天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

歳末の街川

アオサギ(境川河畔)

 今年の師走は、例年になく暖かい。薄気味悪いくらいだ。近年の街川は汚れがなく魚も多く棲んでいる。小魚を狙って鷺の類が川中や川縁に立っている。アオサギのような大型の鳥はどこに棲んでいるのか、見かけるたびに気になる。


      烏瓜テニスコートの金網に
      佇めば笹子鳴きやむ藪の中    
      ひよ鳴くや姫と判官語り継ぎ


  川上に水面飛びゆくあを鷺の朝日に照れる羽ばたき雄々し
  近づけば警戒の声発したり雄鴨のあとに雌鴨従ふ      
  川中の鯉にも声はとどくらし鵙の鋭声に突如向き変ふ     
  境川下水処理場排水の泡の下なる泥鯉の群
  街川の流れに浮ぶ鴨さへもつがひなしたり安けかるらむ
  街川の水沫の下に棲む鯉の生き様さみし群れて泳げる
  水底に光はさせり藻を食みて身をひるがへす鯔のきらめき
  朝の日に南天の実のかがやける照手姫之墓 ひよどりの声