天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

月見草

オオマツヨイグサ

 待宵草ともいう。アカバナ科の二年草でメキシコ原産。日本には嘉永年間(1848〜54)に渡来したという。宵を待って白い花を開き、翌朝にはしぼんで紅変する。現在ではあまり見られないらしい。明治初年に日本に入ってきて山野に帰化したオオマツヨイグサツキミソウと呼ぶようになったので、紛らわしい。以下の作品の中で、本当の月見草はどれであろうか?


      乳色の空気の中の月見草     高浜虚子
      月見草ランプのごとし夜明け前  川端茅舎
      月見草黒部の水をやさしくす   宇咲冬男
      
  青草のなかにまじりて月見草ひともと咲くをあはれみて摘む
                      若山牧水

  待てど暮せど来ぬ人を待宵草のやるせなさ 竹久夢二
  富士には月見草がよく似合ふ       太宰治