天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

蝉の歌 ―つくつく法師―

近所の林で

 半翅目セミ科の昆虫。端翅まで45mm内外、暗黄緑色、黒班がある。成虫は7月下旬から10月に現われる。中国、台湾にも分布する。


  つくつくぼふし三面鏡の三面のおくがに
  啼きてちひさきひかり     葛原妙子
                      
  つくつくほうしひとつに啼けば道たどる
  千鳥ケ渕墓苑夏空の下     近藤芳美
                      
  大きい風いちど二度きてうつしみの齢かたぶく
  つくつくぼふし        二宮冬鳥
                      
  日落つるまでつくつく法師つくつくと伊豆の
  もなかに来し秋を鳴け     馬場あき子
                      
  暑気払ひ 否、あざやかに決めたるは一本背負ひ
  つくつく法師         永井陽子
                      

      火の神を鎮むる祠つくつく師


  さるすべり肌にとりつき鳴きしきるつくつく法師を
  うす紅く染む