天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

花の吾妻山

吾妻山山頂にて

 桜が満開の並木道や桜ばかりが植えてある公園の満開の花も壮観ではあるが、飽きてしまう。重畳する山や丘陵のそこここに桜が咲いている風景こそ大和・日本の源郷にふさわしい。この情景は都会にはなく地方に残っている。わが散策のルートである神奈川県二宮町の吾妻山もまことに小規模ながらこうした場所である。


      咲き満ちて心鎮もる桜かな
      竹垣の井戸の上なる桜かな
      校庭の楠あからむや新学期


  やはらかき花の光の青空にま白き富士はくきやかに立つ
  紅雲の桜の花の奥に見ゆ折り目つきたる白衣の富士
  菜の花の咲き疲れたる頃ほひにソメイヨシノは咲き満ちにけり
  たんぽぽの黄のかがやきをまぶしめりイヌノフグリの青き星粒
  校庭の楠の若葉のあからみて新学期待つ朝日さやけし