天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

郁子(むべ)

鎌倉大巧寺にて

 ムベは、野木瓜とも書くが、アケビ科ムベ属の常緑つる性木本植物で、別名をトキワアケビ常磐通草)という。四月から五月にかけて花が咲き、秋には卵円形の果実をつける。これは甘くて食べられる。関東以西から沖縄にかけて常緑樹林内に、他の樹木にからまって生える。


  葉がくれに郁子はいくつかなりをれどつゆじも降れば
  もぐべくなりぬ              岡 麓
                          
  ゆきずりにみとめし郁子に手をふれて人なつかしむ冬の
  来るころ                 佐藤佐太郎
                          
  あたたかき雨の濡らせる郁子の花この子の恋にまだ
  いとまある                伊藤一彦