天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

木いちごの花

江ノ島にて

 木苺はバラ科キイチゴ属の総称。茎や葉にとげのあることが多く、花は5弁、後に多数の果実を結ぶ。日本には約35種類が分布するという。


  山椒の芽をたづね入る竹村にしたごもりさく木苺のはな
                       長塚 節
  道のべの木いちごの花にほへるをあらそはなくに蜂ひとつゐる
                       斎藤茂吉


江ノ島龍恋の鐘の丘で、藪蔭に白く咲くこの花を見つけた。


    磯釣りを見下しめぐる春の鳶
    啓蟄の草叢にくる猫の髯
    木いちごの花龍恋の鐘を打つ


  植込みに人の落ちしと思ひきや空に向け干す長靴の底
  森林の保護に寄与せむipad ペーパーレスの小説あはれ
  海底を流るる潮は岸にきて巌にあたり盛り上がりたり
  黒潮を蹴立てて白き水脈なせり朝を見まはる沿岸警備
  龍恋の鐘うち鳴らす丘の辺の藪蔭に咲く木いちごの花
  菊五郎菊之介らが興業に手形のこせり江ノ島歌舞伎
  青き目の女がくれし紙を読む来る年五月のこの世の終り