天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

鉛筆

使わなくなった鉛筆

 1565年、イギリスで考案された。わが国には江戸初期にオランダから輸入されたという。国産の鉛筆は、1886年真崎仁六が初めて工業化に成功した。これが三菱鉛筆のルーツである。
 軸木には北米産のインセンスシダーが全体の99%を占めるという。芯の硬さは、17段階に分けられる。Hが多いほど硬く、Bが多いほどやわらかい。


  草わかば色鉛筆の赤き粉のちるがいとしく寝て削るなり
                      北原白秋
  くれなゐの鉛筆きりてたまゆらは慎ましきかなわれのこころの
                      斎藤茂吉
  立ちぎはの端書一枚えんぴつの文字もかすれぬ何処へむかふ
                      松村英一
  死にし子が中ば削りし鉛筆の脆きくれなゐの芯もかなしも
                      木村捨録
  4B鉛筆に毛糸を巻きて書く文字の指たよりなき春彼岸雪
                      斎藤 史
  社会意識もてと責めて記者きみが呉れゆきし三Bの太き鉛筆
                      中城ふみ子
  鉛筆をなめなめ次の逢う場所に丸つけて地図にわが愛を置く
                      浜田康敬