あやめ
北海道から九州まで、東アジアの山野に自生するアヤメ科の多年草。とはいっても、山野で自生種を見かけるのは珍しく、もっぱら園芸品種を庭園などに見ることが多い。同類の多年草に沼沢地に自生するカキツバタがある。この名前は、花の汁で衣を染める際の書付花がなまったものという説がある。アイリスは、アヤメ、カキツバタ、ハナショウブなど アヤメ科アヤメ属の植物の総称。わが国で古くは、菖蒲のことをあやめといった。菖蒲はサトイモ科なので別種である。
ほととぎす待てど来鳴かず菖蒲草(あやめぐさ)玉に貫く日を
いまだ遠みか 万葉集・大伴家持
ほととぎす鳴くやさつきのあやめ草あやめも知らぬこひもするかな
古今集・読人しらず
あやめかり君は沼にぞまどひける我は野にいでてかるぞわびしき
在原業平
うちしめり菖蒲(あやめ)ぞかをるほととぎすなくや五月の雨の
ゆふぐれ 藤原良経
花束抱きて刻刻のわれみにくきにその束の芯死にたるあやめ
塚本邦雄
無き筈の乳房いたむとかなしめる夜々もあやめはふくらみやまず
中城ふみ子
わが国で、美しい女性が集まっている時「いずれがあやめかきつばた」といったのは、いつの時代であったか。
奇妙なる園芸品種の草花を作り出だせり植物園に
園芸種ジャーマン・アイリスあやめ科のラテン・レディは
雨に打たるる