天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

パン

朝食にパン

 漢字では麺麭と書く。パンの素材をよく表している。メソポタミアが発祥で、紀元前6000年頃から作られた。また古代エジプトでは紀元前2000年頃から作られたという。わが国にはポルトガルの宣教師によって、安土桃山時代にもたらされた。ただ、普及したのは明治期以降であり、あんパンやジャムパンといった菓子パンが考案されたことが一因という。パンは、象徴的に生活の糧を意味する場合もある。


  匂ひよきぱんを噛みつつ何故か涙ながるる朝の食卓
                       茅野雅子
  麺麭を買ひ紅薔薇の花もらひたり爽やかなるかも両手に持てば
                       北原白秋
  落ちて来し羽虫をつぶせる製図紙のよごれを麺麭で拭く明くる
  朝に                   近藤芳美

  ひとひらの手紙を封じをはりしが水とパンあるゆふぐれありき
                       葛原妙子
  神田川の緋鯉にパンを投げている昼の休みのサラリーマンたち
                       大島史洋