天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

アマリリス

わが家に咲いた花

 と通称されているものは、彼岸花科の園芸植物。18世紀頃から改良されているという。花が咲く時期になると、びっくりするほど成長が早いので、鉢植えにして、家の中で育てることもある。原産地は熱帯アメリカ。実は、本物のアマリリス南アフリカ原産で別物、というからややこしい。園芸が盛んな植物では、何が本物か判らなくなってくる。


  あまりりす息もふかげに燃ゆるときふと唇はさしあてしかな
                      北原白秋
  くれなゐ紅の花アマリリス咲き残るつち地もせつなしたたかひ
  やみぬ                 木俣修
  アマリリスの花茎のびてゆく力静かにおのれを立てよと言へり
                      稲葉京子


 アマリリスを詠んだ短歌では、白秋作が最も有名。いかにも白秋らしい。木俣修は白秋の弟子なので、さもありなんという調子。稲葉京子の作には、アマリリスの花咲くまでを見て知っている人なら誰でも共感するであろう。


  窓際に一鉢置けるアマリリス花咲き出でて居間を支配す