天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

秋彼岸

寒川神社にて

 秋の彼岸になると由緒ある神社では、流鏑馬神事が催される。鶴ヶ丘八幡宮では、16日に、寒川神社では19日に開催された。寒川神社の馬場は参道と並行している。観客に見せるような場所はなく、報道陣用の狭いスペースがあるだけ。神に奉納する行事という建前が守られているのだろう。鶴ヶ丘八幡宮のものは、観客であふれており、解説までついて見世物になっている。流鏑馬は何度か見ているので、今更何時間も我慢して待つ元気はない。今回は、寒川神社の準備状況のみを、午前中に見てきた。


      働くをやめて魚釣る川の秋
      魚釣れば川の中州に鵙が啼く
      流鏑馬の馬あゆまする馬場の秋
      例祭の号砲に翔つ稲雀
      石榴垂る人間魚雷の残骸に
   

  一日の時間をいかに過ごすべき晴れれば川に釣糸を垂る
  相模川にごれる水に糸垂れて鯉のかかるを待ちにけるかも
  鳥たちの声かしましき中州にも出水の後のごみかかりたり
  相模川白くにごれる水の面をうつむき下る一羽水鳥
  なまぬるき風に吹かれて相模川新幹線のすぐる音聞く
  あきらめて竿収めけり溜めおきしバケツの水を川に戻して
  大いなる釣具かつぎて引き上ぐる釣果なくとも時のすぐれば
  もてあます時間はあれど仕事なき余生思へば鵙猛り啼く