天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

謹賀新年

横浜ズーラシアにて

 今年もどうぞよろしく。今年の干支は寅、虎。これはネコ科の肉食獣。日本にはもちろん棲息しないが、中国の四神(青竜、白虎、朱雀、玄武)のひとつとして、古くから知られていた。ぜひとも雇用と景気の回復を期待したい。


  虎に乗り古屋を超えて青淵に鮫竜(みづち)とり来む
  剣太刀(つるぎたち)もが       万葉集・境部王
                     
  たか山の峰ふみならす虎の子ののぼらん道の末ぞはるけき
                     藤原定家
  いけながらはがれし世こそ悲しけれつたへて虎の皮を見るかな
                     藤原為家
  さす竹の君がおましともろこしの虎とふ神の衣たてまつる
                     楫取魚彦
  尾上にはいたくも虎の吼ゆるかな夕は風にならむとすらむ
                     与謝野鉄幹
  から山に 吼ゆてふ虎の 声きかず。さびしき秋の 風たちにけり
                     与謝野 寛
  まどろめる虎はまなこを爛としてみひらきたれどふたたび眠る
                     玉城 徹
  捉われの虎が卑屈に唸る声たなびく声は裏切り知れり
                     佐佐木幸綱
  わが胸の山野の月に吼えて哭く哀しきなにぞ『山月記』の虎
                     中川 昭


       招福の茅の輪くぐりぬ大晦日

  寅年の明日をひかへて強風の海坂駈くるウィンドサーフィン