天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

酒匂川

 アユ科の淡水魚。一年で生を終えるので「年魚」、あるいは芳香があるので「香魚」などとも。北海道南部から南は台湾まで、中国南部、朝鮮半島などに分布。万葉集にも詠まれている。友釣、どぶ釣、ころがし、鵜飼、やな漁 などの捕り方がある。



  松浦川川の瀬光り鮎釣ると立たせる妹が裳の
  裾濡れぬ              万葉集・作者未詳             
  春されば吾家(わぎへ)の里の川門(かはと)には
  鮎児(あゆこ)さ走る君待ちがてに  万葉集・作者未詳
  山河の澱むに蒼き幾ひろの底はしる鮎つばらかに見ゆ
                      窪田空穂
  幼き日釣りにし鮎のうつり香をいまてのひらに思ひ出でつも
                      若山牧水
  なめらかになびく川藻のひとふさのなびける蔭をゆけり鮎の子
                      若山牧水
  かの瀬々を鮎はひといきに落ちゆかむ冷えつつくだる
  この夜の雨に              木俣 修
  鮎のごとき少女婚して樅の苗植う 樅の材(き)は
  柩に宜(よ)し             塚本邦雄