天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

藤沢新林公園にて

 ガンカモ科に属する。鴨の俳句といえば、次の芭蕉の句に優るものはないと思う。

    海くれて鴨のこゑほのかに白し  芭蕉
    寄り寄りに水輪つくりて月の鴨  亜浪
    鴨群るるさみしき鴨をまた加へ  林火



 万葉集にはたくさん詠まれている(27首)。「まかも」「みかも」「をかも」「あしかも」などの呼び方もある。

  葦辺行く鴨の羽がひに霜降りて寒き夕べは大和し思ほゆ
                     万葉集志貴皇子
  ももづたふ磐余の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ
                     万葉集大津皇子
  有明の海のにごりに鴨あまたうかべり、船は島原へ入る
                         若山牧水


 都市の公園の池や小川には、北へ帰ることを忘れてしまった鴨をよく見かける。


  水草を食みて泳げる池の鴨我との間をつかず離れず
  池に棲み上目使ひに人を見る北に帰るを忘れし鴨は