天野 翔のうた日記

俳句はユーモアを基本に自然の機微を、短歌は宇宙の不思議と生命の哀しさを詠いたい。

青い薔薇

大船フラワーセンターにて

 バラにはもともと青の色素がないことがわかり、「青いバラ」を品種改良のみで作ることは不可能ということになった。そこで「遺伝子組換え」などのバイオテクノロジーにたよることにして、日本のサントリーフラワーズとオーストラリアの植物工学企業であるカルジーンパシフィック社が共同研究により、世界で初めて青色色素を持ったバラを作った。発表は、2004年6月30日であった。

  うたた寢のうたた苦しき夢さめて汗ふき居れば薔薇の花散る
                       正岡子規
  薔薇の木の薔薇の花咲くあな愛し何の不思議もおもほえねども
                       北原白秋
  なほ花咲くわかわかしき薔薇の群ありて死臭に交りいよいよ重し
                       斎藤 史
  あかつきの庭に折り来しばら一輪なみだのごとき露を宿せり
                       林 光雄
  ナルシスの変貌も視てみづからに鞭うてり紅き蔓薔薇のむち
                       塚本邦雄
  咲く花はその日のうちに剪らしめて痩せたる薔薇を護りきる母
                       岡井 隆
  青春はなおそれぞれに痛ましくいま抱きおこす一束の薔薇
                       松坂 弘
  そは春のゆめのエピタフかなしみの茎あらはなる薔薇を告げにき
                       加藤治郎

    薔薇の香に包まれその香忘れたり