この港に何を思うだろうか。童謡に「赤い靴」がある。作詞・野口雨情、作曲・本居長世で、横浜港を舞台に作られ大正十年(1921)に発表された。山下公園にこれを記念した女の子の銅像が置かれている。
横浜の はとばから
船に乗って
異人さんに つれられて
いっちゃった (二番の歌詞)
流行歌なら、美空ひばりが歌って大ヒットした「港町十三番地」だろうか。作詩・石本美由起、作曲・上原げんと、昭和32年の発表である。二番の歌詞の出だし「銀杏並木の敷石道を」は、山下公園前の通りで当時は波止場通りと呼ばれた。マドロス酒場は馬車道あたりの酒場だという。
長い旅路の 航海終えて
船が港に 泊る夜
海の苦労を グラスの酒に
みんな忘れる マドロス酒場
ああ港町 十三番地 (一番の歌詞)
よれよれの服着た人がためらへり横浜大桟橋診療所
船まちてあまた艀の泊りたり大桟橋の奥の波止場に
うしろ髪ひくがに枝をのばしたり山下埠頭のマテバシイの木
動くことなき客船の艫綱にかもめ並びて時をすごせり
三枚の銀の翼が回りをり大桟橋の港のかなた
警杖をつきて玄関前に立つ横浜水上警察署員
運上所の役目ひきつぎ灯ともせり昼なほ暗き横浜税関
来し方のはるかなりけり岸壁にうしほ泡立つ山下埠頭
客室の窓のカーテン開く見ゆ港の匂ひ旅の思ひ出
ありし日をひそかにしのぶクルージング ディナーにすごす
二人なりけり