天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

真鶴岬・三石

 みさき。まことに美しい日本語である。しかもロマンをかきたてる。何故だろう。広辞苑によれば、「み」は接頭語で、海または湖に突き出した陸地の端。崎(さき)。
 そこから先へは同じ手段では行けない、行き止まりの地点である。その先には茫々たる水域が広がる。まだ見たこともない世界を思わせる。この地とは切り離された幸福がありそう。岬に立って、ニライカナイ常世を夢見る人もいよう。灯台が立っている場所はほとんどが岬である。東京湾岸を見ても、観音崎、剣崎、野島崎 など。
 ということで、秋の真鶴岬を訪ねた。


      秋風の松籟を聞く岬かな
      三石に白波しぶく芒の穂


  自然林真鶴岬は秋風の松の木末にかすむ初島
  かつて見しあまた孔雀のはなやぎがまぼろしに立つ真鶴岬
  「かながわの名木100選」クロマツの樹齢四百年はかしこき
  見上ぐれど木末は見えぬ黒松の胸高周囲5メートルを越ゆ
  石階をわが下りくれば松籟と波音高き番場海岸
  幕末の砲台跡に歌碑立ちて相模の海の静けきを詠む
  立ち騒ぐ松の林の木洩れ日にゆるるがごとく信綱の歌碑
  枯葉ちるごとくつれ舞ふカワハギの二尾をかなしむ真鶴岬