天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

丸太の森

足柄森林公園

 足柄森林公園丸太の森には、大雄山駅からバスでも徒歩でも行ける。徒歩なら小一時間を見ておくとよい。福寿草を求めてきたのだが、冬枯れの森は森閑として黄色の花は何も見当たらなかった。驚いたことに、細かな歩道をいくつも作っている。市が観光促進のために投資していると見えるが、これ以上人手を入れると逆効果ではあるまいか。豊かな自然のままにして、せいぜい下草を刈り、草木を増やすことの方が、市民を惹きつけると思うのだが。

    踏み入れば沢の初音の荒々し
    束なせる丸太の朽木笹子鳴く
    沢音に笹鳴まじる杉木立
    初富士の頭見えたりやぐら沢

    
  落葉踏むわが足音を聞くのみの朝日おだしき足柄の森
  思はずも尻もちつけり朝の日の丸太の森に踏む霜柱
  冬枯れの山に朝日の射し込みて下草萌ゆる春はきにけり
  大木に木蔦巻きつく苦しみを見上げてゐたり足柄の森
  大木にからみ巻きつき這ひのぼる太き木蔦をうらやむ我は
  木に草に万葉の歌掲げたり日の斑うつろふ冬枯れの森
  春浅き丸太の森に万葉の歌に詠まれし木や草を見る
  咲き残る花を隠して日に濡るる椿の青葉冬枯れの森
  大鋸屑(おがくづ)を敷きて古りにし参道は足裏(あうら)に
  やさし朝の木洩れ日