - 6月に葉の間から花枝を伸ばし、粒状の黄色い花を密につける。実は11 - 12月に黒く熟す…

エニシダ

エニシダは江戸時代(1670年頃)に中国を経由して渡来した地中海地方原産の落葉低木。高さ数mになり、枝はほうき状に分かれて先端は垂れ下がる。4月から5月にかけ、黄色い花をつける。漢字で、金雀枝あるいは金雀児と表記する。 金雀枝や基督に抱かると思…

カーネーション

ナデシコ科ナデシコ属の多年草で、原産地は南ヨーロッパおよび西アジアの地中海沿岸といわれている。別名オランダナデシコ、ジャコウナデシコ、オランダセキチクなどとも。日本には江戸時代にオランダからもたらされた。品種改良により花の色はさまざまであ…

俳句の型の見分け方

(2017年2月2日から6日まで連載した「俳句―取合せ論」の補足です。) 俳句には切れが必須だが、それによって二つの型(一物仕立と取合せ)ができる。それぞれの見分け方は、単純なようで奥深い。具体的には長谷川櫂『一億人の「切れ」入門』(角川学芸出版)…

天空のうた(15)

以下にあげた作品は、いずれも特異な視点で詠まれている。日常の風景も視点を考えることで 謎をまとって奥深くなることを示しているようだ。それにしても寺山修司の前衛短歌は難解である。共感できないし、独りよがりじゃないか、との反発もでそう。 たれか…

天空のうた(14)

以下のように並べて読み比べると、斎藤茂吉の歌の内容が際立つ。どんより曇った空など見たくもない、という気持なのだろうが、下句が少し大袈裟で思わず笑ってしまう。こうした詠み方があることを教えられる。柴生田稔の歌は不気味だが、戦争で日本の制空権…

天空のうた(13)

一首目は、藤原頼通から梅の花を贈って来たのに対する返礼の歌。うれしくて気持が浮ついてきた、と詠む。これに対して頼通は「そらならばたづね来なまし梅の花まだ身にしまぬ匂ひとぞ見る」と返歌した。ちなみに大弐三位の母は紫式部。 いとどしく春のこころ…

天空のうた(12)

三首目の「玉鉾の」は、[枕]「道」「里」にかかる枕詞。慈円の歌は、「夏衣かたへ涼しく」とか「夜や更けぬらむ」とか、少々理屈っぽい。「ゆきあひの空」とは、夏と秋とが入れ換わる空のこと。 やまふかみ猶かげさむし春の月そらかきくもり雪は降りつつ …

天空のうた(11)

慈円の歌は、いかにも僧侶らしい感懐である。二条太皇大后宮・肥後の歌は、「柴をりをりに立つけぶり」が窮屈な表現になっているが、柴を折々に折って火を炊いて煙が立つ情景を詠んでいる。最後の良経の歌は、都の山の上に出た有明の月を見て、昔、ふたりで…