天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

盆踊り

近所の神社にて

 事典を見ると、原始舞踊に発し、仏教渡来後に盆の儀式として精霊を迎え慰めるために行われ、室町末期からは民衆の娯楽として発達した、という説明がある。


  豆の葉の露に月あり野は昼の明るさにして
  盆唄のこゑ          太田水穂
                      
      ある年の盆の祭に
      衣貸さむ踊れと言ひし
      女を思ふ       石川啄木       
                

  いちやうに朱の花笠ひるがへす盆の踊りのはなやぎ寂し
                      明石海人
  またひとり顔なき男あらはれて暗き踊りの輪をひろげゆく
                      岡野弘彦
  年々に死者鮮しく盆の夜のまはり踊りの低きこひうた
                      竹安隆代


岡野弘彦の歌はあまりにも有名。


      秋来ぬと木のうれ末に鳴く虫のあり
      車こぬ道に線香花火かな
      たむろして顔の見えざる花火かな
      主婦連の身振りまねてや盆踊り
      ヨーヨーをつりそこねてや夏まつり
      雲の峰大観覧車にのけぞりて
      境内にプチトマト熟れ総本山
      古池や尾鰭に立てる夏の鯉


  祭礼の神輿曳きゆく東海道遊行寺坂に蝉しぐれ降る