紫陽花
ガクアジサイを母種としたユキノシタ科の落葉低木。花は解熱薬、葉はおこりの治療薬に利用された。万葉集の頃から歌に詠まれている。てまりばな、四ひら、七変化 などの呼び名あり。
言問はぬ木すら紫陽花諸茅等(もろち)が
練(ねり)の村戸にあざむかえけり
万葉集・大伴家持
紫陽花の八重咲くごとく弥つ代にをいませわが
背子見つつ偲はむ 万葉集・橘 諸兄
あじさゐの藍のつゆけき花ありぬぬばたまの夜
あかねさす昼 佐藤佐太郎
うつつなき母の笑まひに似てゆるる紺青ふかき
あぢさゐの花 岡野弘彦
身の丈を越す紫陽花ぞ頬に触れ冷たき貌の
ごとき花叢 蒔田さくら子
廃駅をくさあぢさゐの花占めてtだ歳月は
まぶしかりけり 小池 光
前衛短歌世代が詠んだ紫陽花の歌も紹介しておこう。
わが眼の底に咲く紫陽花を診たる医師暗室を
出ていづこの闇へ 塚本邦雄
森駈けてきてほてりたるわが頬をうずめんとするに
紫陽花くらし 寺山修司