天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

早苗田

横浜東俣野にて

 田植えの終った田んぼでは、稲がすくすく育っている。田植を始めることを早苗開き、田植始めという。小学校のころ、郷里の広島の山奥で、田植唄をうたいながら赤たすき姿の早乙女が並んで田植をする光景を見た記憶がある。田植を終えたらお祝いにさなぶり早苗饗を催して、手伝いの人達に酒肴を出したものである。



  新嫁のつつましげなる田植唄たのもすずしき朝風ぞふく
                     佐佐木信綱
  蜂(すがる)なすやはらまろ尻の早乙女のたゆらたゆら
  と紅き腰紐              吉植庄亮
                     
  さなぶりの今宵の酒に若きどち頬よせあふやまして思ふ子
                     吉植庄亮
  少女二人田を植ゑをりてその顔に明るき水の反映動く
                     板宮清治
  遠景として筑波嶺は立ち上がり男ひとりが田を植ゑてゆく
                     三枝昂之