天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

カマキリ

川縁の道で

  漢語では、蟷螂(とうろう)である。鎌切の字をあてることもある。斧虫、いぼむしりなどとも言う。直翅目カマキリ科の昆虫の総称。日本には十一種いるらしい。大蟷螂が多い。蛙やトカゲまで食べるし、交尾中の雌が雄を食べる。実際にこの目で見たことはないが。秋に産卵、春に孵る。

      かりかりと蟷螂蜂の皃(かほ)を食む
                   山口誓子
      風ふるる目玉さびしきいぼむしり
                   石原舟月
      蟷螂の怒るほかなき青全身
                   加倉井秋を

  うつせみにわが息息を見るものは窓にのぼれる蟷螂ひとつ
                     斎藤茂吉
  朝さむきやぶれ障子の桟にゐてたうらう蟷螂われをとがむる
  に似つ                前川佐美雄  
  かまきりの卵の膠かわきつつ冬、不信もてつながるわれら
                     塚本邦雄
  苔の香が今日はひときはさびしくて雨をみてゐる青いかまきり
                     馬場あき子
  
      蟷螂が途方にくるる車道かな