天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

沈丁花

江ノ島奥津宮にて

 ジンチョウゲジンチョウゲ属の常緑低木。学名は、ダフネ オドーラ 。
つまり、ギリシャ神話の女神ダフネの体臭。月桂樹のギリシャ名でもある。しかし原産地は中国南部というから、ややこしい。わが国では、室町時代にすでに栽培されていたという。


    沈丁や障子閉せる中宮寺       大久保橙青
    沈丁の坂開港のむかしより      宮津昭彦


  沈丁花雨しめやかにいたる夜の重き空気のなかににほへり
                      金子薫園
  沈丁の薄らあかりにたよりなく歯のいたむこそかなしかりけり
                      北原白秋
  かきむしる悲しみというに遠けれど亡き母の日に匂う沈丁花
                      武川忠一


    いつよりぞ力石置く沈丁花
    沈丁の香にしづもれる力石