天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花粉症

アズマイチゲ(丸太の森で)

 こうなれば逆療法とばかりに、花粉症の身を大雄山・最乗寺の杉木立に運んだ。丸太の森公園に行ってかたくりの花が咲いたかどうか確かめたかった。だが、期待ははずれた。影も形もない。この時期は、ほとんど見るべき草花がないのだ。数本の梅や桜が咲いていたが、寂しいかぎり。唯一、アズマイチゲの花の一群を見つけたのが幸運であった。


      杉花粉大雄山に笹子鳴く

      
  ボロ市と黒く書きたり遊行寺の坂にはためく赤き幟は
  子ら去りしターザンロープの着地点ペットボトルの殻
  ひとつあり


  一陣の風にちりくる杉の実の下草うつは雨のごとしも
  日の色を花のま中に集めたるアズマイチゲは一群に咲く
  ほしいままに枝葉伸ばせる樅の木の大樹を見るは
  うれしかりけり


  せせらぎの小経に蛙鳴き交はす岩陰にして底ごもる声
  雨ふれば鉄砲水に抉らるる川底にして大岩小岩
  杉花粉ふりくるらしもしんしんと目頭かゆき大杉木立