天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

三番瀬

三番瀬

 東京駅から総武線船橋駅まで行き、京成バスに30分ほど乗って終点の船橋海浜公園で下りる。
 三番瀬は、わが国における工場建設や排水に起因する海浜の環境破壊の一例である。高度経済成長期に海岸埋立が進んだ。さまざまな経緯の後、市民運動によりなんとかストップがかかった。現在では、昔の干潟を復元する地道な努力がなされている。とは言うものの山本周五郎青べか物語』の浦安の風景はもはやどこにも見られない。
インターネットで調べると、魚介類ではアサリ、アオヤギ、マテガイ、スズキ、カレイ、シャコ、ガザミ、コウイカクルマエビサヨリシバエビなどの多種多様なものが獲れるらしい。鳥類については、渡り鳥の中継地となっており、キアシシギハマシギオオソリハシシギメダイチドリ、スズガモ、コアジサシなどが、四季折々に訪れる、という。


      浅蜊掘り入口開く三番瀬


  せはしなくゴカイ探せるイソシギの影を溶かせり浜の陽炎
  つらなりてウミウの黒き編隊が沖よりきたる三番瀬の空
  白衣がふわり浮くかにとび立てり浜にいこへる水鳥の群
  近づけばすぐにとび立つイソシギの野生うれしき三番瀬かな
  干潟にはアカエイひそむ潮だまり注意うながす看板が見ゆ
  かぎろひの干潟に集ふハマシギの沖に膨るる黒きタンカー
  浅蜊採る三番瀬には網立てて入るを制する時間くるまで
  あかあかと鉄屑積める工場を背にひろがれる干潟なりけり
  滅びゆく磯の生き物救はむと埋立やめて三番瀬あり
  よみがへる命なりけりイシガニがおほき鋏を立てて威嚇す
  埋立をやめて残せる三番瀬アマモのしげる海を夢みて