天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

木瓜(ぼけ)の花

木瓜(黒光)の花:長谷寺

 中国原産バラ科の落葉低木。わが国には江戸中期に渡来したという。普通は、四月頃に花が咲き、俳句では春の季語になっている。「緋木瓜」「白木瓜」「更紗木瓜」などがあり、実は薬用になる。早咲き、四季咲きもあるが、寒中に咲くものを特に寒木瓜と呼び、これは冬の季語。


      落日のふと寒木瓜の朱を点ず   加藤楸邨
      大津絵の筆のつづきに寒の木瓜  伊藤敬子


  妻亡くて十三日目と数へみる塵芥捨つる庭木瓜赤ければ
                      田谷 鋭
  堕天使の歩む背後に言い知れぬ幸いとして赤き木瓜咲く
                      花山多佳子