天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

ヒメジョオン

藤沢市新林公園にて

 姫女菀あるいは姫紫苑は、キク科ムカシヨモギ属の植物で二年草。同属のハルジオンと共に、春の道端でよく見かける。「姫」は「小さい」、「女菀」は「中国産の野草」を表す。ところが北米原産である。同類にハルジョオンがあり、見分けにくいが、茎の中心部には髄がつまり、つぼみはうなだれず直立する。


  心さびしき夕ぐれありてひめじをんの咲く花白し庭のおくまで
                      柴谷武之祐
  ひめじをん群れ咲く見ればこの原のわが通ひ路の久しくなりぬ
                      柴生田稔
  ひめじをん白き群落に身をしづめ磁性まぎれなく北を指す針
                      坪野哲久
  姫紫苑はうすももいろにはな咲くと告げくれし男の顔も忘れぬ
                      角宮悦子