天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

冬薔薇

氷川丸とかもめ

 今日はクリスマスイブの日。横浜元町や桜木町あたりはどうであろうか、とたわいもない理由をつけて石川町から元町、港の見える丘公園山下公園、赤レンガ倉庫、桜木町へと、ジャンパーの襟をたてて歩いた。


       いちやう散る汐汲坂の朝日かな
       いちやう散って空あらはなりエリスマン邸
       霜柱丘に眠れる異邦人
       冬薔薇もういいかいの声遠く
       よこはまや霧笛ひびかふクリスマス
       年逝くやマリンタワーの展望台
       年の瀬や大桟橋に外国船
       水を掻く足のあかさや都鳥
       年の瀬の汽車道馬車道人の列


   年の瀬の風にふかるる白き薔薇建築現場の音たちのぼる
   まなかひにベイブリッジあり気のせゐかかすかに揺るる
   マリンタワー


   年の瀬の風寒ければ気のせゐかマリンタワー
   はつかゆれたり


   時くれば首ふりはじむおもちゃ館機械じかけの戦前戦後
   うすぐらき機械仕掛けのおもちゃ館照明あびて馬はしりだす
   おほかたは木製なれど時くれば踊りだすなりおもちゃの土人
   氷川丸つなぎとめたる鋼索に朱き足並(な)めかもめつらなる
   人多きスケートリンクにたちつくす赤きレンガの倉庫の広場
   セピア色写真をみれば館内に海外移住すすむる声す
   海外に移り住む人おほかりきわが係累広島県