天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

湘南平

湘南平の桜

 日本平、松本平、八幡平など地名の下につけて、「だいら」とか「たい」と読むが、「平」は山間の平地を意味する。湘南平(しょうなんだいら)は、神奈川県の平塚市と大磯町にまたがる標高181mの丘陵である。これまで何度となく登ったのだが、桜の名所でもあることに、今回初めて気づいた。右の画像のアングルは、湘南平の紹介によく出てくるので、われながら工夫がないが、まあ記念写真と見て頂きたい。もう花が散り始めていた。三日くらい前が満開だったはず。山頂の桜並木もさることながら、そこから見渡す周辺の丘陵の山桜と萌えたつ若葉の混色は見事である。こちらの写真も撮ったのだが、場所の特徴が出なかった。桜の季節になると日本の山間部どこでも見られる美しい情景なのだ。


      光ひき山峡をちる桜かな
      シベリアン・ハスキーと見る桜かな
      山頂は今日見納めの桜かな
      をさな児の手にたんぽぽの摘まれけり
      ちる花にもつれてとべる蝶かなし
      大磯の藤村旧居初つばめ
      

  山桜ちりくる峡にたちどまり写し絵を撮るわれならなくに
  山峡に花はちるなりたからかにホオジロが啼く若葉のこずゑ
  うろくづのうろこ散り敷くごとく見ゆさくら散りたる朝の
  山路は


  春風に幹こすりあふ音きけばコゲラなるやと人見上げをり
  さまざまのさくら花咲く山頂ゆはるけくのぞむ湘南の海
  うつし世のかくうつくしく見ゆる時花咲きみてる湘南平
  石垣の上に咲きたる赤椿ゴミ収集の網籠に散る
  名士らが別荘建てし大磯は御殿医なりし順の推奨
  足引きの山下りくれば黄に咲ける花は連翹あらず山吹
  連翹と山吹の差を花にみる片やつらなり片や間をおく
  ひさかたの光をひきて散る花のかなしかりけり山峡にして